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社会で実際に起こった、事例や改正された法律をふまえ、法律に関する情報をご紹介します。

音楽教室の生徒の演奏に著作権使用料がかからないと判断した裁判について

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 楠浦 貴人

一新総合法律事務所
弁護士 楠浦 貴人

一新総合法律事務所 /新潟事務所所属

弁護士として依頼者の満足度を高めるためには、依頼者の思いに応えた解決策を示し、さらに依頼者にその解決策についてご理解頂けることが必要と考えています。

そのためにもまず依頼者のお話を丁寧に聞き、真に求めている結果を導くことのできる解決策を真摯に考えたいと思います。

1.はじめに

 

令和4年10月24日、最高裁判所は、音楽教室のレッスンにおける生徒の演奏について、著作権使用料の徴収対象にはならないとの判決を出しました。

 

これはニュースでもよく取り上げられていたため、目にした方は多いのではないかと思います。

この判決について紹介をさせていただきます。

 

2.前提の事実関係

この裁判は、原告である約250社の音楽事業者がJASRACを被告として提訴したことから始まりました。

 

JASRACは、音楽の著作権に関する管理事業を行う団体です。

音楽家などの著作権者の代わりに著作権の利用許諾の窓口になることや、著作権使用料の徴収、著作権者へ使用料の分配などを行います。

 

この裁判は、JASRACが音楽教室から年間受講料収入の2.5%を著作権使用料として徴収すると発表したことから争いとなりました。

 

このJASRACの使用料徴収の動きに反対するため、約250の音楽教室事業者が、音楽教室のレッスン中の楽曲の演奏について、著作権使用料の支払いは不要であるとの確認を求め、JASRACに対し、訴訟提起をしました。

 

3.演奏権について

著作権法第22条は、著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として上演し、又は演奏する権利を専有する、と規定しています。

この規定により、著作権者は公衆に演奏する権利を専有していることになるため、著作権者ではない他人が無断で著作権に守られる音楽の演奏権を行使することは禁止されています。

 

仮に音楽教室の教師や生徒の演奏がこの演奏権の行使に当たるとすれば、JASRACの使用料徴収の判断は正しいと考えることができます。

 

4.1審の東京地方裁判所の判断

東京地方裁判所は、令和2年2月28日、原告の請求を棄却しました。

JASRACはレッスン中の演奏について音楽教室から著作権使用料を徴収できるとの判断です。

 

原告である音楽教室側は、東京地方裁判所の判決に対して控訴をしました。

原告側は記者会見の場で、教師がお手本を示すことに使用料が発生することは社会一般の感覚とあまりにもかけ離れていると話しています。

 

5.2審の知的財産高等裁判所の判断

知的財産高等裁判所は、楽曲の利用主体について教師と生徒を区別する判断をしました。

 

まず、教師の演奏について、その演奏の主体は音楽教室事業者であると判断し、教師の演奏は演奏権の行使に当たるとしました。

 

一方で、音楽教室の生徒の演奏について、演奏権侵害はないと判断しています。

 

6.最高裁判所の判断

争点は、レッスン中の生徒の演奏について、演奏する音楽の利用主体が生徒であるか又は音楽教室の事業者であるかでした。

 

最高裁判所は、生徒の演奏については音楽教室が利用主体ではないとの判断を示しました。

この最高裁判所の判断によって、レッスン中の生徒の演奏は著作権使用料の徴収の対象とはなりません。

ただし、教師の演奏は徴収の対象となります。

 

今後、教師の演奏について具体的にどの程度の使用料を徴収するかが議論の対象となると考えられます。

 


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自筆証書遺言書保管制度とは~メリットとデメリット~(弁護士:吉田明恵)

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 吉田 明恵

一新総合法律事務所
弁護士 吉田 明恵

一新総合法律事務所 /新潟事務所所属

当たり前のことなのかもしれませんが、司法修習では「一つ一つの事件に全力で取り組むよう」指導を受けました。

その教えを常に忘れずに、皆様のお話しをじっくりと伺い、誠実に対応させていただきたいと思います。

それと同時に、法律の分野はもちろん幅広く社会に目を向けて勉強をし、皆様のお力になれるよう努力致します。

 はじめに

 

法務局で自筆証書遺言書保管制度が開始してから2年以上が経過しました。

法務省の発表によれば、令和4年9月までに累計4万1764件の保管申請があったそうです。

 

今回は、遺言書について解説したいと思います。

 

2 遺言書をつくるメリット

遺言書がない場合、相続人全員で遺産の分け方を協議します(これを「遺産分割協議」といいます)。

相続人間の関係が良好で、話し合いにより遺産の分け方がスムーズに決められるのであれば、遺言書がなくても特に問題はありません。

 

