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社会で実際に起こった、事例や改正された法律をふまえ、法律に関する情報をご紹介します。

最高裁判所が違憲判決を出しました!(弁護士:上野 祐)

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 上野 祐

一新総合法律事務所
弁護士 上野 祐

一新総合法律事務所 新潟事務所所属

私には、先天的な病気が原因で弱視や視野狭窄の視覚に障害があります。それでも、自分の能力を生かして人のために働きたいとの信念をもって弁護士となりました。
私が、障害により日常多くの不自由を感じているように、価値観が多様化する現代において、社会に多くの不自由を感じておられる方も多いかと思います。どのような法的支援ができるかは事案によりそれぞれですが、皆様と共に最善の解決を考えていければと思っております。

1 はじめに

今回は、憲法のお話です。

 

2022年5月25日、最高裁判所は、在外邦人(外国に居住する日本人)に最高裁判所裁判官の国民審査を認めていない法律は、憲法に違反するとの判決を言い渡しました。

 

日本国憲法が1947年5月3日に施行されてから75年となりますが、違憲判決が言い渡されるのは、今回を含めて11件となります。

 

今回は、滅多にみられない違憲判決がありましたので、法律が憲法違反と判断されることの意味と、今回の判決の意義を説明していきたいと思います。

 

2 法律が憲法違反となるのはどうして?

法律が憲法に違反する、というのはどういう意味なのでしょうか。

 

その説明の前に、まずは、どうして法律が必要なのかについて簡単に説明します。

 

私たちは、常日頃、様々な社会活動・経済活動を行っています。

もちろん、自由な活動は大切ですが、無制限に自由な活動を認めると社会が混乱しますので、法律をもって規制するわけです。

例えば、車の運転を自由きままに認めると危険ですから、道路交通法によって免許を持つ人だけに運転を認め、交通ルールを定めているわけです。

 

このように、法律は、人の自由な活動を一定程度制限することで社会の秩序を維持していると言えるわけです。

 

では、どうして、社会の秩序を維持してくれている法律が、憲法に違反することになるのでしょうか。

法律を制定するにあたっては、様々な人の利害対立を調整する必要がありますので、ある人にとっては便利(有益)な内容であっても、他の人からみれば不便(不利益)な内容となっていることが通常です。

その是非は別にしても、法律によって利害調整を図られるわけです。

 

法律は、国会で制定されるわけですが、私たち国民の選挙による国会議員の多数派によって決定されるため、多数派の意向に沿った内容になることが多いのが実情です。

結局、どのような制度・規制によって日本の秩序を維持するのか、多数派の意見によって政治的に決められるわけです。

もし、現在の制度や規制に不満があるのであれば、政治活動によって多数派となり、あるいは多数派に働きかける等の政治的な活動によって実現する必要があるわけです。

これが民主主義の根幹ともいえる原理原則と言えます。

 

ただ、このような民主主義の原理原則は、多数派が、言わば「数の力」によって、少数派の自由を、許容できない程度にまで制限する危険を含んでいます。

その歯止めとなるのが違憲審査という仕組みです

憲法によって国民の人権を保障し、国会や行政から独立した裁判所によって国民の人権がきちんと保障されているのかをチェックして、もし許容されない事態に至っていれば、裁判所が「憲法違反」という判断を示して、法律を無効にする仕組みを取り入れたわけです。

 

つまり、「数の力」により制定される法律は万能ではないので、少数派の人権を憲法をもって保障し、裁判所によりチェックさせることにしたわけです、分かりやすい例を挙げますと、第2次世界大戦前、ナチスドイツは、法律によってユダヤ人を迫害したわけですが、今では許されないことが当たり前のはずのユダヤ人迫害が、「法律」の名の下で実際に行われていたわけです。

もし、憲法によって人権がきちんと保障され、裁判所によるチェックがきちんと行われていれば、ユダヤ人迫害という悲惨なことにはならなかったかもしれません。

 

法律が憲法に違反することを認める仕組みを「違憲審査の制度」とも呼ばれますが、この仕組みは、私たちの人権を護るうえで、とても重要であると言えるわけです。

 

3 どのような憲法違反があったの?

