相続について考える~自分に相続人がいない場合,遺産はどうなるの?~
もし,貴方に相続人が1人もいなかったら,
貴方の遺産はどうなるでしょうか。
この場合には,
家庭裁判所に相続財産管理人を選任してもらう必要がありますが,
これには貴方の債権者等の利害関係人や検察官による申立てが必要ですし,
相続財産管理人の報酬に充てるための予納金も必要です。
こうして選任された相続財産管理人は,
貴方の遺産を調査し,債務があれば債権者に弁済したりします。
債務を弁済しても財産が残った場合には,
特別縁故者(貴方と生計を同じくしていた人や貴方の療養看護をしてくれた人等)に,
貴方の財産の一部または全部が分与されることがあります。
しかし,これも,その人から家裁に請求の申立てが必要ですし,
貴方と特別の縁故があったことを資料等で明らかにしなければなりません。
また,この請求ができるようになるまでには,
短くても貴方の死後1年程度はかかってしまいます。
なお,ここまでしても財産が残った場合には,最終的には国庫に帰属します。
もし,貴方が,お世話になった人に,このような煩わしい思いをさせずに,
また確実に財産を遺したいと思われるなら,遺言をしておかれるとよいでしょう。
◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 角家 理佳◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2014年5月30号(vol.151)家事チーム連載⑰>
※掲載時の法令に基づいており,現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。