持ち戻し免除とは・・・
│ 弁護士橘里香
被相続人から生前に贈与を受けたお金などがある場合(=いわゆる特別受益),
相続人間の公平の観点から,
この金額を相続財産に加えて相続における分配を考えることになります。
この制度は,相続人の公平を図るための制度ですが,
この特別受益が相続において紛争を深める一因となることもしばしば見受けられます。
すなわち,長男は自宅建築に際してお金を受けとったはずだ。
長女は結婚の際に多額のお金を貰ったはずだなどという主張がでてきて,
争われるのです。
子どもを思って援助したお金が,
相続の場面では子ども同士の紛争を深める原因となりかねないのです。
このような紛争を防止する一つの方法が「持ち戻し免除の意思表示」です。
すなわち,生前に贈与したお金などについて,
特別受益として持ち戻して考えないでくれという意思表示です。
相続の際に,生前の贈与で揉めて欲しくないということであれば,
持ち戻し免除の意思表示を残しておくことをおすすめします。
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2014年12月15号(vol.164)家事チーム連載㉓>
※掲載時の法令に基づいており,現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。