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社会で実際に起こった、事例や改正された法律をふまえ、法律に関する情報をご紹介します。

1on1ミーティング導入の実態調査について

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 五十嵐 亮

一新総合法律事務所
弁護士 五十嵐 亮

一新総合法律事務所理事/長岡事務所所属

日々の勉強や他の弁護士との活発な意見交換を通じて自己研鑽を積むとともに、依頼者の方々に対しては、懇切丁寧なコミュニケーションを行い、よりよい解決に導けるよう心がけております。

 

近年、リモートワークが定着したり、多様な人材の活用が進展していることなどから、1on1ミーティングを導入する企業が増えてきています。
他方で、1on1ミーティングの実施方法について悩みを抱えている企業も多いのではないでしょうか。

 

そのような状況の中、株式会社リクルートマネジメントソリューションズが2022年4月25日に「1on1ミーティング導入の実態調査」を公表しました。

 

以下では、調査結果の内容をみていきます。

 

 

■どのくらいの企業が導入している?

1on1ミーティングの導入企業は、全体で7割近くの企業が導入しているという結果になりました。

従業員規模別では、3000名以上の企業で75.5%、100名から699名の企業では57.7%の企業が導入しているという結果となりました。

 

導入した企業の約6割の企業が、「3年以内に導入した」と回答しました。

2020年からのコロナ禍の影響でリモートワークが一気に進展し、部下と話す機会を意図的に作る必要性が感じられたことも、導入が進んだ要因とされています。

 

■導入の目的は?

導入の目的で最も多かった回答は「社員の主体性・自律性の向上」で、以下、「自律的キャリア形成の支援」「評価の納得性の向上」「エンゲージメントの向上」と続きました。

 

近年、変化の大きなビジネス環境の中で、トップダウン型のマネジメントが通用しづらくなり、一人ひとりの従業員が自律して課題設定、業務遂行していくことが求められていることとの関連から、「社員の自律性向上」が上位になったものと考えられます。

 

■導入の効果は?

 

導入したことの効果として最も多かった回答は「上司と部下のコミュニケーション機会が増えた」で、以下「部下のコンディションの把握ができている」「上司と部下が本音で話せる関係になっている」と続きました。

 

特定の人に接する回数が増えることで、印象が良くなることは「単純接触効果(ザイオンス効果)」と呼ばれ、上司と部下が1on1ミーティングを設定し、意識的にコミュニケーション機会を設けることで、関係性の向上に寄与していることがうかがえるということです。

 

■導入後の課題は?

導入後の課題としては、「上司の面談スキルの向上」が最も多く、以下「上司の負荷の高まり」「1on1実施率の低下・形骸化」が続いています。

 

上司の面談スキルが不足していると、1on1ミーティングの場が、単なる雑談の場や上司が進捗確認や指示をする場になってしまいがちです。

これらの課題を克服するために、「コーチング」「フィードバック」「ティーチング」のスキルを研修で学ぶこと、1on1ミーティングを部下として受ける体感をすること(プロコーチによるコーチングセッションなど)、実施した1on1ミーティングをアンケートなどで振り返ることなどが推奨されています。

 

上司の負荷という課題については、1on1ミーティングを+αの仕事として位置付けるのではなく、マネジメントの一環(上司に求められる組織成果の最大化を実現する手段)として位置付けることが推奨されています。

 

 

いかがでしたでしょうか。

1on1ミーティングを積極的に活用したいと考えている企業においては、「目的の明確化」、「上司の面談スキルの向上」、「マネジメントの一環としての位置づけ」という点がポイントになりそうです。

 

______________

<参考資料>

「【調査発表】1on1ミーティング導入の実態調査」株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
https://www.recruit-ms.co.jp/press/pressrelease/detail/0000000372/

 


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◆記事の内容については、執筆当時の法令及び情報に基づく一般論であり、個別具体的な事情によっては、異なる結論になる可能性もございます。ご相談や法律的な判断については、個別に相談ください。

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(株)吉野家ホールディングスの素早い不祥事対応 ‐取締役を解任するための手続き‐(弁護士:海津 諭)

