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【法務情報】やっぱり,地震保険って入った方がいいの?

 │ 弁護士中川正一, 燕三条事務所, 震災

はじめに
 3月11日に東日本大震災があり,被災地以外の地域にも大きな影響がでています。
 そこで,地震に関する意識が高まっているこの時期に,地震保険の有意性について検討してみたいと思います。

 
地震保険とは
  まず確認すべきことは,地震保険とは,居住用の建物と家財を対象とする地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没または流失による損害を補償する地震災害専用の保険だということです。
 火災保険では,地震を原因とする火災による損害や,地震により延焼・拡大した損害は補償されません。
 そのため,地震を原因とする被害についても補償を求めたいと考える場合は,火災保険とセットで地震保険の契約をする必要があります。地震保険は火災保険に付帯する方式での契約ですので,火災保険への加入が前提になります。

 
火災保険だけの場合
 では,地震に関して発生した火災による被害は地震保険に入っていなければ一切補償されないのでしょうか。
 阪神大震災の2日半後に発生した通電火災につき減額はされたものの一部保険金の支払いを命じた裁判例があります。これは地震と火災との因果関係を認めています。
 ですから本来であれば地震保険に入っていなければ補償されないのが自然です。
 ですが,居住者が地震後に容易に火災発生の危険を除去できるのにこれを怠ったことが火災発生の直接的な原因となっているとして居住者の不注意による失火であることを重視し,地震保険の説明が不十分であったことをも考慮して,居住者を救済したものです。
 ただし,このような救済は例外的ですから,予め地震保険契約をすることが望ましいでしょう。

 
地震保険でも救済されない場合
 では,地震保険契約を締結していれば,災害時にはすべて補償されるのでしょうか。
 まず,建物は5,000万円,家財は1,000万円を限度として,全損の場合は時価による補償になります。
 ですから,住宅ローンの残高がそのまま補償されるわけではありません。
 また保険金を支払ってもらえない場合もあります。
 例えば,「地震の発生日から10日以上経過した後に生じた損害」,「戦争・内乱による損害」,「核燃料物質もしくは核燃料物質によって汚染された物の放射性・爆発性その他の有害な特性またはこれらの特性による事故」,「地震等の際の紛失・盗難」などの場合には地震保険に加入していたとしても保険金を支払ってもらえません。
 さらに,自動車は家財に含まれません。先日の大震災では津波に流された自動車が大量にありましたが,これらは地震保険では救済されません。また車両保険に加入していても,地震の場合の免責条項がありますので,先の津波被害の例では救済は難しいと思われます。
 地震保険に入る際にはこのようなことも意識して加入するかどうかを検討しなければなりませんね。

 
生命保険と損害保険は別もの
 ところで,先日の大震災の際には,生命保険協会が「各生命保険会社では、被災されたお客様のご契約については、地震による免責条項等は適用せず、災害関係保険金・給付金の全額をお支払いすることを決定」した旨の発表をしました。
 しかし,これはあくまでも生命保険に関しての対応です。損害保険は対応は別なので,お間違いのないようにご注意下さい。

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 中川 正一◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2011年3月31日号(vol.75)>

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