しかしながら、

 

・相続人間の関係が険悪で、協議が出来ない…

・相続人のなかに面識のない人がおり、連絡が取りづらい…

・遺産として不動産しかなく、分け方が決められない…

 

など協議が難航するケースもあります。

 

そのような場合、遺言書があれば、基本的にはそれに従い相続人等が遺産を取得しますので、遺産分割協議をする必要がありません。

無用な争いを回避し、スムーズな相続を実現するために、遺言書を作成しておく意味があります。

 

3 保管制度のメリット

法務局での自筆証書遺言書の保管制度は、上記に加え、

 

・法務局で遺言書を保管するので、紛失のおそれがない

・相続人等による遺言書の破棄、隠匿、改ざん等を防ぐことが出来る

・相続開始後、家庭裁判所における検認が不要

・相続開始後、相続人等は、法務局において遺言書を閲覧したり、遺言書情報証明書の交付が受けられる

 

というメリットがあります。

 

せっかく遺言書を作っても紛失したり、相続人が発見できなければ意味がありません。

保管制度はそのようなリスクを回避できるメリットがあります。

 

4 自筆証書遺言書のデメリット

法務局の保管制度の対象は、自筆証書遺言です。

自筆証書遺言は、紙と筆記用具と印鑑があれば気軽に作れます。

 

しかし、自筆証書遺言書を拝見していると、

 

・書かれていることが曖昧、多義的であるため、遺言の内容が分からない

・預金や不動産がきちんと特定されていないので、誰が、何を取得するのか分からない

 

など問題がある場合も少なくありません。

 

また、本人が一人で作るため、後々、判断能力の有無が問題となり、遺言書の有効性が争われるケースもあります。

 

そのようなリスクを考えると、せっかく作るのであれば、弁護士などの専門家に相談して遺言書を作成することをお勧めします。

ご相談いただければ、ご要望に応じた遺言書の内容や作成方法などをご提案いたします。

 

*一新総合法律事務所では相続・遺言に関するご相談は初回無料(45分)で承っております。お気軽にお問い合わせください。


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調停制度100周年(弁護士:橘 里香)

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 橘 里香

一新総合法律事務所
弁護士 橘 里香

一新総合法律事務所 理事/新潟事務所所属

相談者の方の想いをお聞きし、寄り添ってあげることを大切にしながら、専門家として冷静に長期的視野でアドヴァイスをしていくことで、相談者の方が少しでもより良い未来を迎えられるよう一つ一つ最良の選択ができるよう、また、一歩ずつ前進していけるようお手伝いができれば幸いです。

 

令和4年10月は、調停制度ができてからちょうど100年目、裁判所ではこの節目に調停制度の理解を深めてもらうべく記念の特殊切手発行など様々な企画を実施しています。

 

この機会に、調停ってどんなものなのかについてお話ししてみたいと思います。

 

1 調停の歴史

調停制度の始まりは、1922年10月の借地借家調停法の施行によります。

当初、関東大震災後の借地借家紛争の解決のために活用されたようです。

その後、1939年には人事調停法が施行され、家事調停も始まり、現在では、借地借家問題を含む幅広い民事問題を取り扱う民事調停の他に、離婚問題や相続問題を扱う家事調停、知財問題を取り扱う知財調停など、幅広い問題で調停が利用されています。

 

2 調停とは

 

調停とは、裁判所で行う話合いの手続きです。

 

通常、裁判官1名と調停委員2名で調停委員会を構成し、この調停委員会が間に入って中立の立場で当事者の話を聞き、意見の調整を行ったり、解決案を示したりしながら、問題の合意による解決を目指す手続きです。

 

民事調停は簡易裁判所で、家事調停は家庭裁判所で行います。

 

ポイントは、あくまでも話合いの手続きであり、結論を強制されたり、裁判所が何か判断を下す場ではないという点です。

 

3 調停委員とは

調停委員には、紛争解決に有用な専門知識を有する方や社会生活上豊富な経験知識を有する方として各裁判所が選び、最高裁判所に任命された方がなります。

 

弁護士や士業の方が調停委員をしていることもありますが、多くは地域の中で活躍され社会生活上豊富な経験知識を有す法曹経験のない一般の方です。

一般市民の良識を反映させるという目的から、調停委員会は裁判官のみでなく調停委員2名を入れた3名で構成しているのです。

 

