遺産分割調停について~寄与分とは?~
相続手続の際に聞く「寄与分」とはなんでしょうか?
1 寄与分とは
被相続人の財産の維持又は増加について特別に寄与した者に対して,
法定相続分の他に認められる特別の相続取り分のことを寄与分といいます。
長男はほとんど無給で父の事業を手伝い,父親が財産を築くのに特別な貢献をしてきたが,
弟は遠方に居住してサラリーマンとして働いていたという場合などに,
相続人である兄弟間の実質的公平を図るために認められた制度です。
2 申立方法
相続人全員で協議して決めるのが原則ですが,
協議で決まらない場合には,家庭裁判所に審判を申し立てて決めてもらう方法があります。
但し,寄与分は遺産分割の前提問題なので,必ず一緒に遺産分割の審判を申し立てる必要があります。
3 計算方法
寄与分が認められた場合,寄与者の相続分の計算は,以下のとおりになります。
(相続財産額-寄与分額)×相続割合+寄与分額
4 範囲
寄与分が認められるためには,
家族として通常期待される程度の介護や援助程度では足りず,
通常の程度を超えた特別の寄与が必要です。
◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 橘 里香◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2013年11月29号(vol.139)家事チーム連載⑫>
※掲載時の法令に基づいており,現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。