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法務情報

2026/03/03

法務情報

離婚後の養育に関するルールが変わります!(弁護士:橘 里香)

1.令和8年4月1日から、離婚後の子どもの養育に関する民法の規定が変わります。

共同親権のスタートなど、離婚後の養育に関するルールに、様々な変更があるのですが、今日は、先取特権法定養育費についてお話したいと思います。

2.先取特権

(1)私的合意書で差押えが可能に!

今回の改正で、養育費債権に「先取特権」という優先権が認められました。

これにより、養育費について公正証書や調停調書、判決などがなくても、私的合意書に基づいて差押えができるように改正がなされました。


また、他の一般債権者より優先して弁済が受けることを可能としました。


これまでの民法では、当事者間で養育費の取り決めを行い、書面を作成していても、私的な合意書だけでは、強制執行を行うことはできませんでした。

支払いが止まったときに強制執行手続で相手の財産を差し押さえるためには、公正証書や調停調書、審判や判決など「債務名義」と言われる書類が必要でした。


すなわち、差押え行うには、公証人役場で、支払わない場合には強制執行されても構いませんという約束を記載した公正証書を作成しておくか、家庭裁判所で調停等法的手続きをとり、裁判所で支払義務を明記した書類を取得しておくことが必要でした。


相手方の協力が得られない場合には、裁判所で調停や審判、裁判などの手続をとり、調停調書や審判、判決などを得た上で、その後に再度強制執行の申立手続きをとる必要があり、養育費が比較的低額であるのに、2度も裁判所で手続きをとる必要があったことから、中には、その負担から、養育費を断念する人もいました。


しかし、養育費にも先取特権が認められたことから、今後は、当事者作成の合意書のみで、一定の金額までは差押えができるようになりました。

(3)上限額は?

ただし、先取り特権が利用できる金額については、法務省令で、子1人につき上限8万円と上限があります。


例えば、養育費月額10万円払うとの合意書を作成していた場合、8万円までは先取特権で差し押さえることができますが、残り2万円も差し押さえたいと考えた場合には、従前同様、債務名義が必要となります。

(3)令和8年3月31日までの離婚でも使える!

改正法施行前に離婚し、養育費の取り決めをする書面を作成していた方についても、令和8年4月以降分の養育費については、この改正が適用され、先取特権を利用できます。

3.法定養育費制度開始!

更に、本年4月1日から法定養育費制度が始まります。

(1)金額は?

離婚時に、養育費の取り決めをしていなくとも、子1人につき、2万円の法定養育費が認められます。


子一人につき2万円以上の養育費を請求するためには、従前どおり、協議や裁判所手続きでの合意、または審判、判決が必要ですが、離婚時に具体的な取り決めや協議が出来ていない場合にも、2万円までは養育費を請求できるのです。

また、法定養育費にも先取特権が付与されているため、法定養育費については父母間の合意書がなくても、差押えを行うことが可能になります。


これにより、相手方養育費の支払いを拒否しているようなケースでも最低限の養育費として2万円までは、速やかに差押えを行うことができるようになりました。

(2)要件は?

法定養育費が認められるには、

①令和8年4月1日以降に離婚したこと
②離婚の時から引き続きその子の監護を主として行っていること

が必要です。

令和8年4月1日以前に離婚をした方は、法定養育費の適用がないため、従前同様、取り決めがない場合には、調停等の手続きが必要となります。

(3)いつまでもらえる?

次のいずれかの時期まで認められます。

  ①父母間で養育費の取り決めをした日
  ②家庭裁判所における養育費の審判が確定した日
  ③子どもが18歳に達した日

4.まとめ

この改正を踏まえ、今後は、差押えを行う事案が増加する可能性があります。

 
離婚を検討している方だけでなく、会社の経理担当者などは、意識しておくのが良いでしょう。

「離婚後の養育」に関するルール変更については、【離婚サイト】で詳しく解説していますのでぜひご参考になさってください。
>>>こちら

この記事を執筆した弁護士
弁護士 橘 里香

橘 里香
(たちばな りか)

一新総合法律事務所 
理事/弁護士

出身地:沖縄県那覇市
出身大学:青山学院大学法科大学院修了

主な取扱分野は、離婚(親権、養育費、面会交流等)、男女問題。
そのほか相続、金銭問題など幅広い分野に精通しています。メンタルケア心理士の資格を活かし、法的なサポートだけでなく、依頼者の気持ちに寄り添いながら未来の生活を見据えた解決方法を一緒に考えていきます。

 

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