相続における不動産の問題
│ 弁護士橘里香
1 相続における不動産の分け方には以下の4つの方法があります。
①現物を分筆等の方法で分ける。
②売って売却代金を分ける。
③一人が相続して,他の相続人に持ち分相当額を代償金という形で支払う。
④共有とする。
2 しかしながら,対象不動産が居住建物の場合などには,
①や②の方法がとれず,難しい問題が生じます。
法定持分割合に相当する代償金が準備できないという事態です。
最悪の場合は,審判で共有とされた上で,
争いのある他の相続人から共有物分割請求訴訟を出され,
結果的に競売にかけられ,その代金が分割されるという事態も考えられます。
3 不動産を残す場合には,相続で揉めた場合に金銭解決が図れるように
一定の現金も合わせて残してあげておくことが大切になってきます。
相続は,現金が少なく不動産のみが残るケースこそ複雑です。
不動産をお持ちの方は,是非,不動産の相続の問題を考慮頂き,
事前に対策を講じて頂きたいと思います。
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2014年11月14号(vol.162)家事チーム連載㉒>
※掲載時の法令に基づいており,現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。