一新総合法律事務所スタッフブログ

【弁護士に聞いてみた!】SNSなどでデマを流して混乱!法的に罰せられる!?

 │ 弁護士に聞いてみた!, 新潟事務所, 燕三条事務所, 長岡事務所, 新発田事務所, 上越事務所, 東京事務所 

新型コロナウイルスをめぐってSNSなどでデマが広がり、全国的にSNSでは「トイレットペーパーとティッシュペーパーが品薄になる」といった情報が流れ、実際に不安に思った人による買い占めが発生し、品切れ状態になったりしています。

このようなデマを流した人は特定できるものでしょうか?

また、流した本人以外に、拡散した人物についても罰せられることはあるのでしょうか?

そして、日本には、デマを流す行為自体を取り締まる法律はないとのことですが、そのような立法は可能なのでしょうか?

 

当事務所高崎事務所所属の下山田聖弁護士に聞いてみました。

 

デマを流した人は特定できるか?

デマが原因で混乱が発生した事例としては、金融機関の取り付け騒ぎが有名です。

金融機関の経営が危ないというデマが原因で、多数の顧客が預金を引き出してしまう事例です。

捜査を進める中で,デマの出所を調査し、その出発点となった人物を特定できた事例もあるようです。

 

現代社会では、SNSによる発信が出所になるケースが多いかと思いますが、会話の中での冗談や噂話が発端となったケースよりも、記録が残る以上は、特定しやすいのではないでしょうか。

 

デマを流した本人以外に、拡散した人たちについては処罰できるのか?

上の例でいうと、デマを流した本人には、「虚偽の風説を流布し、……人の信用を毀損し……」たとして、信用毀損罪が成立する可能性があります。

 

しかしながら、デマを拡散した人については、評価が難しいところです。

 

そもそも、拡散した人を処罰するためには、拡散させた内容が虚偽であることを本人が認識していることが必要です。

信用毀損罪にいう「虚偽の風説」は、自らが捏造したものである必要はありませんが、信用毀損罪が故意犯である以上、拡散した人にも虚偽であるという認識がなければ処罰できません。

 

そのため、デマを拡散した人が処罰される可能性は低いのではないでしょうか。

 

デマを流す行為自体を処罰する立法は可能なのか?

デマを流す行為それ自体を処罰する立法が可能か、という点については、「犯罪とは何か」ということを考える必要があります。

 

保護法益を侵害する行為を、刑罰をもって抑止しているのが「犯罪」です。

殺人罪は人の生命を守るための規定ですし、信用毀損罪の保護法益は、人(法人含む。)の経済的信用です。

 

また、犯罪とする行為は、定義を明確にし、かつ、必要最小限であるべき、というのが基本的な考え方です。

これがなければ、自分の行為が犯罪になるのか分からず、自由な活動ができなくなります。

 

「デマを流す行為」自体、社会生活に無用の混乱を招くものであることは確かです。

しかしながら、確実な根拠に基づくものしか発信できないとなれば、それはそれで過度な制約であることは否めません。

 

以上のことを考えると、「デマを流す行為」それ自体を刑事罰の対象にする立法が可能かという点については、消極に考えざるを得ないのではないかと思います。

 

下山田聖弁護士にの紹介はこちら

PAGE TOP