遺産分割協議について~相続人の中に●●な人がいたら?~
遺産分割協議は相続人全員でしなければなりませんが,
相続人の中に,
①判断能力の十分でない人
②連絡の取れない人
がいる場合はどうなるでしょうか。
このような事案では,本人と遺産分割協議をすることができないため,
①の場合は成年後見人
(判断能力が低下した人のために,身上監護や財産の管理をする人)
②の場合は不在者財産管理人
(不在者に代わって財産を管理する権限を持つ人)
の選任を申立て,家裁が選任するこれらの人と遺産分割協議をすることになります。
遺産分割が必要な事案では,その適切な処理に法的な知識を必要とすることから,
弁護士が選任されることが多くなっていますが,
成年後見人も不在者財産管理人も,本人の権利を守ることが使命なので,
原則として法定相続分に従った遺産分割でないと合意できません。
個別具体的な事情を考慮した柔軟な解決は期待できませんし,
不在者財産管理人の場合は,合意に家裁の許可が必要です。
このような事案でも,被相続人が遺言をしておけば,
申立ての面倒や,硬直的な解決等の不都合を相当程度回避できます。
事前対策が必要な事案の一つです。
◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 角家 理佳◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2014年5月1号(vol.149)家事チーム連載⑯>
※掲載時の法令に基づいており,現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。