とは言え、憲法違反の判断は、極めて限定的であるのが実情です。

 

全国では、民事訴訟だけでも毎年47万件以上の新規案件が受け付けられていますが、違憲判決は、過去11件に過ぎず、いかに数が少ないかが分かります。

ただ、それは当然の話であり、安易に憲法違反を認めると、国民によって選ばれたわけではない裁判所(裁判官)が制度設計に関与する結果となり、民主主義に反してしまうからです。

そのため、違憲判断は、限定的になっているわけです。

 

過去、どのような違憲判断があったのか、少し触れたいと思います。

 

有名なところとしては、衆議院議員選挙において「一票の格差」が著しい程度にまで格差が広がっているとして、過去に2回、憲法違反の判断がなされています。

 

また、身近の違憲判決として、離婚等により婚姻を解消した女性の再婚が禁止される期間について、以前は6ヶ月との制度でしたが、100日を超える制限は過剰であるとして憲法違反とされました。

この判決を受け、2016年12月からは、婚姻解消から100日を経過していれば再婚が認められることになりましたが、それ以前の女性には、6ヶ月間の再婚禁止となっていたわけです。

「憲法違反」と聞くと、「自分には無関係の話」と思われるかもしれませんが、意外と身近な問題にも関わっているわけです。

 

4 今回の違憲判決の意義は?

今回の違憲判決は、「外国に居住する日本人(在外邦人)について、最高裁判所裁判官の国民審査が認められない現在の法律は憲法違反である」と判断されたものです。

 

実は、在外邦人の方に関する違憲判断は2例目で、2006年9月14日、最高裁判所は、在外邦人に国政選挙における選挙権行使を認めていなかった当時の法律を、憲法違反と判断しました。

つまり、在外邦人の方については、一度目は国政選挙の選挙権行使について、二度目は最高裁判所裁判官の国民審査権行使について、それぞれ違憲判決が出されたという事になるわけです。

 

さて、この度の違憲判決に関する最高裁判所裁判官の国民審査について簡単に説明します。

この審査制度は、司法のトップである最高裁判所の裁判官を罷免するかどうかを審査するものとなります。

衆議院議員選挙の際、選挙の投票用紙とは別に裁判官の名前が列記された用紙が配布され、罷免したい裁判官の欄に×印を付ける方法で審査することになります。

あくまで罷免したい裁判官に×印を付けるもので、信任したい裁判官に〇印を付けても無効になるので注意が必要です。

 

では、どうして最高裁判所の裁判官について国民審査の制度が用意されているのでしょうか。

 

先に述べたように、裁判所は、国会で制定された法律を憲法違反として無効にすることができますし、逆に、法律を憲法違反でないとして有効と判断することができる機関となります。

その意味で、裁判所のトップである最高裁判所の裁判官が、法律が憲法に適合するかどうかをきちんとチェックして、国民の人権を護っているかどうかを、国民に審査させるために審査制度が用意されたわけです。

 

国民審査の制度は、憲法に明記されていますし、国民の人権を護るために重要な制度であることから、最高裁判所は、外国に居住していることだけを理由に、国民審査権が認められない現在の法律は憲法違反であると判断したことに、重要な意義があると考えられます。

 

5 この度の違憲判決を踏まえて思うこと

違憲判決は、一度制定された法律の効力を無効と判断し、国会に対して速やかな是正を求める効果がありますので、非常に重大な影響があります。

 

過去11件の違憲判決があると説明しましたが、選挙権の「一票の格差」に関わる判断が2件、在外邦人の選挙権行使に関わる判断が1件、この度の在外邦人の最高裁判所国民審査権に関わる判断が1件となっており、選挙制度に関わる違憲判決が多いのが分かります。

これは、選挙制度・国民審査制度が、民主主義の根幹に関わる重要なものであるとの考えが根底にあるのだろうと思います。

 

