遺産分割調停について~遺産確認の訴えとは?~
相続手続の際に聞く「遺産確認の訴え」とはなんでしょうか?
1 遺産確認の訴えとは
相続に関しては,割合や分け方が問題になるだけでなく,
そもそも分割協議の前提である相続財産の範囲が問題になる場合があります。
例えば,実際には被相続人の財産であるのに,
表面上は相続人のどなたかの名義になっている,
または実際には相続人の財産であるのに表面上だけ被相続人の名義になっているという場合です。
2 相続財産の範囲を決める方法
相続財産の範囲に争いがある場合,
その範囲を決める方法としては,次の3つが考えられます。
①調停において相続人全員で協議して合意決定する,
②遺産分割審判において併せて判断を示して貰う,
③遺産確認の訴えを起こす。
従前は,一挙解決という観点から②の方法も見られましたが,
昨今は,遺産分割審判において示された相続財産の範囲には,
既判力(判決確定後に二度と争えなくなる効力)がないと考えられることから,
前提問題として,別途,地方裁判所で③遺産確認の訴えを起こし,判決を貰うようにと促されます。
すなわち,遺産の範囲に争いがある場合は,
家庭裁判所での手続きだけでなく,
地方裁判所での手続きが必要になる場合があるのです。
◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 橘 里香◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2013年12月15号(vol.140)家事チーム連載⑬>
※掲載時の法令に基づいており,現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。