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社会で実際に起こった、事例や改正された法律をふまえ、法律に関する情報をご紹介します。

ゼロゼロ融資の返済が本格化します(弁護士 朝妻太郎)

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 朝妻 太郎

朝妻 太郎
(あさづま たろう)

一新総合法律事務所
理事/弁護士

出身地:新潟県新潟市
出身大学:東北大学法学部

関東弁護士連合会シンポジウム委員会副委員長(令和元年度)、同弁護士偏在問題対策委員会委員長(令和4年度)、新潟県弁護士会副会長(令和5年度)などを歴任。主な取扱分野は企業法務全般(労務・労働事件(企業側)、契約書関連、クレーム対応、債権回収、問題社員対応など)のほか、離婚、不動産、金銭問題など幅広い分野に精通しています。
数多くの企業でハラスメント研修、また、税理士や社会保険労務士、行政書士などの士業に関わる講演の講師を務めた実績があります。​
著書に『保証の実務【新版】』共著(新潟県弁護士会)、『労働災害の法務実務』共著(ぎょうせい)があります。

ゼロゼロ融資の返済本格化

 

東京商工リサーチによると、2022年度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が6,880件(前年度比15.0%増)、負債総額は2兆3,243億7,900万円(同99.0%増)となり、これまでコロナ禍の資金繰り支援策等により減少を続けてきた倒産件数が、低水準ながら3年ぶりに前年度を上回りました。

このうち、2022年度の「新型コロナウイルス」関連倒産は、2,602件(前年度比46.4%増、構成比37.8%)で、前年度(1,777件)の1.4倍に増加しました。

 

実感としても、ここ数ヶ月中に、廃業や倒産の相談が目立つようになりましたし、地元新潟地裁に係属する法人の破産案件の情報にも良く触れるようになってきました。

 

そして、2023年度から、いわゆるゼロゼロ融資(新型コロナウイルス禍で売り上げが減った企業に実質無利子・無担保で融資する仕組み。)の返済が本格化し、今年の夏ころに集中するといわれています。

この返済開始と共に事業継続が困難となる事業者が多数発生することが想定されています。

国は新たな借換保証制度(コロナ借換保証)を創設するなど支援を拡げていますが、廃業等を余儀なくされる企業が出てくることは避けられないと予想されています。

 

取引先の状況に注視を

このメルマガをご覧の企業様の多くは、コロナ融資の元本返済が開始されたとしても直ちに経営状況を左右することは無いかと思います。

しかし、お取引先企業の中には、コロナ融資の返済が開始すると、資金繰りに窮し、最悪の場合、倒産・廃業を余儀なくされるところもあるかもしれません。

 

一度倒産処理が始まってしまうと、正直なところ、事前に担保権を設定するなどしていなければ、債権の回収は極めて困難な状況になります。

多くの相談者の方は、取引先が事業を停止し、弁護士が事後処理にあたるという通知が届いた状況になって初めて相談に来られますが、その時点で相談にお越しいただいても、なかなか手出しできないことの方が圧倒的に多いです。

 

常に疑心暗鬼になり取引先を懐疑的な目で見ることは現実的では無いと思いますが、取引先の普段の様子と異なる点を目にされた場合には、少し注意することは必要でしょう。

また、各取引先とどのような条件で取引をしているのか、取引基本契約書等をご覧いただき、この機会に一度確認されることも有用でしょう。

 

止む無く倒産・廃業を選択せざるを得ない場合

このメルマガをご覧いただいている皆様は、もしかしたら、窮地に陥った取引先や旧知の企業からご相談を受けるかもしれません。

その場合には早急に専門家へのご相談をおすすめください。

御承知のとおり、当座の資金繰りに窮して倒産することが多いわけですが、倒産をするにも、従業員への支払い、手続費用等最低限の資金が必要となります。

これも良くあることですが、現預金が底をついてしまうと、廃業しようにも廃業処理ができない、ということにもなりかねません。

また、最近でも、倒産しかけた企業に、素性の分からないコンサルタントを称する人物が近づいてくる、などという話も耳にします。

 