他方、現実を見ると、国政選挙の投票率は50%前後と低水準で推移していますし、国民審査によって罷免された裁判官は過去に誰もおらず、形骸化しているとの指摘されているような状況です。

国民の“無関心”とも言える事態とも言えると思います。

 

ですが、このような“無関心”の事態が続けば、民主主義の名の下に国民の人権が脅かされるかもしれません。

人権が保障されるべきことは当然ですが、国を動かしているのは同じ人間なわけですから、国民一人一人が関心を持ち、選挙なり国民審査なりの制度に関わることで人権を護っていく必要があるわけです。

 

国民審査の制度で言えば、審査対象となっている最高裁判所の裁判官が、過去にどのような判断を示したのか、少しでも知ることが審査制度を活用する一つの行動になると思います。

そして、国民審査を形骸化させずに活用することは、回りまわって私たち国民の人権を護ることにつながることを意識する必要があるわけです。

 

今回の違憲判決は、そのような課題を考えるきっかけとして受け止めるべきものだろうと思うところです。

 


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1on1ミーティング導入の実態調査について

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 五十嵐 亮

一新総合法律事務所
弁護士 五十嵐 亮

一新総合法律事務所理事/長岡事務所所属

日々の勉強や他の弁護士との活発な意見交換を通じて自己研鑽を積むとともに、依頼者の方々に対しては、懇切丁寧なコミュニケーションを行い、よりよい解決に導けるよう心がけております。

 

近年、リモートワークが定着したり、多様な人材の活用が進展していることなどから、1on1ミーティングを導入する企業が増えてきています。
他方で、1on1ミーティングの実施方法について悩みを抱えている企業も多いのではないでしょうか。

 

そのような状況の中、株式会社リクルートマネジメントソリューションズが2022年4月25日に「1on1ミーティング導入の実態調査」を公表しました。

 

以下では、調査結果の内容をみていきます。

 

 

■どのくらいの企業が導入している?

1on1ミーティングの導入企業は、全体で7割近くの企業が導入しているという結果になりました。

従業員規模別では、3000名以上の企業で75.5%、100名から699名の企業では57.7%の企業が導入しているという結果となりました。

 

導入した企業の約6割の企業が、「3年以内に導入した」と回答しました。

2020年からのコロナ禍の影響でリモートワークが一気に進展し、部下と話す機会を意図的に作る必要性が感じられたことも、導入が進んだ要因とされています。

 

■導入の目的は?

導入の目的で最も多かった回答は「社員の主体性・自律性の向上」で、以下、「自律的キャリア形成の支援」「評価の納得性の向上」「エンゲージメントの向上」と続きました。

 

近年、変化の大きなビジネス環境の中で、トップダウン型のマネジメントが通用しづらくなり、一人ひとりの従業員が自律して課題設定、業務遂行していくことが求められていることとの関連から、「社員の自律性向上」が上位になったものと考えられます。

 

■導入の効果は?

 

導入したことの効果として最も多かった回答は「上司と部下のコミュニケーション機会が増えた」で、以下「部下のコンディションの把握ができている」「上司と部下が本音で話せる関係になっている」と続きました。

 

特定の人に接する回数が増えることで、印象が良くなることは「単純接触効果(ザイオンス効果)」と呼ばれ、上司と部下が1on1ミーティングを設定し、意識的にコミュニケーション機会を設けることで、関係性の向上に寄与していることがうかがえるということです。

 

■導入後の課題は?

