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社会で実際に起こった、事例や改正された法律をふまえ、法律に関する情報をご紹介します。

税法ワンポイント⑥ ―資産の譲渡に関する課税―

 │ その他, ビジネス, 上越事務所, 企業・団体, 弁護士小林優介, 新潟事務所, 新発田事務所, 燕三条事務所, 長岡事務所

 

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今回は前回に引き続き,

税法ワンポイント⑥ ―資産の譲渡に関する課税―

をお届けします。

5回に渡ってお届けしてきましたが、今回が最後となります!

 

まだご覧になっていない方は,これまでの記事もぜひあわせてお読みください。

★ 税法ワンポイント⑤ ―資産の譲渡に関する課税― ★

★ 税法ワンポイント④ ―資産の譲渡に関する課税― ★

★ 税法ワンポイント③ ―資産の譲渡に関する課税― ★

★ 税法ワンポイント② ―資産の譲渡に関する課税― ★

★ 税法ワンポイント① ―資産の譲渡に関する課税― ★

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1 個人から法人への資産の低額譲渡

前回と前々回で,法人間及び法人から個人,個人間での資産の低額譲渡について見てきましたので,今回は,個人から法人への資産の低額譲渡に関する課税を説明します。

 

2 資産を譲り受けた法人側の課税

資産の低額譲渡を受ける法人の側では,時価と譲渡対価との差額が受贈益として計上されます(法人税法22条2項)。

 

3 資産を譲渡した個人側の課税

資産を譲渡した個人の側では,資産を時価の2分の1に満たない金額で譲渡した場合,時価で当該資産を譲渡したとして譲渡所得が生じ,課税されることになります(みなし譲渡所得課税。所得税法59条1項2号,所得税法施行令169条)。考え方は,個人から法人に対する資産の無償譲渡の場合と同様です。

資産を時価の2分の1以上の金額で譲渡した場合には,譲渡金額で総収入金額を計算し,譲渡所得が課税されることになります。

詳しい説明は割愛しますが,時価の2分の1以上の対価による法人に対する譲渡の場合でも,同族会社等の行為又は計算の否認等(所得税法157条)の規定に該当する場合には,みなし譲渡所得課税がなされることがあります。また,株式等の価額が増加した場合に,同族会社の株主に贈与税が課税されることもあるため,その点もご注意下さい。

 

4 低額譲渡のまとめ

これまでの説明をまとめると,法人間の資産の低額譲渡では,譲渡側は,無償譲渡の場合と同様に,時価を譲渡収益として計上し,そこから取得価額を控除した額が所得となり,時価と譲渡額との差額は寄附金として処理しました。

譲受側でも,無償譲渡の場合と同様に時価で譲り受けたと考え,時価と譲渡額との差額が受贈益として計上されました。

法人から個人への低額譲渡では,法人側の処理は,基本的に法人間の場合と同様ですが,個人との関係によっては,時価と譲渡額との差額の取扱いについて,寄附金ではなく,賞与等として処理することがあるということでした。また,譲り受けた個人側では,法人との関係によって,給与所得又は一時所得となるのでした。

個人間の低額譲渡では,譲渡損失の無視と取得費の引継ぎがなされ,譲渡所得が生じる人物の変更を防ぐことで租税回避の防止をしていました。譲受人側では贈与税も問題となりました。

個人から法人への低額譲渡についても,譲渡側は,時価の2分の1未満の金額による譲渡では,無償譲渡の場合と同様にみなし譲渡所得課税がなされ,譲受側では時価と譲渡対価との差額が受贈益とされるのでした。

 

本連載をお読みいただき,資産の譲渡に関する課税について,様々な考えがなされているということをご理解いただければ幸いです。

 

◆弁護士法人新潟第一法律事務所 弁護士 小林優介◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2016年4月28日号(vol.194)>

※掲載時の法令に基づいており,現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。

税法ワンポイント⑤ ―資産の譲渡に関する課税―

 │ その他, ビジネス, 上越事務所, 企業・団体, 弁護士小林優介, 新潟事務所, 新発田事務所, 東京事務所, 燕三条事務所, 長岡事務所

 

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今回は前回に引き続き,

税法ワンポイント⑤ ―資産の譲渡に関する課税―

をお届けします。

 