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 海津 諭

一新総合法律事務所
弁護士  海津 諭

一新総合法律事務所理事/燕三条事務所所属

依頼者の話を誠実に聞いた上で、その事件のより良い解決策を必死に考え抜くこと、それが私の責務の一つだと思っています。
人が法律問題で行き詰まったとき、傷ついたとき、疲れたときに、その方に解決の道筋を示して元気付けることが出来るよう、全力を尽くします。

1 (株)𠮷野家の「炎上」事件と、取締役の解任

先日、牛丼チェーン「𠮷野家」について、経営会社である「(株)𠮷野家」の取締役による不適切な発言が大きなニュースとなりました。

 

取締役の発言がなされたのは令和4年4月16日であったところ、翌日には既に、インターネット上で批判の声が高まって、いわゆる「炎上」の状態になっていました。

批判の中には、会社のトップに近い取締役の発言であることを挙げて、会社自体がそのような考え方なのではないかと疑問視するものもありました。

 

そして、上記会社の100%親会社である「(株)𠮷野家ホールディングス」は、同月18日に臨時取締役会を開催し、決議によって上記の取締役を解任した旨を、同月19日に発表しました。

 

「炎上」のほぼ翌日に解任の手続きを行った親会社の対応は、私としては、素早い対応であったと考えます。

 

2 取締役を解任するための手続きは

さて、一般的に、会社の取締役が何か重大かつ不適切な行為を行った場合、その取締役を解任するなどの適切な対応を取らないと、会社自体の体質を疑問視されてしまう危険性があります。

 

では、取締役を解任するためには、どのような手続きが必要でしょうか。

 

取締役は、その取締役を選任した株主総会・種類株主総会の決議によって解任することができます。

そこで、まずは株主総会の招集通知を行い、株主総会を開催して、決議によって取締役を解任するという手順が必要です(なお、取締役の職務執行に関し不正の行為または法令・定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、株主総会において解任議案が否決された場合、一定以上の議決権を有する株主は、裁判所に解任請求の訴訟を提起することができます)。

 

ただし、一人の法人または個人が対象会社の全ての株式を保有している場合は、当然のことながら、招集通知手続を省略して直ちに解任手続を行うことができます。

今回の(株)𠮷野家ホールディングスも、(株)𠮷野家の100%親会社であったことから、親会社の取締役会での手続きをもって直ちに子会社の取締役を解任することができました。

また、その他にも、株主全員が同意し、かつ議決権の行使方法として書面投票や電子投票を定めない場合は、招集通知手続きを省略して直ちに株主総会を開催することができます。

 

3 解任以外の方法による対応

なお、取締役が自ら辞任の意思を示している場合は、解任ではなく辞任してもらうという方法もあります。

辞任の場合、変更登記以外に特別な手続きは必要ありません。

ただし、辞任によって取締役の人数が不足する場合は、後任の取締役を選任する必要があります。

 

また、取締役の任期が残りわずかであり、かつ事案の重大性が低いなど、解任をしなくても悪影響が少ない場合は、任期満了を待って退任してもらうという方法もあります。

 

4 おわりに

会社の取締役が不祥事を起こしてしまった場合は、顧客、取引先、株主などのステークホルダーの信用を失ってしまわないよう、素早くかつ適切な対応をとることが重要です。

対応や判断に迷う場合などは、ぜひとも当事務所にご相談ください。

 


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那須サファリパーク飼育員の負傷事故、補償や会社の法的責任は?(弁護士:今井 慶貴)

 │ 弁護士今井慶貴, 労働, 企業・団体, コラム

この記事を執筆した弁護士
弁護士 今井 慶貴

一新総合法律事務所
弁護士 今井 慶貴

一新総合法律事務所副理事長/新潟事務所所長/企業法務チームリーダー

1.依頼者にとってもっとも良い解決方法は何かを、依頼者の目線と、中立的な目線の両方に立って、依頼者とともに追求する。
2.解決のための道筋は、複数の選択肢を提供して、それぞれの長短を分かりやすく説明する。
3.連絡や問合わせには、できる限り迅速に対応する。仕事の質・正確性と量・スピードを両立できるように、 日々工夫する。
4.法分野はもとより、社会の動向には常に関心をもって、新しい情報を活用して幅広い分野に対応できるよう心がける。
5.依頼者はもとより、相手方も含めた関係者それぞれの人格を尊重して、事件を良い解決に導く。

