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【法務情報】有期雇用契約における不更新の合意

 │ 労働, 燕三条事務所, 弁護士海津諭

   会社は、例えば1年契約、2年契約といったように雇用の期間を定めて従業員を雇用している場合、その契約期間が満了したとしても、その従業員を必ずしも自由に退職させることができる訳ではありません。

 
   裁判所は、「雇用の継続を労働者が期待するということに一定の合理性がある」場合には、労働者の期待を保護するため、雇用期間満了時における更新の拒否を解雇と同視して、その有効性を厳しく判断しています。

 
 そこで、会社が更新の拒否を適法に行いたい場合、会社としては、従業員に雇用継続への合理的期待をもたせることのないように注意する必要があります。

 
    その一つの手段として有益なのが、雇用契約において、会社が従業員との間で不更新の合意を行っておくという方法です。

 
  以下では、過去の裁判例を元に、不更新の合意を行う際の注意事項の一部をご説明します。

  

1.不更新条項を契約書等に明確に記載し、署名捺印を得ること。
  不更新の合意については、契約書(またはそれに準ずる書面)において不更新条項を明確に記載し、従業員の署名捺印を得ることで、合意を確たるものとしておくことが重要です。

    口頭での合意だけでは、訴訟等で争われた場合に、不更新の合意を立証できないおそれがあります。
  また、厚生労働省が定めた、「有期労働契約の締結、更新・雇止めに関する基準」においても、契約締結時に更新の有無を明示しなければならないことが定められています。

 

2.契約締結時に、次回の不更新について対象従業員との間で十分な説明や協議を行うこと。   
   契約の不更新については、従業員との間で十分な説明や協議を行っておくべきです。

     説明や協議が十分でないままに不更新条項を設けると、訴訟等で争われた場合に、従業員の真意に基づく合意ではなかったと裁判所に判断されるおそれがあります。

 

3.不更新条項と矛盾する言動をしないこと。
  会社が従業員に対して、「長く勤務してください」「雇用継続については安心して欲しい」「正社員になれると思う」など、不更新条項と矛盾する言動をしないように注意すべきです。

    これらの言動があると、訴訟等で争われた場合に、雇用継続への合理的期待が認められるおそれがあります。

 

  なお、雇用継続への合理的期待を裁判所が判断するにあたっては、不更新の合意は重要な考慮要素の一つですが、その他にも様々な要素を考慮した上での総合判断となります。その点をご注意ください(他の考慮要素としては、雇用が臨時的なものか常用的なものか、今までの更新の回数、雇用の通算期間の長さ、契約期間・更新手続が正しく管理されているか等があります)。

 

  有期雇用契約が更新されるかどうかは、従業員にとっても死活問題となり得る事柄ですので、しばしば会社と従業員との間で訴訟等の争いが起こることがあります。

 
    争いを未然に防ぐため、ぜひ早期の段階で十分な対処をしておくことをお勧めします。

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 海津 諭◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2011年5月15日号(vol.78)>

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