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【法務情報】中小企業退職金共済法施行規則の改正について

 │ 新潟事務所, 労働, 弁護士橘里香

1 「中小企業退職金共済制度」とは
  「中小企業退職金共済制度」とは,単独では退職金制度を備えることが出来ない中小企業者の相互共済の仕組みによる外部積立型の国の退職金制度です。

 
2 改正点
 中小企業退職金共済施行規則の一部を改正する省令(平成22年厚生労働省令第119号)が平成22年11月12日に公布され,これにより平成23年1月1日から同居の親族のみを雇用する事業も中小企業退職金共済制度に加入できるようになります。

 また,既に被共済者となられている方を含め,同居の親族に関する手続きが変更になります。

 
3 改正の趣旨
 改正以前は,中小企業退職金制度が適用される「従業員」とは,労働基準法等が適用される「労働者」の範囲と同じであると解されてきました。

 
 しかし,雇用・経済情勢が悪化した昨今,退職した従業員の生活保障の重要性が改めて意識されるようになってきた中,事業主と生計を一にする同居の親族を雇用する事業に雇用される者であっても,使用従属関係が認められる者が存在することが明らかになり,このような実態を踏まえて、同居の親族のみを雇用する事業に雇用される者であっても,使用従属関係が認められる親族については,中小企業退職金共済法の「従業員」として扱うことにしたのです。

 
 親族のみで経営している中小企業は,大変多く存在しますが,このような企業で国の退職金制度を利用するためには,今までは法人で役員等になって,国の経営者に係る退職金制度「小規模企業共済」を利用するしかありませんでした。法人で役員等についていない親族従業員は,公的な退職金制度に加入することが出来ないという不便がありました。

 
 しかし,平成23年1月1日から,このような制度の狭間にあった人たちにも中小企業退職金共済制度が利用出来るようになったのです。
 

4 具体的改正内容
 ① 退職金共済契約の申込みの際,同居の親族のみを雇用する事業所か否か,加入させる従業員が同居の親族か否かの届け出が必要になります。

 ② 被共済者が同居の親族である場合には,申込書に事業所に雇用される者で,賃金を支払われる者であることを確認できる書面及び小規模企業共済制度の共済契約者でないことを誓約する書類を添付する必要があります。
 ③ 掛金負担軽減措置の対象には,同居の親族のみを雇用する共済契約者は含みません。
 ④ 被共済者が退職時において共済契約者の同居の親族であるときは,退職時の届け出に従業員証明書類および退社の事由を証する書類を添付する必要があります。
 ⑤ 同居の親族以外の者を雇用する共済契約者が同居の親族のみを雇用することになったとき,又は,同居の親族のみを雇用する共済契約者が同居の親族以外の者を雇用することとなったときは,共済契約者は遅滞なくその旨を独立行政法人勤労退職金共済機構に届け出ることが必要になりました。

 
5 最後に
  なお,同改正にともない,申込用紙が変更になりました。今後の加入に際しては,新しい申込用紙を使用する必要がありますので,ご注意下さい。

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 橘 里香◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2010年12月15日号(vol.68)>

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