 

1 はじめに

 

1月5日朝に、​栃木県那須町の「那須サファリパーク」で、飼育員の男女3人がトラにかまれて負傷した事故が発生しました。

栃木県警は1月7日、業務上過失傷害の容疑で施設内の捜索を行ったと報道されています。

このような業務上の事故があった場合、従業員への補償や会社の法的責任はどうなるのでしょうか?

 

2  労災保険による補償

まず、飼育員の方は業務に起因する事故で負傷されたわけですので、​会社の過失の有無にかかわらず、労災保険による補償が受けられます。

​療養(補償)給付と休業(補償)給付のほか、後遺障害が残ってしまった場合の障害(補償)給付などが考えられます。

3 企業の損害賠償責任は?

加えて、会社は飼育員に対して、安全配慮義務違反や他の従業員に対する使用者責任に基づく損害賠償責任(民事責任)を負う可能性もあります。

​報道によると、前日に担当した別の飼育員2人は、トラが獣舎に入ったかどうかや、施錠の状況を「はっきり覚えていない」などと話しているということであり、飼育状況や管理体制に不備があった可能性が指摘されています。

仮に、​会社に責任が認められる場合には、慰謝料や将来の逸失利益についての支払責任が生じ、後遺症の程度にもよりますが、賠償額は相当高額になることもありえます。​

さらに、既に施設内の捜索が行われていますが、捜査の結果次第では、会社や管理責任者において、業務上過失傷害等の刑事責任を負う可能性もあります。

​また、1月5日付で栃木県の動物愛護指導センターが再発防止を求める行政指導をしたということです。

同じ施設で過去にも2度、飼育員が負傷する事故が起きていたということですので、過去の事故を踏まえた会社側の対応がどうであったかが問われるでしょう。

 

​4 おわりに

今回、サファリパークでの事故に即した形で説明しましたが、労災が発生した場合、使用者である会社の責任は広範に及ぶことがわかります。​

なんといっても日頃の予防が第一ですが、万一労災事故が発生してしまった場合には、使用者としては、必要に応じて弁護士とも相談しながら、真摯かつ誠実に対応することが大切です。

 

弁護士:今井慶貴

 

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変わる「職場の集まり方」に関する調査について(弁護士:五十嵐 亮)

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 五十嵐 亮

一新総合法律事務所
弁護士 五十嵐 亮

長岡事務所所属/理事/事故賠償チーム

依頼者の方々に対しては、懇切丁寧なコミュニケーションを行い、よりよい解決に導けるよう心がけております。

■はじめに

オンライン会議やリモートワークが定着したことにより、職場での「集まり方」が、変容していると同時に、職場での集まり方やコミュニケーションのあり方について見直しを図りたいと考えている企業も多いのではないでしょうか。

 

そのような状況の中、株式会社リクルートのリクルートワークス研究所が2021年12月2日に「コロナ禍で変わる職場の集まり方を調査」(以下「調査結果」といいます)を発表しました。

この調査は、コロナ禍を契機に広がったリモートワークなどの新しい働き方が、職場の「集まり方」にどのような影響を及ぼしたのか、実態を調査したものです。

以下では、調査結果の内容をみていきます。

 

 

■コロナ禍における「集まり方」はどのように変化したか?