導入後の課題としては、「上司の面談スキルの向上」が最も多く、以下「上司の負荷の高まり」「1on1実施率の低下・形骸化」が続いています。

 

上司の面談スキルが不足していると、1on1ミーティングの場が、単なる雑談の場や上司が進捗確認や指示をする場になってしまいがちです。

これらの課題を克服するために、「コーチング」「フィードバック」「ティーチング」のスキルを研修で学ぶこと、1on1ミーティングを部下として受ける体感をすること(プロコーチによるコーチングセッションなど)、実施した1on1ミーティングをアンケートなどで振り返ることなどが推奨されています。

 

上司の負荷という課題については、1on1ミーティングを+αの仕事として位置付けるのではなく、マネジメントの一環(上司に求められる組織成果の最大化を実現する手段)として位置付けることが推奨されています。

 

 

いかがでしたでしょうか。

1on1ミーティングを積極的に活用したいと考えている企業においては、「目的の明確化」、「上司の面談スキルの向上」、「マネジメントの一環としての位置づけ」という点がポイントになりそうです。

 

______________

<参考資料>

「【調査発表】1on1ミーティング導入の実態調査」株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
https://www.recruit-ms.co.jp/press/pressrelease/detail/0000000372/

 


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(株)吉野家ホールディングスの素早い不祥事対応 ‐取締役を解任するための手続き‐(弁護士:海津 諭)

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 海津 諭

一新総合法律事務所
弁護士  海津 諭

一新総合法律事務所理事/燕三条事務所所属

依頼者の話を誠実に聞いた上で、その事件のより良い解決策を必死に考え抜くこと、それが私の責務の一つだと思っています。
人が法律問題で行き詰まったとき、傷ついたとき、疲れたときに、その方に解決の道筋を示して元気付けることが出来るよう、全力を尽くします。

1 (株)𠮷野家の「炎上」事件と、取締役の解任

先日、牛丼チェーン「𠮷野家」について、経営会社である「(株)𠮷野家」の取締役による不適切な発言が大きなニュースとなりました。

 

取締役の発言がなされたのは令和4年4月16日であったところ、翌日には既に、インターネット上で批判の声が高まって、いわゆる「炎上」の状態になっていました。

批判の中には、会社のトップに近い取締役の発言であることを挙げて、会社自体がそのような考え方なのではないかと疑問視するものもありました。

 

そして、上記会社の100%親会社である「(株)𠮷野家ホールディングス」は、同月18日に臨時取締役会を開催し、決議によって上記の取締役を解任した旨を、同月19日に発表しました。

 

「炎上」のほぼ翌日に解任の手続きを行った親会社の対応は、私としては、素早い対応であったと考えます。

 

2 取締役を解任するための手続きは

さて、一般的に、会社の取締役が何か重大かつ不適切な行為を行った場合、その取締役を解任するなどの適切な対応を取らないと、会社自体の体質を疑問視されてしまう危険性があります。

 

では、取締役を解任するためには、どのような手続きが必要でしょうか。

 

取締役は、その取締役を選任した株主総会・種類株主総会の決議によって解任することができます。

そこで、まずは株主総会の招集通知を行い、株主総会を開催して、決議によって取締役を解任するという手順が必要です(なお、取締役の職務執行に関し不正の行為または法令・定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、株主総会において解任議案が否決された場合、一定以上の議決権を有する株主は、裁判所に解任請求の訴訟を提起することができます)。

 

ただし、一人の法人または個人が対象会社の全ての株式を保有している場合は、当然のことながら、招集通知手続を省略して直ちに解任手続を行うことができます。

今回の(株)𠮷野家ホールディングスも、(株)𠮷野家の100%親会社であったことから、親会社の取締役会での手続きをもって直ちに子会社の取締役を解任することができました。

また、その他にも、株主全員が同意し、かつ議決権の行使方法として書面投票や電子投票を定めない場合は、招集通知手続きを省略して直ちに株主総会を開催することができます。

 

3 解任以外の方法による対応

なお、取締役が自ら辞任の意思を示している場合は、解任ではなく辞任してもらうという方法もあります。

辞任の場合、変更登記以外に特別な手続きは必要ありません。

ただし、辞任によって取締役の人数が不足する場合は、後任の取締役を選任する必要があります。

 

また、取締役の任期が残りわずかであり、かつ事案の重大性が低いなど、解任をしなくても悪影響が少ない場合は、任期満了を待って退任してもらうという方法もあります。

 

