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【法務情報】電力使用制限令とは

 │ 新発田事務所, 震災

東日本大震災による原発事故を受けて,7月1日に「電力使用制限令」が発布されました。

 
 この電力使用制限令は,電気事業法27条という法律に基づく措置ですが,電気事業法というと,一応弁護士である私にとってもあまりなじみのない法律であり,司法試験にも出ません。

 
 そこで,この機会に電気事業法27条についてみてみると,次のように規定されています。

 「経済産業大臣は,電気の需給の調整を行わなければ電気の供給の不足が国民経済及び国民生活に悪影響を及ぼし,公共の利益を阻害するおそれがあると認められるときは,その事態を克服するため必要な限度において,政令で定めるところにより,使用電力量の限度,使用最大電力の限度,用途若しくは使用を停止すべき日時を定めて,一般電気事業者,特定電気事業者若しくは特定規模電気事業者の供給する電気の使用を制限し,又は受電電力の容量の限度を定めて,一般電気事業者からの受電を制限することができる。」

 

 つまり,電力不足の際には経済産業大臣が国民に電力の使用を制限することができるとされているのです。
 この規定が適用されるのは昭和49年の石油危機のとき以来37年ぶりとのことです。

 
 では,具体的にどのように電力使用が制限されるのかというと,「電気事業法27条に関する政令」は今回の制限令の具体的な内容として,次のように規定しています。

 
 すなわち,東北電力区域では7月1日から9月9日まで,東京電力区域では7月1日から9月22日までの期間の平日午前9時から午後8時まで,使用電力を昨年夏の使用電力より15パーセント削減しなければならない,という内容です。
 
 そして,電気事業法には罰則が定められており,上記の使用制限に違反した場合には,「100万円以下の罰金」という刑事罰に処するとの規定が置かれています。
 端的にいうと,節電する義務に違反した場合には犯罪となり,刑事罰が科されるということになります。

 
 節電しないと犯罪になる,というと驚かれる方もおられるかもしれませんが,今回の制限令は,対象となる事業所が,「東京電力及び東北電力供給区域内の契約電力500キロワット以上の大口需要家」に限られており,対象となる事業所には経済産業省より通知が発せられています。

 
 したがって,現在,経済産業省からの通知が届いていなければ,制限令の対象とはなりません(もっとも,これから新たに500キロワット以上の契約をした場合には対象となります)。

 
 このように,罰則の対象となるのは契約電力500キロワット以上の大口需要家のみで,契約電力500キロワット以下の事業所や一般家庭では,節電できなかったとしても犯罪にはなりません。

 
 では,国が,制限令の対象とならない一般家庭に対してどのような手法で節電を呼びかけているかというと,昨年夏の使用電力から15パーセント削減を達成することができた場合には,旅館宿泊券やLEDライトなどの「景品」が進呈されるという制度が,経済産業省のホームページ上で実施されています。

 
 現在,この景品進呈制度は東京電力区域のみが対象とされていますが,経済産業省のホームページによると,7月下旬頃に東北電力区域も対象となるようです。

 
 以上のように,国は,罰則と景品というアメとムチ(?)を使って国民に節電を促しているというわけです。

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 塩谷 陽子◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2011年7月15日号(vol.82)>

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