まだご覧になっていない方は,前回の記事もぜひあわせてお読みください。

★ 税法ワンポイント④ ―資産の譲渡に関する課税― ★

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 1 個人間の資産の低額譲渡

前回から資産の低額譲渡に関する課税を説明してきました。

法人間及び法人から個人への資産の低額譲渡について見てきましたので,今回は,個人間の資産の低額譲渡に関する課税を説明します。

 

2 譲渡損失の無視と取得費の引継ぎ

個人間の資産の譲渡では,当事者間で現実に授受された金額で総収入金額や取得費を計算するのが原則です。

しかし,時価よりも著しく低額での譲渡を無制限に認めると,譲渡損失を発生させて,同額を他の資産の譲渡で生じた所得から減らすことで,いくらでも租税回避ができることになってしまい不合理です。

そこで,所得税法では,一定の資産の低額譲渡の場合に,譲渡損失を無視し,無償譲渡の場合と同様に取得費の引継ぎをすることとして,こうした租税回避の濫用を防いでいます。

すなわち,個人間で,資産の時価の2分の1に満たない対価で資産の譲渡がなされ,その譲渡から損失が発生する場合には,損失の額はなかったものとみなされます(所得税法59条2項,同法59条1項2号,同法施行令169条)。

例えば,個人間で時価1000万円の土地を300万円で譲渡する場合,その土地の取得費が500万円だったとすると,譲渡人には200万円の譲渡損失が発生することになるはずです。

しかし,所得税法59条2項により,200万円の譲渡損失はなかったものとみなされます。これにより,仮に,譲渡人が,他にも資産を譲渡して,譲渡所得が生じていた場合に,資産の低額譲渡によって譲渡損失を生じさせて,譲渡所得の金額を減らすことはできないことになります。

また,資産の時価の2分の1に満たない対価で資産の譲渡がなされた場合には,取得費の引継ぎもなされます(所得税法60条1項2号)。

すなわち,上記の事例の場合には,取得費は,土地の譲渡の対価である300万円ではなく,譲渡人が当該土地を取得した際の費用である500万円となります。

これにより,例えば,譲受人が,譲り受けた資産について,すぐに時価(1000万円)で売却した場合にも,取得費との差額500万円が所得として計算されます。

こうした,譲渡損失の無視と,取得費の引継ぎによって,譲渡所得が生じる人物の変更を防ぎ,租税回避の濫用を防止しているのです。

 

3 贈与税

なお,個人間の資産の低額譲渡の場合には,譲受人について所得税とは別に,贈与税の課税も問題となります。

上記の例でいえば,時価と対価の差額700万円について贈与税の課税が問題となりますのでご注意ください。

 

◆弁護士法人新潟第一法律事務所 弁護士 小林優介◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2016年4月15日号(vol.193)>

※掲載時の法令に基づいており,現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。

税法ワンポイント④ ―資産の譲渡に関する課税―

 │ その他, ビジネス, 上越事務所, 弁護士小林優介, 新潟事務所, 新発田事務所, 東京事務所, 燕三条事務所, 長岡事務所

 

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今回は前回に引き続き,

税法ワンポイント④ ―資産の譲渡に関する課税―

をお届けします。

 

まだご覧になっていない方は,前回の記事もぜひあわせてお読みください。

★ 税法ワンポイント③ ―資産の譲渡に関する課税― ★

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1 資産の低額譲渡

これまでの3回では,法人間や個人間,法人・個人間の資産の無償譲渡に関する課税を説明してきました。

原則的には時価で譲渡したものと考え,政策的な観点から課税繰延等がなされているということでした。

それでは,資産を時価よりも低額で譲渡した場合の法人税及び所得税の課税はどうなるのでしょうか。

 

2 法人間の資産の低額譲渡

法人間で資産の有償譲渡がなされた場合,資産を譲渡した法人では,譲渡額を益金に算入するのが原則です(法人税法22条2項)。

この原則通りに考えると,資産を低額,例えば時価の2分の1以下で譲渡した場合にも,譲渡額を益金に算入することになりそうです。

しかし,無償譲渡の場合は時価を益金に算入するのに,対価を1円でも得ていれば,その譲渡額を益金に算入するというのでは,益金の額を抑えるために,無償ではなく著しく低額で譲渡する法人が多数出てきてしまいます。

