12/13「過労死にみる長時間労働のリスクと求められる対応」セミナーを開催いたしました!
本年最後の定期セミナーとして,
「長時間労働のリスクと求められる対応セミナー」を開催いたしました。
今回のセミナーでは,2016年に各メディアで大きく取り上げられた,
大手広告代理店の社員の過労による自殺が労災と認定されたという事案を受け,
「長時間労働のリスク」と
「長時間労働を避けるために企業に求められる対応」
についてのセミナーを開催いたしました。
当日の講師は,労務に関するセミナーを多く担当している
長岡事務所所属の弁護士五十嵐亮が務めました。
◆ 今回のセミナーの要旨 ◆
(約3分で読めるセミナーダイジェストです!)
過労死や過労自殺が労災認定をされるには,
過重労働=長時間労働が課されていたのかという点が大きなポイントとなります。
そこで,今回は,
長時間労働のデメリットや,労働基準法を違反した場合のリスク,
長時間労働による社員の労災を防ぐための対策について解説いたしました。
長時間労働による「労働者」にとってのデメリットは,
①余暇,家族や趣味にかける時間が減少する
②精神面や身体面に悪影響を及ぼす
などが挙げられ,
これらは比較的想像しやすいデメリットかと思います。
ここで,上記の労働者側のデメリットだけではなく,
「企業側」にもデメリットがあることを意識していただくと
長時間労働の本当のリスクが見えてきます。
長時間労働による「企業」にとってのデメリットは,
①残業代が発生する
②社員の会社への帰属意識が高まらない(労働者のデメリット①②起因)
③優秀な人材が失われる(社員が辞めていく/採用がうまくいかない)
④業務過多により生産性が低下する
などが挙げられます。
上記の企業側のデメリットについて,
②~④の流れは,一度発生すると悪循環となりかねません。
そのことにより企業にとって大きな損失を生み出す可能性があります。
また,最悪のケースとして,
過労により社員の命が失われる等の労災が発生した場合は,
損害賠償責任が生じるだけでなく,企業としてのイメージ損失につながります。
そのため,長時間労働への対策を盤石にしておくことが大切となってきます。
裏を返せば,企業としてきちんと長時間労働対策を行えば,
優秀な社員の流出を防ぐことができ,
生産性の向上や不要な人件費の削減にもつながります。
長時間労働対策をきちんと行う=働きやすい企業であることにより,
社員の企業への貢献度が向上する,
社会的にホワイト企業として認められる,
など企業側のメリットも大きいです。
(セミナーの様子。皆様,真剣にお聞きくださいました。)
では,具体的に,
どのような取り組みを行えば長時間労働の是正が可能なのか,
「残業ゼロ」の取り組み事例を参考にお話いたしました。
(参照:「労政時報」3917号)
A社の取り組みとしては,
・社内資料は作り込まない
・会議は30分
・メールで「お疲れ様です」は使わない
・少数精鋭のプロジェクトで効率化 など…
上記A社の取り組み例は,
長時間労働の原因となっている「無駄をなくす」という取り組みが目立ちますが,
各社の取り組みとして共通していたのが,PDCAサイクル*を何度も徹底的に行い,
その企業にあった対策・取り組みを見つけているという点です。
また,どの企業も「経営者」が,
「長時間労働をなくす!」という強い意気込みを持ち,
社内の改革に臨んでいるという点も共通していました。
*PDCAサイクルとは・・・
業務の円滑化,問題解決のための手法のひとつで,
サイクルの4つの行為である「Plan・Do・Check・Action」
のそれぞれの頭文字をとったものです。
Plan:計画を立てる
Do:実行する
Check:評価する
Action:改善する
この4つのサイクルを繰り返し行うことが,
業務の円滑化,問題解決に役立つといわれています。
長時間労働対策を行うことは,
過労による自殺等の労災の発生を防ぐだけでなく,
長期的なスパンで考えると,
◆良い人材の確保
◆企業のイメージアップ
につながりますので,積極的に取り組まれることをおすすめいたします。
◆ 次回セミナーのご案内 ◆
さて,2017年最初の定期セミナーは,
「事業承継セミナー【経営者が退くとき】」を開催いたします。
経営者の高齢化が進み、企業の経営環境も厳しい状況の中、
多くの雇用を担う中小企業の「事業承継」が地域経済の課題になっております。
事業規模や経営状況により、事業承継をめぐる課題も千差万別です。
経営は順調なものの相続(税)対策が課題となる場合もあれば、
適切な後継者がいない、経営不振等のために事業をやめたい、
といった出口戦略が求められている場合もあります。
このセミナーでは、
実際の事業承継や廃業のケースを参考にしたいくつかの事例を題材に、
事業承継において問題になりやすい課題と、
それに対する対応策を紹介してみたいと思います。
なお、セミナー参加者で希望される方には、
後日個別の相談を無料(1時間)にて承ります。
セミナー詳細は ★こちら★ をご確認ください!