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災害支援型自動販売機をご存じですか?(弁護士:山田真也)

 │ 長岡事務所, 震災, その他, 弁護士山田真也, コラム

1 はじめに

令和6年1月1日、能登半島地震が発生しました。

犠牲になられた方々に謹んでお悔みを申し上げるとともに、被災されました皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 

今回の地震に際して、避難先の自動販売機が無断で破壊され、飲料が持ち出されるという事案がありました。

同事案をきっかけに、皆様に「災害支援型自動販売機」の存在を知っていただきたく、同事案の法的な問題点を解説します。

 

2 事案の概要

能登半島地震が発生した1日の夜、自主避難先となっていた石川県立穴水高校に設置されていた自動販売機が破壊され、中の飲料が持ち出されるという事案が発生しました。

後日、同自動販売機は、数人によって破壊され、飲料は避難中の住民に配布されていたことが明らかになりました。

 

同自動販売機の管理会社のうちの1社である北陸コカ・コーラのボトリングは、18日、石川県警察に被害届を提出しました。

その後、22日、自動販売機の破壊に関わったとされる人物のうちの1人から同社に連絡があり、同人は謝罪及び反省の弁を述べるとともに、被害弁償の意思を示したとされています。

 

報道によれば、同人は、「子ども連れの方に配ろうと思った」、「地震で気が動転していた」等の旨を述べているとのことで、同社は、地震直後で平時とは異なる状況であったことを考慮し、同人に対する被害弁償は求めず、刑事告訴もしない意向とのことです。

 

3 法的問題点

今回の事案では、法的に以下が問題となります。

⑴ 刑事

まず、自動販売機を損壊した場合、損壊した人は「器物損壊罪」に問われる可能性があります。

また、自動販売機の中の飲料を持ち出す行為については「窃盗罪」に問われる可能性があります。

 

次に、中の飲料を受け取った人ですが、事情を知らずに受け取った場合は罪に問われることにはならないと考えられます。

一方、飲料が不正に取得されたもの(=盗品であること)を認識したうえで受け取った場合は「盗品等無償譲受け罪」に問われる可能性があります。

 

なお、刑法上、「緊急避難」という概念があり、急迫な危難を避けるためにやむを得ずにした行為で、かつ、実際に生じた害が避けようとした害を超えない場合は、罰しないとされています。

本件も「緊急避難」が成立すれば、罪に問われないことになります。

しかしながら、本件のケースでは、「自動販売機を損壊してまで中の飲料を飲まないといけない急迫の状況」にあったと言えるのか、また、「管理会社に連絡をする」等他の手段を取ることができなかったのかなど、検討すべき事由があり、緊急避難の成立は難しいように思われます。

 

⑵ 民事

損壊した自動販売機本体、及び、中の飲料について、損害賠償責任を負うことになる可能性があります。

 

4 災害支援型自動販売機

それでは、本件で自動販売機を損壊してしまった人たちは、どのように行動するのが適切だったのでしょうか?

 

今回、損壊された自動販売機は、「災害支援型」と言われ、有事の際、所定の操作により、無償で中の飲料を取り出すことができる仕様の自動販売機でした。

近年では、そのような災害支援型自動販売機の設置が増えています。

 

具体的な操作については、自動販売機のタイプによって分かれているため、実際の場面では、まず自動販売機に記載されている連絡先に連絡をし、指示を仰ぐべきでしょう。

 

5 おわりに

今回の事案は、災害支援型自動販売機に対する正しい知識が十分でなかったこと、また、災害という緊急事態の状況で冷静な判断ができなかったことに原因があると考えられます。

 

しかしながら、うえで解説したとおり、有事の際であろうと基本的に許容される行為ではなく、刑事及び民事の責任を問われる可能性のある行為であることは、今後の教訓として各人が理解しておく必要があります。

 

本稿をきっかけに、災害支援型自動販売機の存在を知った方がお一人でもいてくだされば幸いです。

 

この記事を執筆した弁護士
弁護士 山田 真也

山田 真也
(やまだ しんや)

一新総合法律事務所 弁護士

出身地:新潟県新潟市 
出身大学:一橋大学法科大学院修了
国立大学法人において倫理審査委員会委員(2021年~)を務める。
主な取扱分野は、離婚、相続、金銭問題等。そのほか民事、刑事問わずあらゆる分野に精通し、個人のお客様、法人のお客様を問わず、質の高い法的サービスを提供するように心掛けています。


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