この点について,最高裁(最判平成7年12月19日)は,「譲渡時における適正な価額より低い対価をもってする資産の低額譲渡は,法人税法22条2項にいう有償による資産の譲渡に当たることはいうまでもないが,この場合にも,当該資産には譲渡時における適正な価額に相当する経済的価値が認められるのであって,たまたま現実に収受した対価がそのうちの一部のみであるからといって適正な価額との差額部分の収益が認識され得ないものとすれば(中略)無償譲渡の場合との間の公平を欠くことになる。したがって,右規定の趣旨からして,この場合に益金の額に算入すべき収益の額には,当該資産の譲渡の対価のほか,これと右資産の譲渡時における適正な価額との差額も含まれるものと解するのが相当である。」と判示しました。

すなわち,法人間の資産の低額譲渡の場合は,無償譲渡の場合と同様に,時価を譲渡収益として計上し,そこから取得価額を控除した額が所得として計上されます。

時価と譲渡額との差額については,寄附金として支出したと考えます。但し,寄附金は,必ずしも全額が損金に算入されるわけではありません。

資産の低額譲渡を受けた法人側でも,無償譲渡の場合と同様に,時価と対価の差額が受贈益として計上されます。

 

3 法人から個人への低額譲渡

譲渡する法人側では,基本的には上記の法人間の低額譲渡と同様の処理となりますが,資産を譲り受ける個人が,当該法人の役員や従業員である場合には,時価と譲渡額との差額を役員賞与や使用人賞与として処理します。

役員賞与の場合には損金算入できません(法人税法34条)し,賞与については源泉徴収(所得税法183条,186条)も必要となるためご注意ください。

資産を譲り受ける個人側では,時価と支払った額との差額について,法人と雇用等の関係があれば給与所得,そうした関係がなければ一時所得として計上します。

 

次回「税法ワンポイント⑤ ―資産の譲渡に関する課税―」もご覧ください。

 

◆弁護士法人新潟第一法律事務所 弁護士 小林優介◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2016年4月1日号(vol.192)>

※掲載時の法令に基づいており,現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。

税法ワンポイント③ ―資産の譲渡に関する課税―

 │ その他, ビジネス, 上越事務所, 企業・団体, 弁護士小林優介, 新潟事務所, 新発田事務所, 東京事務所, 燕三条事務所, 長岡事務所

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先日,税法ワンポイント①税法ワンポイント②にて,

法人間及び個人間の資産の無償譲渡に関する課税についてご説明いたしました。

そこで,本日より3回にわたり,個人から法人,そして,法人から個人に対する資産の無償譲渡をする場合の課税についてご説明いたします。

 

1 個人から法人への資産の無償譲渡

結論から言えば,個人から法人への資産の無償譲渡の場合には,個人は時価で当該資産を譲渡したとして譲渡所得が生じ,課税されることになります(所得税法59条1項1号)。

税法ワンポイント①税法ワンポイント②にてご説明した通り,個人から個人への無償譲渡の場合には,原則からすれば所有期間中の資産の価値の増加を所得として課税すべきであるけれど,贈与者が納税資金に窮する等の理由から,政策的な観点により課税を繰り延べていました。贈与者が納税資金に窮するという点では,個人に贈与する場合も法人に贈与する場合も変わりはありません。

しかし,個人はいつかは亡くなります。持ち主が変われば,どこかのタイミングで課税できるため,贈与の時点であえて課税する必要はないと考えられます。

これに対して,法人は個人と異なり,死ぬことはありません。理屈上は永遠に存続するものと考えられますので,取得された資産に対する課税の機会はもしかしたら二度とやってこないかもしれません。

よって,法人への贈与の際には,個人の納税資金の問題よりも,永遠に課税が繰り延べられることの危険に配慮して,贈与時に課税をしてしまうのです。

他方,贈与を受けた法人の側では,時価を受増益として益金に計上することになります。

なお,公益法人等では上記とは異なる取り扱いがなされるためご注意ください。

 

2 法人から個人への資産の無償譲渡

法人が個人へ資産を無償譲渡した場合にも,法人側では,法人間の資産の無償譲渡の場合と同様に,当該資産の時価が譲渡収益に計上され(法人税法22条2項),そこから取得価額を控除した額が所得として算出されるとともに,時価を寄付金に算入するという取り扱いになります。

