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税法ワンポイント② ―資産の譲渡に関する課税―

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今回は前回に引き続き,

税法ワンポイント② ―資産の譲渡に関する課税―

をお届けします。

 

まだご覧になっていない方は,前回の記事もぜひあわせてお読みください。

★ 税法ワンポイント① ―資産の譲渡に関する課税― ★

___________________________________________

 

1 個人間の贈与の場合の所得税課税

前回は,法人間で資産を無償譲渡した場合に,

時価で譲渡した場合と同様に益金算入するというお話しをしました。

それでは,個人間で資産を無償譲渡(贈与)した場合の所得税の課税はどうなるのでしょうか。

 

2 譲渡所得課税の原則

個人が資産を譲渡した場合には,その譲渡所得について所得税がかかります。

すなわち,所得税法では,

新たに得た経済的利益の全てが所得と考えられている(包括的所得概念)ため,

所有資産の価値の増加(値上がり)も所得なのですが,

所有資産の価値が増加しても,売却して対価を得るなどしなければ

その増加した価値は未実現の利得のままですから,

資産を手放す際に,所有期間中の価値の増加が実現したと考えて課税を行うのです。

そして,譲渡所得額の計算は,

総収入金額-(資産の取得費+譲渡費用)-特別控除額(50万円)

となっています(所得税法33条3項,4項)。

 

以上からすれば,資産を無償譲渡した場合には,

贈与の時のその資産の時価を総収入金額として譲渡所得額の計算をすることになりそうです。

 

3 原則の修正

しかし,贈与者が何も対価を得ていないのに税金を支払わなければならないとなれば,

納税資金に窮することが考えられます。

他方,個人間の贈与の場合に,

贈与者の所有期間中の価値の増加部分について課税を行わないとなれば,

有償譲渡の場合と不公平が生じてしまいます。

 

そこで,所得税法では,贈与の際には,贈与者(前主)には課税せず,

受贈者(後主)がその資産を他に譲渡する時に,

前主の所有期間中の増加益についても併せて課税することにしています(課税繰延)。

すなわち,後主が前主の取得費を引継ぎ,後主がその資産を譲渡するときには,

総収入金額から同取得費が控除されます(所得税法60条1項)。

このように,個人間の資産の無償譲渡においては,

納税者の実情に配慮して,政策的な観点から原則が修正されています。

 

4 まとめ

以上をまとめると,

⑴個人間で資産を譲渡した場合には,譲渡者に対し,

譲渡により実現した資産の値上がり益を譲渡所得として所得税がかかるのが原則である。

⑵個人間の資産の贈与の場合にも,原則からすれば,

資産の時価を総収入金額として譲渡所得が計算されるはずだが,

政策的な観点から,課税が繰り延べてられている。

となります。

 

なお,個人間の資産の贈与の場合には,

譲受人に贈与税がかかることがありますので,その点もご注意下さい。

 

◆弁護士法人新潟第一法律事務所 弁護士 小林優介◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2016年3月1日号(vol.190)>

※掲載時の法令に基づいており,現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。

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