 

調査結果によれば、コミュニケーションの「総量」について、回答者の37.6%がコロナ禍前と比べて「減少」と回答したものです。

 

また、どのような「集まり」(会話の機会)が減少したのか?(複数回答)という問いについては、「ランチや飲み会」(71.0%)、「研修・イベント」(61.1%)に加え、「仕事とは関係のない雑談」(46.0%)、「他部署や社外の人との新たな出会い」(44.4%)、「たまたまの出会い」(41.7%)が減少していると回答した人が多いことが明らかとなりました。

 

そして、集まりの「目的」という観点からみると、目的が設定された場(情報伝達のための会議、意思決定のための会議、意見交換のための会議)のうち、「情報伝達」や「意思決定」のための会議については、増加が減少を上回る結果となりました。

他方、「仕事とは関係のない雑談」や「会議前後に発生する会話」が減少する結果となりました。

 

 

■職場の集まりが変化したことによる影響

調査結果によれば、「職場のコミュニケーションの満足度」について、29.2%が「低下した」と回答しました。

特に「他部署」とのコミュニケーションの満足度が他に比べてより低下している傾向がみられたという結果になっています。

 

職場のコミュニケーションが変化したことによる中長期的な課題の上位は、1位:仕事のノウハウが継承されない、2位:職場の一体感やチームワークが弱くなる、3位:離職者ややる気のない人がでてくるという結果となりました。

 

職場での一体感が「減少」したと回答した層もいる反面、約1割が「増加」したと回答しています。「減少」と回答した層と「増加」と回答した層のコミュニケーションの特徴を比較したところ、「職場で同じ経験をすることを大切にしている」という項目での回答にもっとも大きな違いがみられたということです。

 

中長期的な課題を解消するためのコミュニケーション上の工夫としては、「会議などで職場のみんなが参加できるよう、発言を促したり意見を尊重したりする」、「日常的に雑談など気軽に話ができる職場風土をつくろうとしている」という回答が3割を超え、「目的に応じて対面、オンライン(ビデオあり・音声のみ)の場をうまく使い分けている」という回答は28.5%で、「目的によって場を使い分ける」という回答は3割弱にとどまるという結果でした。

 

 

■「集まり方」のバリエーションの工夫

 

「集まり方」のバリエーションという観点では、「情報伝達のための会議」「経営や事業の方針伝達のための会議」などの「機能的伝達」を目的とした会議については、「オンラインのほうが対面より有意義な場になる」「オンラインでも効果は同じ」と回答した割合が半数以上という結果でした。

 

他方で、「ブレーンストーミングや意見交換のための会議」などの「創発的な会議」は、「対面の方が有意義」と「オンラインでも対面でも同じ」がほぼ同率という結果となりました。

 

 

■個人のコミュニケーション志向による仕事の充実感に必要なコミュニケーションの違い

仕事の充実感のために必要なコミュニケーションという観点では、個人のコミュニケーション志向によって、必要なコミュニケーションに違いがあることがわかりました。

 

「協働したい人」は、「画面に顔を映したWEB会議」「メールやチャット」「電話」「上司とのコミュニケーション」「ブレーンストーミングや意見交換のための会議」「経営や事業の方針伝達のための会議」「一対一の打ち合わせ」が増えると仕事の充実感が高まることがわかりました。

 

他方、一人で働きたい人の場合「画面に顔を映したWEB会議」「電話」「上司とのコミュニケーション」は仕事の充実感を高めますが、「メールやチャット」などの気軽なコミュニケーション「ブレーンストーミング」や「方針伝達」「一対一の打ち合わせ」は協働したい人と異なり、「充実感」との関係は見られないという結果になりました。

 

 

いかがでしたでしょうか。

職場での集まり方やコミュニケーションのあり方について見直しを図りたいと考えている企業においては、集まりの目的に応じた場の使い分け、個人のニーズに即したコミュニケーションの使い分けという点がポイントになりそうです。

_______________

【参考にした資料】

「コロナ禍で変わる職場の集まり方を調査」リクルートワークス研究所

https://www.works-i.com/research/works-report/2021/gettogether_research.html

 

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アスベストによる健康被害を受けられた方へ「救済制度」のご紹介(弁護士:中川正一)

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 中川 正一

一新総合法律事務所
弁護士 中川 正一

新発田事務所長/理事/事故賠償チーム

早期に事件の見通しを立て、依頼者の不安を解消します。
そのための日々の研鑽を怠りません。

1.アスベストとは

アスベスト(石綿)とは、天然にできた鉱物繊維のことで、「せきめん」「いしわた」とも呼ばれています。

 