4 おわりに

会社の取締役が不祥事を起こしてしまった場合は、顧客、取引先、株主などのステークホルダーの信用を失ってしまわないよう、素早くかつ適切な対応をとることが重要です。

対応や判断に迷う場合などは、ぜひとも当事務所にご相談ください。

 


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ネット上の誹謗中傷 厳罰化へ(弁護士:角家 理佳)

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 角家 理佳

一新総合法律事務所
弁護士 角家 理佳

一新総合法律事務所理事/新潟事務所所属

「しんなら強い」-しなやかで決して折れることのない強さ。
私の好きな新潟弁です。柔軟な思考とそれを支える識見、穏やかでありながら心身共にタフ。
一日も早く、これらを兼ね備え、依頼者の信頼を得られる「しんなら強い」弁護士になるために、日々研鑽を積んでいきたいと思っています。

侮辱罪厳罰化の動き

今月8日、政府は「侮辱罪」の厳罰化を盛り込んだ刑法改正案を閣議決定しました。

 

現行の侮辱罪の法定刑は、拘留または科料ですが、今回の改正案が通ると、1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金となります。

また、公訴時効も1年から3年に長くなります。

政府は、今国会中の成立を目指しています。

 

改正の契機

この厳罰化の動きは、女性プロレスラーが、SNSでの誹謗中傷を苦に自死した出来事をきっかけに一気に加速しました。

 

特に悪質だった投稿者2人は侮辱罪で略式起訴され、科料9,000円が科されましたが、女性の自死という重く悲しい結果に対して、与えられる罰があまりに軽いという批判が続出したのでした。

 

現状にあった改正の必要

 

SNS等の広がりに伴い、ネット上では重大な人権侵害を引き起こす悪質な誹謗中傷が横行するようになりました。

総務省の「違法・有害情報相談センター」に寄せられるネット中傷などに関する相談件数は、平成27年以降、毎年5,000件以上に上り、平成22年の約4倍に達しています。

しかし、現行の侮辱罪は明治時代に制定されたもので、インターネット上の誹謗中傷などを想定していません。

現状に合った規制を求める声が出るのも当然といえば当然です。

 

また、インターネット上の書き込み等は匿名で行われることが多く、行為者を特定するには時間と手間がかかります。

これまでの1年という時効期間では、その間に行為者を特定して検挙することには、困難もありました。

 

そうした状況から、今回の改正案には、悪質な事案を抑止する効果や、立件の可能性を高める効果が期待されています。

(総務省:違法・有害情報相談センターhttps://ihaho.jp/)

 

拙速な改正を不安視する声も

しかし、一方で、犯罪の性質上、許容される範囲と犯罪になる境界はあいまいで、その基準を明確にすることも困難なことから、「表現の自由」を委縮させるとの指摘や恣意的な適用を不安視する声も強くありました。

 

また、改正案提出までに、法務省は2020年6月にプロジェクトチームを設置して議論をし、法制審議会を経ましたが、法制審議会の部会はわずか2回しか開かれませんでした。

刑法という重要な法律の改正であり、かつ表現の自由にも影響を与える法案にもかかわらず拙速である、慎重に議論すべきだとの意見も出ました。

 

さらに、国連は、名誉を傷つける行為について、刑事責任の追及はなるべく避けるべきだとし、刑罰を科す場合でも、身体の自由を奪う刑は適切でないとしていますし、欧米では侮辱罪の規定を持たない国もあります。

今回の改正案は、こうした世界の流れに逆行するとの指摘もあるところです。

 

誹謗中傷をなくすために

侮辱罪の厳罰化に対する賛否はともかく、ネット上での悪質な誹謗中傷による被害をなくしたいとの痛切な願いを否定する人は、そうはいないと思います。

ただ、厳罰化で全てが解決するわけではありませんし、被害を防ぐ方法は厳罰化だけではないでしょう。

 

