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社会で実際に起こった、事例や改正された法律をふまえ、法律に関する情報をご紹介します。

人を雇うということは外注扱いでは済まされない③

 │ 企業・団体, 労働, 労災事故, 弁護士飯平藍子, 新潟事務所

 

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人を雇い続ける責任

 

使用者は,いったん雇った労働者を雇い続ける責任を負います。

使用者が労働者をやめさせる(解雇する)には,

労働法が定める条件を満たす必要があるのです。

 

 

解雇には「客観的に合理的な理由」と「社会通念上相当である」ことが必要

 

解雇は労働者にとって不利益が大きいため,

「客観的に合理的な理由」と「社会通念上相当である」ことが必要とされ(労働契約法16条),

法律の解雇制限規定に違反していないか,解雇の理由が重大か,

正当な手続がとられているか等の様々な観点からその有効性が判断されます。

 

裁判所は解雇の有効性を厳しく判断する傾向があり,なかなか有効であるとは認めません。

例えば,労働者が2週間に2度寝過ごして仕事に支障を生じさせ,

2度目の寝過ごしについては上司に虚偽の報告をしたこと等を理由とする解雇について,

本人の反省等を理由に「必ずしも社会的に相当なものとして是認することはできない」

として無効とした例があります(最高裁昭和52年1月31日第二小法廷判決)。

 

また,業績不振等の使用者側の事情で解雇する場合には特に厳しく判断され,

①人員削減の必要性,

②解雇を回避する真摯な努力(残業削減、新規採用の手控え等),

③解雇対象者選定基準の合理性(勤務成績,労働者の生活上の打撃等),

④手続の妥当性(労働者に対する十分な説明、協議等)が要求されます。

 

 

主な法律の解雇制限規定

 

解雇を禁止する法律の規定には,主に以下のものがあります。

 

◎業務上の傷病による休業期間・産前産後の休業期間とその後30日間の解雇(労働基準法19条)

◎国籍,信条,社会的身分を理由とする解雇(労働基準法3条)

◎労働基準監督署への申告,申出を理由とする解雇(労働基準法104条)

◎不当労働行為となる解雇

(労働組合法7条,労働組合員であること,労働組合を結成しようとしたこと,

労働組合の正当な権利を行使したこと,労働委員会に申立てを行ったことを理由とする解雇)

◎妊娠中及び出産後1年以内の女性の解雇(労働基準法19条)

◎性別を理由とする解雇(男女雇用機会均等法6条4項)

◎妊娠,出産,育児休暇,介護休暇を理由とする解雇(男女雇用機会均等法9条3項)

 

 

解雇の手続規制

 

解雇する場合には,原則として30日前に予告(解雇予告)するか,

30日分の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません(労働基準法20条)。

 

 

おわりに

 

以上,「人を雇うということは,外注扱いでは済まされない」

というテーマでお話させていただきました。

 

初回でお話したとおり,

「労働者」にあたるかどうかは就労の実態から客観的に判断されるので,

皆さんも他人事とは思わず,労働法について正しい知識を身につけていただきたいと思います。

最後までお読みいただき,ありがとうございました。

 

◆弁護士法人新潟第一法律事務所 弁護士 飯平 藍子◆

<初出:新潟県建設ユニオン様機関紙2016年7月号>

※掲載時の法令に基づいており,現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。

人を雇うということは外注扱いでは済まされない②

 │ 企業・団体, 労働, 労災事故, 弁護士飯平藍子

 

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労働者を雇い入れるときには,労働条件の明示,保険加入が必要

 

前回は,建設業就労者も,

就労の実態によって「労働者」に当たるというお話をしました。

今回からは,「労働者」を雇う場合に発生する義務を見ていきます。

 

今回は,雇入れの始めの段階で生じる,

労働条件の明示や保険加入の義務について説明します。

特に,保険については,近年,建設業就労者の未加入が問題視されているので,

組合員の皆さんにもよく理解していただきたいところです。

 

労働条件の明示

 

労働者を雇い入れる際には,労働条件を明確に示さなければなりません。

労働条件の中でも,

①労働契約の期間,

②就業場所・仕事の内容,

③始業・終業時刻,早出・残業の有無,

休憩時間・休日・休暇,就業時転換(シフト制・交代勤務制など)に関する事項,

④賃金の決定・計算・支払の方法・時期,

⑤退職に関する事項

については,「労働条件通知書」などの書面で明示しなければなりません。

もっとも,それ以外の事項(労働者に負担させる作業用品や職業訓練など)についても,

併せて書面で示すことが望ましいです。

 

労働保険への加入

 