その意味では、早め早めの対応が必要不可欠といえます。

 


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賃金のデジタル払いについて 導入のための手続きと注意点(弁護士:鈴木孝規)

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 鈴木 孝規

鈴木 孝規
(すずき たかのり)

一新総合法律事務所  弁護士

出身地:静岡県静岡市
出身大学:一橋大学法科大学院既修コース卒業
主な取扱分野は、企業法務(労務・労働事件(企業側)、契約書関連、クレーム対応、債権回収など)。そのほか相続、金銭トラブルなど幅広い分野に対応しています。
企業法務チームに所属し、社会保険労務士向け勉強会では、ハラスメント対応をテーマに講師を務めた実績があります。

1 はじめに

改正された労働基準法施行規則が、令和5年4月1日から施行されることにより、いわゆる賃金のデジタル払いが可能となりました。

本コラムでは、この改正の概要等について、簡単に説明したいと思います。

 

2 現行法上の賃金支払方法

そもそも、労働基準法上では、賃金は通貨で直接労働者に支払わなければならないと規定されており(労働基準法24条)、現金の手渡しが原則とされています。

ただし、労働者が同意した場合には、預貯金口座及び証券総合口座への振込みが認められています(労働基準法施行規則7条の2)。

このような規定により、実際には、現金手渡しではなく、預貯金口座への振込みによる方法で賃金の支払がなされていることが多いかと思われます。

 

3 改正の内容等

 

 

今回の改正では、労働者の同意を得た場合、一定の要件を満たすものとして厚生労働大臣が指定する資金移動業者(指定資金移動業者)の口座(○○Payなど)への資金移動により、賃金を支払うことが可能となります。

労働基準法上、現金の手渡しが原則とされているのは、労働者が確実に賃金を受領できるようにして労働者の経済的安定を図るためですので、一定の要件の中には、労働者が確実に賃金を受領できることを担保するという点から定められたものもあります。

 

例えば、保証委託契約の締結等により、破産等で支払いができなくなったときに、資金移動業者の口座残高の額が保証される仕組みを有していることや、労働者に責任のない不正の引き出し等により労働者が損失を被った場合に、その損失を補償する仕組みを有していることが要件として定められています。

また、現金自動預払機(ATM)等で資金移動業者の口座へ移動された額を1円単位で受取ができるための措置や、 少なくとも毎月1回は手数料等の負担をすることなく受取ができるための措置を講じていることも、要件の1つとされています。

 

さらに、賃金を受け取る資金移動業者の口座について、口座残高の上限額が100万円を超えることがないようにするための措置、または、口座残高が100万円を超えた場合に、その額を速やかに100万円以下とするための措置を講じていることも要件とされています。

これは、資金移動業者の口座は、預貯金口座とは異なり、為替取引(送金や決済等)を目的としたものと考えられており、資金決済法上でも資金を滞留させない体制の整備が求められていることや、破綻時に口座残高全額が保証されることを担保するための要件となります。

 

このような措置が講じられていることにより、賃金のデジタル払い等で、資金移動業者の口座残高が100万円を超えてしまった場合、自動的に100万円を超えた部分が金融機関の預貯金口座等に振込まれ、その振込にかかる手数料等の負担を求められる可能性もあると思われますので、注意が必要です。

 

4 賃金のデジタル払いを導入するために必要な手続き

企業側としては、賃金のデジタル払いの導入にあたって、各事業場において、労働者の過半数で組織された労働組合(このような労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者)と、賃金デジタル払いの対象となる労働者の範囲や利用する指定資金移動業者の範囲等を定めた労働協約を締結する必要があります。

加えて、預貯金口座や証券総合口座への振込みも選択肢として提示し、留意事項等の説明をしたうえで、賃金デジタル払いを希望する個々の労働者から同意を得る必要があります。

 

