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社会で実際に起こった、事例や改正された法律をふまえ、法律に関する情報をご紹介します。

【法律相談】コンサルタント料回収の可能性

 │ 弁護士今井誠, 新潟事務所, ビジネス

Q.私は工務店を経営していますが、最近立て続けに建築工事代金を踏み倒されてしまいました。困って知り合いに相談したところ「建設コンサルタント」を紹介されました。未収の工事代金は3社で約1500万円に達していましたが、それの回収指導のコンサルタント料として、100万円を支払ったにも関わらず、半年たっても全く回収されず、そのうちそのコンサルタントと連絡すら取れなくなりました。未収代金のコンサルタント料の回収はできますか?

 

A.まず、あなたが依頼した「建設コンサルタント」が問題です。

 
 最近「〇〇コンサルタント」と自称する人や会社が目につきますが、中には「コンサルタント」とは名ばかりの「詐欺師」や「ブローカー」も少なくないのが実情です。そうした人たちは「資金繰りに困っている人」や「債権回収に苦労している人」などの情報に接すると、積極的にその者に近づき、甘言を弄して「コンサルタント契約」を結ばせます。そして「コンサルタント料」や「調査料」の名目である程度のまとまった金を受け取った後は、型通りの調査や交渉を行って「回収不能」と報告してくることが多いのです。中にはあなたの依頼したコンサルタントのように、ほとんど活動らしい活動もしないまま、「コンサルタント料」や「調査料」をネコババしてしまう者も少なくないのです。

 
 そのような悪徳コンサルタントから支払済みの「コンサルタント料」や「調査料」を取り戻すことは極めて困難です。彼らは、意図的にそのような悪事を働いていることが多く、しかも、居場所すら定まっていないものが多いので、責任追及することさえ難しいのです。そのような悪徳コンサルタントはどうしても許せないという場合には、成果を無視して刑事告訴するしかないでしょう。

 
 つぎに、あなたの債権管理が問題です。

 
 工事代金が未収となったときには、一刻も早く弁護士に相談することです。相談には早すぎるということはありません。どちらかというと多くの相談は遅すぎて、対応策がふさがれてしまうケースが多いのが実情です。弁護士との顧問契約をしている会社でさえ、一般的に売掛金などの回収相談は遅くなりがちですので注意が必要です。 

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 今井 誠◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2007年11月号(vol.22)>

【法務情報】税務訴訟のすすめ

 │ 弁護士今井誠, 新潟事務所, ビジネス

1.最高裁判所(第3小法廷)は、去る7月6日(※2010年)、年金特約付きの生命保険契約に基づく権利を相続した妻が長崎税務署長から受けた更正処分を不服として訴えた「所得税の更正処分取消訴訟」において、申立人(一審原告・上告人)の主張を容れて原判決(原告の請求を認容した一審・長崎地裁の判決を覆した二審の福岡高裁の判決)を破棄し、申立人の主張を認容する判決を下した。

 

2.この事件は、夫の死亡により、生前夫が契約していた特約付きの生命保険(年金型の生命保険)の指定受取人になっていた妻が、保険金(特約年金)230万円の支給を受けた際、所得税法の規定に基づき源泉所得税22万800円の控除を受けたので、翌年の確定申告の際、230万円の保険金を収入に計上しないで、控除(納税)された所得税の還付申告をした。

 
 しかし、所轄の税務署長は、この還付申告を認めず、最終的に還付金を19万7864円に減額した更正決定(再更正)をした。

 

3.この訴訟での基本的争点は、保険金(特約年金)に対する「相続税」と「所得税」の二重課税の是非であったが、二審の福岡高裁は年金型の生命保険の受給権の法的性質を「年金受給権」それ自体と「毎年支払われる年金」(支分権)を区別し、相続税の対象とされた生命保険契約上の基本権と毎年支払われる年金額を所得税の対象とすることは「二重課税」に当たらないとして、申立人(原告)の請求を認めなかったものである。

 

4.一昔前までは「税務訴訟は勝てない」「税務に関しては争っても無駄」と考えられてきたが、今や時代は大きく変化し、税務訴訟も勝てる時代になりつつある。ここ数年税務訴訟を取り巻く環境は大きく変化し、税務訴訟の件数は増大し、納税者側の勝訴率も上昇しつつある。訴訟事件だけを見ても、10年前のほぼ5%の勝訴率が今では10%程度になっており、訴訟前の「異議申立」「審査請求」の認容率が15%程度であることを考えると「諦めるのは早すぎる」というべきであろう。

 

5.当事務所でも、最近になってやっと本格的な税務訴訟に取り組みつつある。

 
 これまでも、税務署の課税処分を不服として、税務署と交渉し、異議申立をし、審査請求などをしてきたが、訴訟まで至らずに解決してきた。交渉で成果の上がった案件も何件かあったが、多くは勝訴の見込みが無く訴訟を断念したのが実情である。これまで新潟地裁に提起された税務訴訟は、数えるほどしかないはずである。

 
 全国的にはここ数年相続税関連をはじめとして多くの税務訴訟が提起され、最高裁判所の判決も積み重ねられつつある。税務訴訟に取り組む弁護士や税理士の数も増えつつあるようだ。

 

6.私自身が税理士登録をしてから30年近くなるが、これまで税務訴訟の依頼を受けないことが不思議なくらいである。税務署と税理士の関係は、弁護士から見ると異様な上下関係に見える。納税者(顧客・依頼者)が課税処分に不服であっても、よほどのことがないと訴訟に訴えることをしようとしないが、はたしてそれでよいのだろうか?