基本的には、調停委員は推薦で選ばれます。

弁護士会、司法書士会、行政書士会、税理士会など資格団体の推薦の他にも、商工会議所や民生委員児童委員協議会などの推薦や着任中の調停委員の推薦などで選ばれるケースもあります。

 

任期は2年ですが、再任されることが多いので10年~20年のベテランの方もいらっしゃいます。

 

4 調停の進め方

だいたい月1回のペースで調停期日を設定し、協議を進めていきます。

 

1 回の期日は2~3時間くらいで、申立人から30分話をきいたら、待合室に戻ってもらい、相手方を呼んで30分話をするという形で両当事者の話を聞いていきます。

 

通常、裁判官は各調停に常に立ち会う訳ではなく、調停委員2名が当事者の話を聞き、その結果を裁判官に報告、相談しながら調停を進めていく形がとられます。

 

調停の部屋には当事者と代理人弁護士しか入れないので、親族が一緒に話をすることはできません。

 

両当事者で解決方法について合意に至れると、裁判官が合意内容を確認し、その内容が調停調書という形で書面化されます。

 

この調停調書は、確定判決と同一の効力が認められていることから、金銭支払い約束などについては、約束が守られないときに強制執行手続を取ることが可能となります。

 

5 調停のメリット

調停のメリット、1つ目は、比較的低額で申立てが可能と言う点です。

家事調停の印紙代は高額でも数千円程度です。

民事調停の印紙代は請求する金額によりますが、訴訟より低額の設定となっています。

 

2つ目に、申立てが簡単という点です。

訴状と違い細かいルールがないので、裁判所のHPから書類をダウンロードして記入し、個人で申し立てることも可能です。

 

3つ目は、基本的には相手方と直接顔を合わさずに進められるという点です。

成立場面などでは、両当事者同席で確認を行うのが原則ですが、顔を合わせたくないなどと裁判所にお願いすると、別々に確認を行ってくれることも多いといえます。

 

6 おわりに

令和2年の民事調停の申立て件数は約3万件、家事調停の申立て件数は13万件とのことです。

 

今後も、話合いによる解決の手続きとして調停制度の発展が期待されるところです。

 

100周年のこの機会に、調停がどんな手続きなのかを皆さんに理解していただき、紛争解決の手続きとして更に発展活用されていくことが期待されます。

 


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年金の繰下げ・繰上げ制度の一部改正(弁護士:細野 希)

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 細野 希

一新総合法律事務所
弁護士 細野 希

新潟事務所所属/事故賠償チーム

人に対する思いやりを忘れずに、誠実に対応し、日々勉強と経験を重ねて、信頼される弁護士になれるように努めてまいります。

 

公的年金の老齢給付は、現在、原則として65歳から受給できることになっています。

しかし、受給資格を満たしている者が希望すれば、繰上げや繰下げにより、本来の年金額を増減して受給することが可能になります。

 

2022年4月から、公的年金の老齢年金の繰上げと繰下げの制度が一部改正されました。

 

1 繰上げ受給の減額率の変更

受給資格を満たしている者が希望すれば、60歳以降65歳に達するまでの間に繰上げて受給することができます。

もっとも、本来の受給年齢よりも先に受給することになるので、本来の年金額から減額された金額が生涯続くことになります。

 

改正前の繰上げ支給の場合は、年金額は1ヶ月あたり0.5%減額されていました。

しかし、改正により、2022年4月1日以降に60歳に達する者について、1ヶ月あたり0.4%の減額に修正されることになりました。

 

例えば、60歳で繰上げ請求をした場合、65歳まで最長の60ヶ月繰上げることになりますが、改正前の減額率では、本来の年金額より30%(60ヶ月×0.5%)の減額だったところ、改正後は、本来の年金額より24%(60ヶ月×0.4%)の減額になりました。

 

減額率が下がる点では、繰上げ受給する者にとって有利な改正になります。

 

2 繰上げ受給のメリット・デメリット

繰上げ請求をすれば、65歳になる前に年金が受給できるので、収入が途絶えるなど生活に困窮している場合には、早期に年金がもらえる点で、メリットがあります。

また、減額された公的年金等の収入金額が少なく、公的年金等控除額を差し引いても所得が発生しない場合などには、課税されないなどもメリットも考えられます。

 

他方、繰上げ請求すると減額が生涯続くことになるので、長く生きれば生きるほど、本来支給額よりも総支給額が少なくなり、損をする可能性が高くなります。

また、繰上げ請求後は、障害基礎年金を受給できないことや、夫が死亡しても寡婦年金を受給できないなどのデメリットもあります。

 

3 繰下げ受給の上限年齢引上げ

もう一つの改正は、繰下げの上限年齢に関する改正です。

 

