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【法律相談】台風による建物被害

 │ 長岡事務所, 弁護士佐藤明, 震災

Q.台風によって自宅の屋根瓦が吹飛び屋根等が壊れてしまいました。その後、建築業者が契約(設計図)どおりの屋根取付工事をしていないことが判明しましたが、建築業者は、台風のせいだといって責任を認めません。建築業者に対して損害賠償の請求ができるのでしょうか。

 

A.この場合の損害賠償請求(権)が考えられる法律構成は、いくつかありますが、本件が請負契約であることから、請負契約上仕事の目的物に瑕疵があった場合に請負人の担保責任として損害賠償請求できる旨の規定がありますので(民法634条2項)、これを中心に検討します。

 
(1)瑕疵とは
 ここで目的物の瑕疵とは、完成された仕事が契約で定められた内容どおりではなく、使用価値や交換価値を減少させる欠点があるか、当事者があらかじめ定めた性質を欠くなど不完全な点を有することと考えられています。すると、契約内容が瑕疵判断の重要な要素となるわけですが、契約内容がどうであったかは、契約書だけでなく、さらに設計図書(設計図と仕様書)などから契約内容が確定していきますから、本件のように設計図に反した建築であれば、瑕疵があったといえるでしょう(本件では契約と建築基準法との関係については省略します)。

 
(2)台風の影響は
 ただ、形式的に建物に瑕疵があっても、台風がいわば不可抗力として屋根の損壊もやむを得ないといえるような場合であれば請負人の担保責任を問うことは難しいでしょう。裁判例を見てみると、請負人の責任を肯定したものには、台風は、わが国において例年来襲し、かなりの風雨にみまわれることは公知の事実であるから、異例空前の台風であって、簡易建築はおおかた倒壊損壊するような場合以外、通常の台風に耐えうるものと期待するのが通常であるとし、そのような例外に当たらないケースであるとしているものがあります。

 
 これに対し、否定した例には、工法が、普通に用いられる工法で格別手抜きがなかったこと、台風による強風は未曾有ともいうべき強烈なもので、甚大な被害を生じたこと、同様の被害を受けた家屋が多数あったこと、建物の地形に被害を受けやすい特質があったことなどをもって、建物の被害を不可抗力としたものがあります。

 
(3)上記(2)では、いずれも具体的な事例を前提に判断したものであり、個々の事案を検討するしかありませんが、本件でも、契約違反の内容・程度と台風の状況(例年通り)で、賠償請求が出来る場合があることになります。

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 佐藤 明◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2007年10月号(vol.21)>

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