【法務情報】クレーマーへの対応について
クレームとは、消費者や顧客の不満に基づく企業側に対する要求や苦情を言います。特に最近では消費者クレームが多くなっているようで、書店ではクレーム対策の書籍がいくつも並んでいる状況です。
会社の初期対応がうまくいけば、会社内だけで解決できるのですが、すべてのクレームが早期に解決できるとは限りません。
様々な要求をしてくるクレーマーに対して、安易にそれに応じてはいけません。
例えば金銭を要求されているのであれば、金銭で賄わなければならないような損害が実際に生じているのか、その損害について会社が責任を負うのかを判断する必要があります。
その際には、不法行為責任(民法709条以下)、瑕疵担保責任(民法570条、同566条、同634条等)等といった法律上の規定に照らし合わせて判断していくことになります。
その判断のために、十分な事実調査(クレームの中身、損害の内容・程度、等々)が不可欠となりますので、初期の時点から、事実関係の調査をしっかり行う必要があります。
また、法的な判断が必要となってきますので、事実調査をした上で弁護士に相談された方が良いでしょう。
さらに、会社内での対応が困難であれば、弁護士を立てて交渉する必要が出てきますし、交渉では埒があかないとなれば、民事調停手続(簡易裁判所において調停委員という裁判所が選任した第三者を間に立てて話し合う手続)や、ADR(裁判外の調停類似の手続)を利用するなどして解決を図ることになります。
クレーマーが一般消費者であれば会社内だけで解決できる場合もあります。
しかしクレームの主体が暴力団等の場合、会社内だけで解決しようせず、早急に弁護士や警察に相談しなければなりません。一般消費者クレーマーの場合よりも、暴力団等が主体となっている場合の方が、弁護士等の介入により事態が早期に沈静化することが意外と多いようです。
いかなるケースであっても、対応について不明な点があればお気軽に弁護士にご相談ください。
それから、どのような案件であれ、窓口となっている担当者が過重なストレスを抱えない体制を作って頂ければと思います。(参考文献 森山満 著「企業のためのクレーム処理と悪質クレーマーへの対応」(商事法務))
◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 朝妻 太郎◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2008年12月号(vol.34)>