【法務情報】育児・介護休業法の猶予期間終了について
1 平成21年 「育児・介護休業法」改正
平成21年,仕事をしながら,子の養育及び家族の介護を容易にする目的から,「育児・介護休業法」が改正されました。
しかしながら,従業員数100人以下の事業主については,以下の一部の規定につき3年間,適用が猶予されていました。
しかし,6月末日をもって,かかる猶予期間が終了となります。
猶予されていたからと,対策を講じ忘れていないか,今一度,改正の確認をしておきましょう。
2 猶予期間終了により対策が求められる事項
(1) 短時間勤務制度
事業主は,3歳に満たない子を養育する従業員(一定の要件を満たす者は除外されます。)について,従業員が希望すれば利用できる,短時間勤務制度を設けなければなりません。
* 運用だけでは不十分であり,就業規則に規定する等,制度化することが必要とされます。
* 以下の従業員は,労使協定により適用除外とすることができます。
① 雇用期間が1年に満たない従業員
② 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
③ 業務の性質又は業務の実施体制に照らして,短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する従業員(但し,代償措置が要求されます。)
(2) 所定外労働の制限
3歳に満たない子を養育する従業員が申し出た場合には,事業主は,所定労働時間を超えて労働させてはいけません。
(3) 介護休暇
要介護状態にある対象家族(配偶者,父母,子,配偶者の父母,同居かつ扶養している祖父母・兄弟姉妹・孫)の介護その他の世話を行う従業員は,事業主に申し出ることにより,対象家族が1人であれば年に5日まで,2人以上であれば年に10日まで,1日単位で介護休暇を取得することができます。
* 労働基準法で定める年次有給休暇とは別に与える必要があります。
3 まとめ
改正時は安心して対応を先送りにしてしまい,そのまま対応し忘れという形になっていないか,今一度確認が重要です。現行の就業規則に不安がある場合は,当事務所までご相談下さい。
◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 橘 里香◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2012年4月27日号(vol.101)>