厚生労働省のホームページには、同意書の書式例が掲載されていますが、そこには、口座残高の上限額などの関係から、代替口座として指定する預貯金口座等も記載することが求められています。

 

5 おわりに

本改正では、あくまでも賃金の支払方法の選択肢の1つとして、デジタル払いが認められたにすぎず、企業側が、労働者にデジタル払いを強制することはできないとされています。

また、デジタル払いができるのは、厚生労働大臣から指定を受けた資金移動業者の口座のみで、この指定の申請を行うことができるのは令和5年4月1日からとなっており、厚生労働省のホームページでは、指定申請の審査には数か月かかることが見込まれるとされていますので、実際に導入できるのは、もう少し先になるかと思われます。

 

キャッシュレス決済の需要等が高まっている中、賃金のデジタル払いの需要も一定程度あるかと思われます。

賃金デジタル払いを導入するかどうかを検討するに際して、企業側も労働者側も、この制度の内容やデメリット等を十分に理解する必要があるといえます。

 


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1on1ミーティング導入の実態調査について

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 五十嵐 亮

五十嵐 亮
(いからし りょう)

一新総合法律事務所
理事/弁護士

出身地:新潟県新潟市 
出身大学:同志社大学法科大学院修了
長岡警察署被害者支援連絡協議会会長(令和2年~)、長岡商工会議所経営支援専門員などを歴任しています。
主な取扱分野は企業法務全般(労務・労働・労災事件、契約書関連、クレーム対応、債権回収、問題社員対応など)、交通事故、離婚。 特に労務問題に精通し、数多くの企業でのハラスメント研修講師、また、社会保険労務士を対象とした労務問題解説セミナーの講師を務めた実績があります。
著書に、『労働災害の法律実務(共著)』(ぎょうせい)、『公務員の人員整理問題・阿賀野市分阿賀野市分限免職事件―東京高判平27.11.4』(労働法律旬報No.1889)があります。

 

近年、リモートワークが定着したり、多様な人材の活用が進展していることなどから、1on1ミーティングを導入する企業が増えてきています。
他方で、1on1ミーティングの実施方法について悩みを抱えている企業も多いのではないでしょうか。

 

そのような状況の中、株式会社リクルートマネジメントソリューションズが2022年4月25日に「1on1ミーティング導入の実態調査」を公表しました。

 

以下では、調査結果の内容をみていきます。

 

 

■どのくらいの企業が導入している?

1on1ミーティングの導入企業は、全体で7割近くの企業が導入しているという結果になりました。

従業員規模別では、3000名以上の企業で75.5%、100名から699名の企業では57.7%の企業が導入しているという結果となりました。

 

導入した企業の約6割の企業が、「3年以内に導入した」と回答しました。

2020年からのコロナ禍の影響でリモートワークが一気に進展し、部下と話す機会を意図的に作る必要性が感じられたことも、導入が進んだ要因とされています。

 

■導入の目的は?

導入の目的で最も多かった回答は「社員の主体性・自律性の向上」で、以下、「自律的キャリア形成の支援」「評価の納得性の向上」「エンゲージメントの向上」と続きました。

 

近年、変化の大きなビジネス環境の中で、トップダウン型のマネジメントが通用しづらくなり、一人ひとりの従業員が自律して課題設定、業務遂行していくことが求められていることとの関連から、「社員の自律性向上」が上位になったものと考えられます。

 

■導入の効果は?

 

導入したことの効果として最も多かった回答は「上司と部下のコミュニケーション機会が増えた」で、以下「部下のコンディションの把握ができている」「上司と部下が本音で話せる関係になっている」と続きました。

 

特定の人に接する回数が増えることで、印象が良くなることは「単純接触効果(ザイオンス効果)」と呼ばれ、上司と部下が1on1ミーティングを設定し、意識的にコミュニケーション機会を設けることで、関係性の向上に寄与していることがうかがえるということです。

 

■導入後の課題は?