労働保険とは,労働者災害補償保険(労災保険)及び雇用保険をいいます。

労災保険とは,労働者の業務上または通勤によるけがや死亡に備える保険で,

保険料は事業者が全額を負担します。

労働者を一人でも雇う事業者は,原則として労災保険に加入しなければなりません。

 

雇用保険とは,労働者の失業等に備える保険で,

保険料は事業者と労働者が折半して負担します。

 

事業の規模にかかわらず,

①1週間の労働時間が20時間以上で,

②31日以上雇用する見込みがある人

を雇い入れた場合には,必ず雇用保険に加入しなければなりません。

 

労働保険に加入しないでいると,

最大で2年間遡って労働保険料を徴収されるほか,

併せて追徴金も徴収されることになります。

 

さらに,労働災害が発生した場合には,

労災保険給付の費用の全部又は一部も徴収されます。

 

社会保険への加入

 

社会保険とは,健康保険及び厚生年金保険をいいます。

健康保険とは,労働者やその家族の病気やけがに備える保険です。

厚生年金保険とは,労働者が高齢で働けなくなったり,

病気やけがで身体に障害が残った場合等に備える保険です。

保険料はいずれも事業者と労働者が折半で負担します。

 

社会保険は,常時5人以上を雇用する事業者は,

必ず加入しなければなりません。

社会保険に加入しないでいると,社会保険料を最大2年間遡って追徴されるほか,

罰則(6月以下の懲役又は50万円以下の罰金)が適用されるおそれがあります。

 

以上,労働者を雇い入れるときに生じる義務についてお話しました。

次回のテーマは「労働者を雇い続ける責任」の予定です。

◆弁護士法人新潟第一法律事務所 弁護士 飯平 藍子◆

<初出:新潟県建設ユニオン様機関紙2016年5月号>

※掲載時の法令に基づいており,現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。

人を雇うということは外注扱いでは済まされない①

 │ 企業・団体, 労働, 労災事故, 弁護士飯平藍子, 新潟事務所

 

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労働法は自分には関係ない?

 

皆さんは,「労働基準法」や「労働者災害補償保険法」等の

「労働法」と呼ばれる法律をご存じですか?

 

これらは「労働者」と労働者を雇用する「使用者」の関係を規律する法律です。

皆さんの中には,

「自分のところでは雇用ではなく,外注(請負)の形で仕事を頼んでいるから,労働法は関係ない」

と思っている方がいらっしゃるかもしれません。

 

しかし,「労働者」にあたるか否かは,就労の実態から実質的に判断されます

したがって,皆さんのところの就労者が実は「労働者」に該当し,

後で残業代を請求されてトラブルになる,ということも起こりかねません。

 

そこで,これから数回にわたり,どのような場合に「労働者」にあたるのか,

「労働者」にあたる場合,どのような権利・義務関係が生じるのかをお話ししていきたいと思います。

今回は,どのような場合に「労働者」にあたるかを考えます。

 

 

労働者とは

 

「労働者」は,職業の種類を問わず

事業に「使用される者で,賃金を支払われる者」と定義されています(労働基準法9条)。

 

「使用される」とは,使用者の指揮命令を受けて働くことをいい,

就労者が

①仕事の依頼を自由に断れない,

②業務の遂行(作業方法や手順等)について指揮監督を受けている,

③勤務時間や場所が拘束されている,

④他人に代替させることができない

などの事情があれば,「使用され」ていると認められやすくなります。

 

「賃金を支払われる」とは,労働の対償として報酬を得ることをいい,

⑤報酬を時間単位で計算するなど,

労働を提供する時間の長さに応じて報酬額が決まる場合には,「賃金」と認められやすくなります。

 

さらに,

⑥事業者性が弱い

(機械・器具を自分で負担しない,報酬の額が同様の業務の従事者に比べて特に高くない等)

⑦他社の仕事を受けることが事実上制約されている,

⑧給与所得の源泉徴収や社会保険料等の控除がされている

等の事情を補完的に考慮して,「労働者」にあたると判断されることもあります。

 

 

建設業就労者の「労働者」性

 

裁判で建設業就労者の「労働者」該当性が争われた例も多くありますが,

労働者性を認めたもの(東京地判平成7・7・17等)も,

認めなかったもの(最判平成19・6・28等)もあります。

 

このように,実際に「労働者」に該当するか否かはケースバイケースと言わざるを得ませんが,

上記の①から⑧の項目にあてはまる数が多ければ,「労働者」にあたる可能性が高いと思われます。

 

次回のテーマは「労働者」にあたる場合に発生する権利・義務関係の予定です。

 

 

◆弁護士法人新潟第一法律事務所 弁護士 飯平 藍子◆

<初出:新潟県建設ユニオン様機関紙2016年3月号>

※掲載時の法令に基づいており,現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。

 

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