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知らずに侵害?著作権侵害に注意!

 │ 新発田事務所, 新潟事務所, 燕三条事務所, 長岡事務所, 上越事務所, 東京事務所, 弁護士橘里香

 

 

Q.「会社業務におけるコピー配付」

 

 例えば,漫画や書籍を勝手にネットにアップすると著作権侵害にあたることなどは,

一般の方にも知られており,

このような行為について制限されることは一般人の感覚にも合致するところです。

しかし,著作権については,まだまだ一般人の感覚とはずれがある部分や,

著作権侵害にあたるとの意識がない部分が沢山あります。

会社での書籍のコピー配布もその一つだと思います。

 

 著作物として権利が認められるものについては,

その利用の際には原則として著作権者の許諾が必要です。

著作権者の許諾なく利用できる場合は限定されており,

著作権法30条から47条でのいずれかを満たさない限りは,許されません。

 

 ここで,一つの判例を紹介したいと思います。

従前,法務局は,土地について記載した「土地宝典」という地図(書籍)を備え置き,

利用者に無償でコピーをとらせていました。

 

同書籍の著作権を取得したXが,同行為は,

被告自身(=国,法務局)による著作権(複製権)侵害行為に当たるか,少なくとも

不特定多数の第三者による本件土地宝典の複製権侵害行為を教唆ないし幇助する行為に当たり,

また,本件土地宝典の著作権の使用料相当額の支払を免れた不当利得にも当たるとして,

損害賠償及び不当利得を求め裁判となりました。

 

高裁まで争われた結果,著作権侵害にあたると判断され,

国に一定額の支払いが命ぜられました

(東京地裁平成20年1月31日判決,知財高裁平成20年9月30日判決)。

 

 例えば,業務に関連してお客様に地図のコピーを渡す行為も,

厳密に言えば,上記同様著作権侵害になってしまうのです。

かかる行為が著作権侵害に当たるという認識を持っていない一般の方も多いと思われます。

 

小規模であれば,そもそも著作権者に知られず,

訴えられたりという可能性は低いかと思われますが,

やはり,侵害行為にあたるという意識は持っておく必要があると思います。

 

 では,お客様に対して交付するのではなく,純粋に社内で使用する場合はどうでしょうか

結論からいえば,これも著作権侵害に当たります。

 

素朴な疑問として,

「個人的使用ないし家庭内使用に準ずるとして許されないのか」

と思われる方も多いと思います。

 

著作権法30条1項は,次のように規定しています。

 

「著作権の目的となっている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は,

個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること

(以下「私的使用」という。)を目的とするときは,

次に掲げる場合を除き,その使用する者が複製することができる。」

 

すなわち,個人的使用ないし家庭内使用として無許諾使用が許されるためには,

「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」

に該当することが要件とされるのです。

 

この点について,社内プレゼンでの使用について争われた明確な判例はありませんが,

学説上『これに準ずる限られた範囲内』とは,

メンバー相互の間に強い個人的結合関係が有ることが必要とされております。

 

作花文雄「詳解 著作権法」(株式会社きょうせい)では,

「所属する部や課の中で利用するなどのケースでは,ここでいう限られた範囲内とは言えない。」

との見解が示されております。

 

 会社内での音楽やDVDの放映も同じです。

会社の雰囲気作りのために音楽やDVDを流している会社も多く存在します。

しかしながら,これらの行為も厳密には著作権者に利用申し込みをし,

許諾料を払い,許諾を得て行う必要があります。

近時は,JASRACから著作権侵害で訴えられる事案も出ています。

 

 著作権は,いまだ一般の方に

その権利性の認識や侵害行為の類型などが十分知られていない分野です。

 

年配の方などからすれば,

「昔はこんなこと何処でもやっていたし,問題にする人などいなかった」

という感覚を持たれることも多いと思います。

 

しかしながら,昨今は,権利意識の高まりが見られ,

著作権管理団体なども,裁判を起こすことで違法性の意識を浸透させ,

利用料の徴収を行おうと様々な新しい形の訴訟が提起されています。

 

会社として,著作権について正しい知識を身につけておくことが大切です。

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 橘 里香◆

<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2016年2月15号(vol.189)>

※掲載時の法令に基づいており,現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。

 

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