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 今井 誠◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2010年9月15日号(vol.62)>

コモンズクラブって?

 │ 弁護士今井誠, 事務所からお知らせ

 相談者:今日は顧問弁護士について相談したくやってまいりました。

 
 弁護士:どなたかの紹介ですか?

 
 相談者:一新総合法律事務所のホームページを見て連絡させてもらいました。「コモンズクラブ」という団体があるそうですが、どのような団体でどのような活動を行っているのでしょうか?

 
 弁護士:「コモンズクラブ」は、当事務所と顧問契約を結んでいる「企業」「団体」「個人」の集まりで、当事務所が「商標登録」している任意の団体です。年1回の総会のほか、年何回かのセミナー・勉強会とゴルフコンペ、交流・懇親会などを行っています。事務所から毎月(2回)「こもんず通心」という「情報紙」を送付しています。

 
 相談者:「コモンズクラブ」には、誰でも入会できるのですか?

 
 弁護士:原則的には、希望すれば誰でも入会できますが、事務所で簡単な審査をさせていただいております。すでに「コモンズクラブ」のメンバーになっている会社や組合の紹介・推薦であれば「審査で拒否」ということはまずありません。当事務所の所属弁護士の推薦(過去の仕事の依頼者や日頃お付き合いさせていただいている企業や団体)の場合も同様です。

 
 相談者:私の場合はどうなりますか?

 
 弁護士:今現在なんらかの「トラブル案件」を抱えておられますか?もし現在すでに「トラブル案件」を抱えていたり、他の事務所に事件を依頼していたり、他の弁護士と顧問契約をしているような場合には、その案件の処理が終了し顧問契約が終了するまでは、原則として入会を留保させていただいています。すでにメンバーになっている「企業」や「団体」と対立関係にあり、係争中である「企業」や「団体」については入会をお断りすることにしています。

 
 相談者:私の会社は今まで弁護士の世話になるようなことが全く無かったのですが、同業者の中に東京の弁護士に相談しているところがあるそうなので、うちでも万一のことがあると困るので相談に来ました。

 
 弁護士:これからは、日本社会も権利・義務をふまえた「契約社会」「法化社会」に向かっていくことは間違いないところなので、ある程度の企業は顧問弁護士の一人や二人は必要なのではないかと思います。弁護士もそのために年々増員されています。

 
 相談者:月額顧問料はいくら位でしょうか?

 
 弁護士:「企業」「団体」の規模(資本金、従業員数)や業種(トラブルを多く抱える業界など)や相談件数などによって一律ではありませんが、標準は月額3万円(消費税別)となっています。個人の場合は、月額5千円(一律・消費税別)となっています。もしよかったら「入会申込書」を提出してみてください。

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 今井 誠◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2011年1月31日号(vol.71)>

【法律相談】事業承継と遺言書

 │ 弁護士今井誠, 新潟事務所, 遺言・相続

 

 

Q.私は将来、父の会社を継ぐため、3年前に他社勤務を辞めて当社に入社しました。 

当社は建設会社を中核にいくつかのグループ会社をもっています。私の父が創業者でグループ会社の株の過半数を父が保有しています。

私には弟と妹がいますが、父は私を後継者に指名し、グループ会社の株の全部と事業用資産、それに両親が住む土地建物を私に継がせるために遺言書を書くといっていますが、そのような遺言は有効(有益)でしょうか。

 

 

A.遺言が有効かどうかは一概に判断できません。
  何故かというと、遺言したからといって遺言者の期待どおりに相続手続や事業継承がうまくいくとは限らないからです。
  父親が長男への事業継承にこだわり、財産の大半を長男に相続させると遺言書に書いても、母親と他の相続人(弟や妹)がそれに反発すると逆効果になってしまうこともあります。
  親子関係や兄弟関係に特別問題のない場合には、父親の考えを子供や奥さんにきちんと伝え、誤解のないようにしておくことが大切です。
  後継者と目されている長男が、他の法定相続人に内密にして自分に有利な内容の遺言書を書かせたと誤解されて思わぬ紛争(相続争い)が起きてしまうことが少なくありません。
 事業継承をともなう相続手続は、法定相続人の間だけでなく、他の株主、役員、従業員、銀行、取引先などとの間でも利害対立する面があり、それだけに各方面への配慮が必要です。

   親子関係や兄弟関係に多少とも問題があり、会社経営をめぐって役員や株主間に対立のあるようなケースでは、父親が健在のうちに顧問弁護士とよく相談して対策を練ることが重要です。そうした対策の一環として遺言を活用することは有効です。
 ある程度の紛争を想定して、その予防策や紛争対策を事前に検討しておくことは、責任のある経営者のとるべき道として当然のことだからです。
 遺言を活用した事業継承対策や相続対策は、遺言書が無効であっては何の意味もありません。
 遺言の方式(遺言書の作成方式)には、「普通方式」(自筆証書・公正証書・秘密証書の各方式)と「特別方式」(危急時方式など)があり、それぞれ厳格な要件(有効要件)が定められています。自筆証書遺言の場合には、方式違反で無効となる場合が少なくないので注意が必要です。事前に顧問弁護士とよく相談して、手続を誤らないようにしてください。


                                  

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 今井 誠◆

<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2007年3月号(vol.14)>

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