これに対し,個人の側では,個人間の資産の無償譲渡の場合とは異なる取り扱いがなされます。

個人間で資産を無償譲渡した場合には,受贈者側では,贈与者の取得費を引き継いでいました(所得税法60条1項1号)。これを法人から個人への資産の無償譲渡の場合にまでやってしまうと,当該法人の資産所有中の増加益に対して,二重に課税がなされてしまうことになります。

そのため,法人から個人への資産の無償譲渡の場合には,受贈者たる個人の側では,譲受時の時価を取得費として計算していくことになります。

また,受贈者の側では,一時所得が生じ,それに対する課税がなされます。

なお,法人・個人間に雇用関係等がある場合には異なる取り扱いとなるためご注意ください。

 

次回「税法ワンポイント③ ―資産の譲渡に関する課税―」もご覧ください。

 

◆弁護士法人新潟第一法律事務所 弁護士 小林優介◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2016年3月15日号(vol.191)>

※掲載時の法令に基づいており,現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。

 

税法ワンポイント② ―資産の譲渡に関する課税―

 │ その他, ビジネス, 上越事務所, 企業・団体, 弁護士小林優介, 新潟事務所, 新発田事務所, 東京事務所, 燕三条事務所, 長岡事務所

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今回は前回に引き続き,

税法ワンポイント② ―資産の譲渡に関する課税―

をお届けします。

 

まだご覧になっていない方は,前回の記事もぜひあわせてお読みください。

★ 税法ワンポイント① ―資産の譲渡に関する課税― ★

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1 個人間の贈与の場合の所得税課税

前回は,法人間で資産を無償譲渡した場合に,

時価で譲渡した場合と同様に益金算入するというお話しをしました。

それでは,個人間で資産を無償譲渡(贈与)した場合の所得税の課税はどうなるのでしょうか。

 

2 譲渡所得課税の原則

個人が資産を譲渡した場合には,その譲渡所得について所得税がかかります。

すなわち,所得税法では,

新たに得た経済的利益の全てが所得と考えられている(包括的所得概念)ため,

所有資産の価値の増加(値上がり)も所得なのですが,

所有資産の価値が増加しても,売却して対価を得るなどしなければ

その増加した価値は未実現の利得のままですから,

資産を手放す際に,所有期間中の価値の増加が実現したと考えて課税を行うのです。

そして,譲渡所得額の計算は,

総収入金額-(資産の取得費+譲渡費用)-特別控除額(50万円)

となっています(所得税法33条3項,4項)。

 

以上からすれば,資産を無償譲渡した場合には,

贈与の時のその資産の時価を総収入金額として譲渡所得額の計算をすることになりそうです。

 

3 原則の修正

しかし,贈与者が何も対価を得ていないのに税金を支払わなければならないとなれば,

納税資金に窮することが考えられます。

他方,個人間の贈与の場合に,

贈与者の所有期間中の価値の増加部分について課税を行わないとなれば,

有償譲渡の場合と不公平が生じてしまいます。

 

そこで,所得税法では,贈与の際には,贈与者(前主)には課税せず,

受贈者(後主)がその資産を他に譲渡する時に,

前主の所有期間中の増加益についても併せて課税することにしています(課税繰延)。

すなわち,後主が前主の取得費を引継ぎ,後主がその資産を譲渡するときには,

総収入金額から同取得費が控除されます(所得税法60条1項)。

このように,個人間の資産の無償譲渡においては,

納税者の実情に配慮して,政策的な観点から原則が修正されています。

 

4 まとめ

以上をまとめると,

⑴個人間で資産を譲渡した場合には,譲渡者に対し,

譲渡により実現した資産の値上がり益を譲渡所得として所得税がかかるのが原則である。

⑵個人間の資産の贈与の場合にも,原則からすれば,

資産の時価を総収入金額として譲渡所得が計算されるはずだが,

政策的な観点から,課税が繰り延べてられている。

となります。

 

なお,個人間の資産の贈与の場合には,

譲受人に贈与税がかかることがありますので,その点もご注意下さい。

 

◆弁護士法人新潟第一法律事務所 弁護士 小林優介◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2016年3月1日号(vol.190)>

※掲載時の法令に基づいており,現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。

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