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【法務情報】債権の回収を確実にする対策

 │ 新潟事務所, ビジネス, 弁護士古島実

Q 債権の回収を確実にするには、日頃からどのような対策を講ずれば良いでしょうか?

  

 問題のある債権については、事前準備の有無によって回収できる金額にかなりの差が出てしまいます。ここではいくつかの対策例を紹介いたします。

 

1 時効管理
  不払いが発生し、その後消滅時効期間が経過してしまうと、売掛先が時効完成を主張すると売掛金の請求ができなくなります。会社の債権の消滅時効期間は一般には5年ですが、例えば物品の売買の売掛金は2年というように短い期間が定められている場合があり注意が必要です。
 支払いが滞っている売掛先に請求書を出し続けていても消滅時効期間が伸びることはありません。不払いの発生から消滅時効期間が経過しないうちに、早めに訴訟を出して決着をつけるか、売掛先に残高を書面で確認させたり、一部でも良いので支払わせたりなどの工夫をして、「時効の中断」(時効期間を伸ばすこと)が必要です。

  

2 調査
   債権者は売掛先の決算書を入手する法律上の権利がありますので、売掛先の決算書を検討したり、リサーチ会社を利用したりして、売掛先の財務状況を調べ、問題があれば取引を縮小するなどの対応が考えられます。
 売掛先が所有する事務所や工場の土地建物の登記簿を入手すると、売掛先の借入先や借入の規模などが大まかに分かります。登記簿は誰でも入手できます。

  

3 取引基本契約書
 取引を開始するにあたって、取引基本契約を締結することをお勧めします。
  その中で、商品の所有権の移転時期を「引渡時」ではなく「代金完済時」と定めることにより、不払いが発生した場合に商品を取り戻しやすくなる場合があります。
  そして、不渡りや不払い等の信用不安が生じたときに、支払期限が来ていない売掛金を直ちに全額請求できるようにして、商品をできるだけ早く引き上げたり、取引契約の解除によって取引を停止したりして損害の拡大を防止することができます。
  さらに、信用不安などの特別な事情が無くても、例えば「契約更新の6ヶ月前に更新に異議を述べた場合には取引契約を解消する」という定めをおいて、問題を抱えている取引先との取引をやめやすくすることも可能です。

  

4 担保・相殺
 不払いに備えて、売掛先の不動産に担保権を設定してもらったり、売掛先の在庫商品や売掛債権を一括で担保に提供してもらったり、保証金を預かったりすることも考えられます。
 また、売掛先から掛けで仕入れて、売掛金と買掛金を同じくらいの額にしておけば、売掛の不払いが生じたときに買掛金を相殺によって消滅させ、損失を最小限にすることができます。

  

5 ファクタリングの利用
 ファクタリングの利用により早期回収をはかり売掛金の増大を防止します。また、ファクタリング契約の内容によってはファクタリング会社が不払いによる損失をカバーすることも可能です。

  

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 古島 実◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2009年5月号(vol.38)>


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