石綿は生活のいたるところで使用されてきましたが、その約8割は建材製品です。

石綿を使った建材製品は1955年ごろから使われ始め、ビルの高層化や鉄骨構造化に伴い、鉄骨造建築物などの軽量耐火被覆材として、1960年代の高度成長期に多く使用されました。

また石綿は安価で、耐火性、断熱性、防音性、絶縁性など多様な機能を有していることから、耐火、断熱、防音等の目的で使用されてきました。

このように有用な石綿ですが、その正体は肉眼では見ることができない極めて細い繊維からなっています。

そのため、飛散すると空気中に浮遊しやすく、吸入されてヒトの肺胞に沈着しやすい特徴があります。

吸い込んだ石綿の一部は異物として痰の中に混ざり体外へ排出されます。

しかし、石綿繊維は丈夫で変化しにくい性質のため、肺の組織内に長く滞留することになります。

この体内に滞留した石綿が要因となって、肺の線維化やがんの一種である肺がん、悪性中皮腫などの病気を引き起こすことがあります。

 

2.石綿による健康被害の救済制度

石綿(アスベスト)による健康被害の迅速な救済を図るため、石綿による健康被害を受けた方及びそのご遺族に対し医療費等の救済給付を支給する「石綿による健康被害の救済に関する法律」が平成18年3月27日に施行されました。

 

その後の改正法令により、石綿を吸入することによる労働者災害補償法等で補償されない中皮腫や肺がん、著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚の健康被害を受けられて療養中の方、これらの疾病に起因して死亡した方のご遺族に対し、医療費等の救済給付が支給されることになっています。

ただし、認定申請を行うことにより、機構からアスベスト(石綿)を吸入することによりかかった旨の認定を受ける必要があります。

 

給付される種類には「葬祭料」「未支給の医療費等」「救済給付調整金」「医療費」「療養手当」などがありますが、請求期限が長くありません。

例えば「葬祭料」でいえば「被認定者が亡くなられた日の翌日から2年以内」など請求期限が比較的短いので早めに請求する必要があります。

 

なお、固定期限で最も早く期限が到来するものは、「特別遺族弔慰金・特別葬祭料」(平成18年3月26日以前に死亡された場合)の請求期限が令和4年3月27日とされていますので、ご注意下さい。

 

これら請求(お問い合わせ)先は、独立行政法人環境再生保全機構(https://www.erca.go.jp/)、及び各地の環境省地方環境事務所(https://www.env.go.jp/region/)になります。

 

3.令和3年5月17日最高裁判決

近時、最高裁は、屋内建設現場における建設作業に従事して石綿粉じんにばく露した労働者との関係において、昭和50年10月1日には「労働大臣が安衛法に基づく(規制)権限を行使しなかったこと」を国家賠償法上の違法と判断しました。

 

4.アスベスト給金制度

これを契機に「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」が令和3年6月9日に成立し、同月16日に公布されました。

ただし、施行日は、「一部の規定を除き、法の公布の日から1年以内で、政令の定める日」と定められ、本日現在、施行日は定まっておりません。

 

(1)対象者

当該法律において、給付金を請求できる対象者は、①「昭和49年10月1日~昭和50年9月30日の間に 石綿の吹付け作業に係る建設業務」、「昭和50年10月1日~平成16年9月30日の間に 一定の屋内作業場で行われた作業に係る建設業務」に従事することにより、②石綿関連疾病にかかった、③労働者や一人親方・中小企業主(家族従事者等を含む)です。

 

ご本人がお亡くなりになられている場合は、ご遺族(配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹)からの請求が可能です。

 

(2)給付金等の主な内容

給付金の支給を希望される方からの請求に基づき、認定審査会において審査を行い、その結果に基づいて、病態区分に応じ、給付金が支給されることになります。

例えば、「石綿肺管理2でじん肺法所定の合併症のない者 金550万円」で、「これにより死亡した者 金1200万円」など審査結果に基づいた病態区分に応じ、支給額が決定されます。

 

5.最後に

前記のとおり、アスベスト給金制度は現時点では施行されていませんが、令和4年6月までには動きがあることが予定されています。

施行日が決まりましたら、再度、ご案内致します。

 

 

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