インターネットは、誰でも自由に意見を発信できる点で優れていますが、そこには自ずと責任が伴います。

一度口にしてしまった言葉、書いてしまった言葉は、なかったことにはできません。

軽率な発言が、取り返しのつかない被害をもたらしてから後悔や反省をしても遅いのです。

自分の発した言葉が一瞬にして世界中を駆け巡り、大きな影響を及ぼしうるツールを利用している者には、自分の発した言葉が及ぼす影響を想像する力が求められます。

 

総務省は、「#NoHeartNoSNS(ハートがなけりゃSNSじゃない!)」をスローガンに、SNS等における誹謗中傷対策に取り組んでいます。

こうしたものも参考に、一人一人が自覚的に行動することが必要なのだと思います。

 


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年金手帳が廃止されます(弁護士:中澤 亮一)

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 中澤 亮一

一新総合法律事務所
弁護士 中澤 亮一

                 

一新総合法律事務所 理事/上越事務所長

弁護士というと敷居の高いイメージをお持ちの方も多いと思いますが、生活を送るうえで悩み事を抱えたときや紛争に巻き込まれたとき、気軽に相談していただける弁護士になりたいと思っています。

 

1. 令和4年4月より年金手帳が廃止されます

 

令和2年6月5日に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が公布され、今年(令和4年)4月より年金手帳が廃止されることになりました。

 

年金手帳は、20歳以上の公的年金加入者に交付される手帳で、年金に関する情報が記載されています。

その中でも重要なのが「基礎年金番号」です。

この番号は、実際に年金に関する手続きを行う際や、自分の年金情報などを確認する際に用いられる重要なものです。

 

では、なぜそのように重要な年金手帳が廃止されることになったのでしょうか?また、廃止されるとどうなってしまうのでしょうか?

 

2. なぜ廃止されるのか?

年金手帳が廃止されることになった理由の一つに、マイナンバー制度の導入があります。

平成27年10月以降、住民票を持つ人には一人に一つマイナンバーが通知されていますが、平成30年3月からは、今まで基礎年金番号で行っていた国民年金に関する届出や申請について、全てマイナンバーを使って行うことができるようになりました。

また、行政のオンライン窓口サイト「マイナポータル」を使えば、自分の年金加入記録も確認できるようになっています。

 

つまり、これまで年金の手続には必要不可欠であった基礎年金番号が、マイナンバーによって代替され不要になってきており、それに伴って年金手帳についても必要性がなくなってきたのです。

 

3. 年金手帳は廃棄しても大丈夫?

年金手帳が廃止された後(令和4年4月以降)に国民年金等に加入した人には、年金手帳の代わりに「基礎年金番号通知書」が送付されることになります。

 

また、すでに年金手帳を持っている人については、廃止後も引き続き基礎年金番号を明らかにする書類として利用することができます。

年金手帳については引き続き大事に保管しておく方がよいでしょう。

なお、年金手帳廃止後に年金手帳を(紛失などの理由で)再発行する場合には、手帳ではなく基礎年金番号通知書が交付されるとのことです。

 

4. 法律事務所業務の中で、年金手帳が必要な場面も

我々弁護士が年金と聞いて思い浮かぶことの一つに、離婚時の「年金分割」があります。

この年金分割は、夫婦が離婚するときに、婚姻期間中の保険料納付額に対応する厚生年金を分割して、それぞれ自分の年金とすることができる制度です。

離婚調停の申立てを行う際には、この年金分割を合わせて請求することが多いです。

 

この手続には「年金分割のための情報通知書」という書類が必要になるので、依頼者の方に年金事務所に行ってもらい取得の手続きをしてもらうのですが、そのときに「年金手帳を持っていってください」とアドバイスすることがありました。

しかし、上記のように平成30年3月からはマイナンバー(カード)で代替することができるようになったので、今後は「どちらかを持っていってください」ということになります。

 

5. 最後に

行政手続きの合理化やオンライン化によって、便利になっていくことは間違いないと思いますが、それに伴って生じる変化についていくことが大変な面もあります。

いざという時に困らないよう、情報収集しておきましょう。

【弁護士:中澤 亮一】


 

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