導入後の課題としては、「上司の面談スキルの向上」が最も多く、以下「上司の負荷の高まり」「1on1実施率の低下・形骸化」が続いています。

 

上司の面談スキルが不足していると、1on1ミーティングの場が、単なる雑談の場や上司が進捗確認や指示をする場になってしまいがちです。

これらの課題を克服するために、「コーチング」「フィードバック」「ティーチング」のスキルを研修で学ぶこと、1on1ミーティングを部下として受ける体感をすること(プロコーチによるコーチングセッションなど)、実施した1on1ミーティングをアンケートなどで振り返ることなどが推奨されています。

 

上司の負荷という課題については、1on1ミーティングを+αの仕事として位置付けるのではなく、マネジメントの一環(上司に求められる組織成果の最大化を実現する手段)として位置付けることが推奨されています。

 

 

いかがでしたでしょうか。

1on1ミーティングを積極的に活用したいと考えている企業においては、「目的の明確化」、「上司の面談スキルの向上」、「マネジメントの一環としての位置づけ」という点がポイントになりそうです。

 

______________

<参考資料>

「【調査発表】1on1ミーティング導入の実態調査」株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
https://www.recruit-ms.co.jp/press/pressrelease/detail/0000000372/

 


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(株)吉野家ホールディングスの素早い不祥事対応 ‐取締役を解任するための手続き‐(弁護士:海津 諭)

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 海津 諭

海津 諭
(かいづ さとる)

一新総合法律事務所 
理事/弁護士

出身地:新潟県燕市
出身大学:京都大学法科大学院修了
新潟県公害審査委員、新潟県景観審議会委員を務めています。主な取扱分野は、相続全般(遺言書作成、遺産分割、相続放棄、遺留分請求など)です。そのほか、離婚、金銭問題、その他トラブルなど幅広い分野に精通しています。
相続・生前対策セミナーの講師を多数務めた実績があります。
また、『月刊キャレル』(出版:新潟日報事業社)に掲載のコーナー「法律相談室」に不定期で寄稿しており、身近な法律の疑問についてわかりやすく解説しています。

1 (株)𠮷野家の「炎上」事件と、取締役の解任

先日、牛丼チェーン「𠮷野家」について、経営会社である「(株)𠮷野家」の取締役による不適切な発言が大きなニュースとなりました。

 

取締役の発言がなされたのは令和4年4月16日であったところ、翌日には既に、インターネット上で批判の声が高まって、いわゆる「炎上」の状態になっていました。

批判の中には、会社のトップに近い取締役の発言であることを挙げて、会社自体がそのような考え方なのではないかと疑問視するものもありました。

 

そして、上記会社の100%親会社である「(株)𠮷野家ホールディングス」は、同月18日に臨時取締役会を開催し、決議によって上記の取締役を解任した旨を、同月19日に発表しました。

 

「炎上」のほぼ翌日に解任の手続きを行った親会社の対応は、私としては、素早い対応であったと考えます。

 

2 取締役を解任するための手続きは

さて、一般的に、会社の取締役が何か重大かつ不適切な行為を行った場合、その取締役を解任するなどの適切な対応を取らないと、会社自体の体質を疑問視されてしまう危険性があります。

 

では、取締役を解任するためには、どのような手続きが必要でしょうか。

 

取締役は、その取締役を選任した株主総会・種類株主総会の決議によって解任することができます。

そこで、まずは株主総会の招集通知を行い、株主総会を開催して、決議によって取締役を解任するという手順が必要です(なお、取締役の職務執行に関し不正の行為または法令・定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、株主総会において解任議案が否決された場合、一定以上の議決権を有する株主は、裁判所に解任請求の訴訟を提起することができます)。

 

ただし、一人の法人または個人が対象会社の全ての株式を保有している場合は、当然のことながら、招集通知手続を省略して直ちに解任手続を行うことができます。

今回の(株)𠮷野家ホールディングスも、(株)𠮷野家の100%親会社であったことから、親会社の取締役会での手続きをもって直ちに子会社の取締役を解任することができました。