受給資格を満たしている者が希望すれば、年金受給開始年齢を66歳以降に繰下げて受給することができます。

繰下げの場合、本来もらえる年齢よりも、遅れて年金を受給することになるので、その分、年金額が増額します。

現在は、本来の年金額から1ヶ月あたり0.7%増額された年金額を受給できるとされています。

この繰下げができる年齢が、改正前は、上限が70歳でしたが、改正により、最長で75歳に達するまでになりました。

 

本来、65歳から受給できる年金を75歳で繰下げ請求をした場合には、120ヶ月繰下げることになるので、増加率84%(120ヶ月×0.7%)にもなります。

 

4 繰下げ受給のメリットとデメリット

繰下げをした場合、1ヶ月あたり0.7%増額された年金額が生涯もらえるので、長生きすればするほど、総支給額が多くなるというメリットがあります。

 

他方、繰下げ年齢の上限を上げるほど、もらえる年金額も増加するので、所得が増えるために、税金や国民健康保険や介護保険料等が増える可能性があるなどのデメリットも想定されます。

 

5 受給状況

 

現状の繰上げ・繰下げの受給者は、少数であり、大多数の人が、本来の年金額で受給しています。

年金は、老後の収入となるものですが、国の財政状況や少子高齢化により、年金制度に不安を抱えている方も多いと思います。

平均寿命の延びや社会情勢の変化などから、今後、更なる年金制度の改正もあるのかもしれません。

 

繰上げも繰下げも、一度選択をすると取消しや変更ができず、生涯続くことになるので、メリットとデメリットをよく考えて年金の受給開始の年齢を決める必要があると思います。

 


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教員の長時間労働について(弁護士:朝妻 太郎)

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 朝妻 太郎

一新総合法律事務所
弁護士 朝妻 太郎

新潟事務所/企業法務チーム所属

弁護士がトラブル解決のお手伝いをする上で、トラブルの本質を捉えることが何より重要と考えています。
そのために、依頼者・相談者の方々の話をよく聞くことを第一にしていきます。

教員の長時間労働の問題とは

 

文部科学省が今年8月から、全国の小中学校、高校を対象とした教員勤務実態調査を開始したと報道されています。

8月、10月、11月それぞれの連続する7日間の勤務実態を調べるもので、近年問題が顕在化している教員の長時間労働の問題の改善に繋がるのではないかと期待されています。

 

学校の先生は、毎日の授業だけではなく、授業の準備、教材の作成、保護者対応、部活動指導など業務内容が多岐にわたり、相当な長期間働いているように見えます。

実際に私の家の近くの小学校も教務室の明かりはかなり遅い時間まで点いています。

 

給特法について

そもそも、学校の先生の時間外労働についてはどのようになっているのでしょうか。

 

学校の先生(教員)も当然に労働基準法上の労働者に該当します。

そのため、本来的には、労働基準法が定める時間外労働及び時間外勤務手当に関する規定が適用されるはずです。

 

しかし、公立学校の教員については、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(給特法)という法律が適用されます。

この法律は、いわゆる時間外労働について、休日勤務手当や時間外勤務手当などを支給しない代わりに給料月額の4パーセントを教職調整額として支払われる旨定めています。

つまり、一般的な労働者の場合には、時間外労働(法定労働時間を超えた場合)をした際には25%割増の、法定休日労働の際には35%割増の割増賃金が支払われることになります。

これに対して、公立学校の教員については時間外労働の時間の長短に関わらず、給与月額の4パーセントの教職調整額が支払われることになるのです。

 

 

これは、教員の勤務時間が不規則で管理しづらいということから、1971年当時定められたものです。

なお、この給特法は単に4パーセントを定めたのみではなく、公立学校の教員に時間外勤務を命じることができる場合を政令に定められた場合に限定しています。

具体的には、超勤4項目といわれる、実習、学校行事、職員会議、非常災害などに必要な業務に限定しているのです。

しかし、実際には、この4項目に何が該当するかは不明確な上、それ以外にも教員が行うべき業務は無数に存在しているのが現実です。

 

最新の裁判例

教員の時間外労働について異を唱える人も当然います。

それが、8月25日に東京高裁で判決が出された埼玉の教員の事案です。

埼玉県内の公立小学校の男性教員が自治体に対して約242万円の未払い賃金の支払いを求めたものですが、東京高裁は、超勤4項目に限らず、給特法は労働基準法の適用を排除するとし、請求を棄却しました。

教員は上告するようですので、最高裁での判断に委ねられることになります。

 


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