また、その他にも、株主全員が同意し、かつ議決権の行使方法として書面投票や電子投票を定めない場合は、招集通知手続きを省略して直ちに株主総会を開催することができます。

 

3 解任以外の方法による対応

なお、取締役が自ら辞任の意思を示している場合は、解任ではなく辞任してもらうという方法もあります。

辞任の場合、変更登記以外に特別な手続きは必要ありません。

ただし、辞任によって取締役の人数が不足する場合は、後任の取締役を選任する必要があります。

 

また、取締役の任期が残りわずかであり、かつ事案の重大性が低いなど、解任をしなくても悪影響が少ない場合は、任期満了を待って退任してもらうという方法もあります。

 

4 おわりに

会社の取締役が不祥事を起こしてしまった場合は、顧客、取引先、株主などのステークホルダーの信用を失ってしまわないよう、素早くかつ適切な対応をとることが重要です。

対応や判断に迷う場合などは、ぜひとも当事務所にご相談ください。

 


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那須サファリパーク飼育員の負傷事故、補償や会社の法的責任は?(弁護士:今井 慶貴)

 │ 弁護士今井慶貴, 労働, 企業・団体, コラム

この記事を執筆した弁護士
弁護士 今井 慶貴

今井 慶貴
(いまい やすたか)

一新総合法律事務所
副理事長/新潟事務所長/弁護士

出身地:新潟県新潟市
出身大学:早稲田大学法学部

新潟県弁護士会副会長(平成22年度)、新潟市包括外部監査人(令和2~4年度)を歴任。
主な取扱分野は、企業法務(労務、契約、会社法務、コンプライアンス、事業承継、M&A、債権回収など)、事業再生・倒産、自治体法務です。
現在、東京商工リサーチ新潟県版で「ズバッと法談」を連載中です。

 

1 はじめに

 

1月5日朝に、​栃木県那須町の「那須サファリパーク」で、飼育員の男女3人がトラにかまれて負傷した事故が発生しました。

栃木県警は1月7日、業務上過失傷害の容疑で施設内の捜索を行ったと報道されています。

このような業務上の事故があった場合、従業員への補償や会社の法的責任はどうなるのでしょうか?

 

2  労災保険による補償

まず、飼育員の方は業務に起因する事故で負傷されたわけですので、​会社の過失の有無にかかわらず、労災保険による補償が受けられます。

​療養(補償)給付と休業(補償)給付のほか、後遺障害が残ってしまった場合の障害(補償)給付などが考えられます。

3 企業の損害賠償責任は?

加えて、会社は飼育員に対して、安全配慮義務違反や他の従業員に対する使用者責任に基づく損害賠償責任(民事責任)を負う可能性もあります。

​報道によると、前日に担当した別の飼育員2人は、トラが獣舎に入ったかどうかや、施錠の状況を「はっきり覚えていない」などと話しているということであり、飼育状況や管理体制に不備があった可能性が指摘されています。

仮に、​会社に責任が認められる場合には、慰謝料や将来の逸失利益についての支払責任が生じ、後遺症の程度にもよりますが、賠償額は相当高額になることもありえます。​

さらに、既に施設内の捜索が行われていますが、捜査の結果次第では、会社や管理責任者において、業務上過失傷害等の刑事責任を負う可能性もあります。

​また、1月5日付で栃木県の動物愛護指導センターが再発防止を求める行政指導をしたということです。

同じ施設で過去にも2度、飼育員が負傷する事故が起きていたということですので、過去の事故を踏まえた会社側の対応がどうであったかが問われるでしょう。

 

​4 おわりに

今回、サファリパークでの事故に即した形で説明しましたが、労災が発生した場合、使用者である会社の責任は広範に及ぶことがわかります。​

なんといっても日頃の予防が第一ですが、万一労災事故が発生してしまった場合には、使用者としては、必要に応じて弁護士とも相談しながら、真摯かつ誠実に対応することが大切です。

 

弁護士:今井慶貴

 

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