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社会で実際に起こった、事例や改正された法律をふまえ、法律に関する情報をご紹介します。

学校の先生方の残業(弁護士:古島 実)

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 古島 実

一新総合法律事務所
弁護士 古島 実

理事/燕三条事務所長

相談において依頼者の話をじっくり聞いて、正確に生の事実と依頼者の希望を把握するように努めています。

忙しい学校の先生の毎日

学校の先生方は、お昼休みは子供たちの対応に追われ、十分に休憩が取れなかったり、採点や授業の準備などを放課後学校に残ってすることもできずに自宅に持ち帰らざるをえなくなったりと、勤務時間内に終わらないほどの仕事を抱えています。

また、放課後は、部活の顧問として指導をして、大会などがあれば休日返上で、子供たちを引率しています。

保護者も、子供たちの指導や活発な部活動について大きな期待を持っています。

 

先生方も保護者の期待にこたえようと努力され、長時間にわたって働いています。

そのようななかで、体や心の限界を超えてしまい、長期に休職されている先生方もおられます。

また、教職員の勤務の実情を知って教職員になるのを躊躇する若者もいるようです。

 

先生方も学校長などの上司に指揮監督されながら労務を提供して給与をもらう労働者という意味では、会社員として働く皆さんと同じです。

また、教職員という職業から離れた立場で、家族や自分と向き合う時間や生活が大切であるという点でも皆さんと同じです。

 

それでは、法律では教職員の勤務体系はどうなっているか、公立学校の教職員と一般企業の会社員と比較してみましょう。

 

教職員と会社員の勤務体系の違い

教職員の勤務時間には、「正規の勤務時間」「超過勤務命令などによる勤務時間」があります。

「正規の勤務時間」は、会社員でいえば所定の勤務時間(例えば、始業8時30分、終業5時30分、休憩12時から1時)にあたります。

教職員も労働基準法により、1週間40時間、 1日8時間の制約があります。

これは会社員と同じです。

 

「超過勤務命令などによる勤務時間」は、会社員の残業に当たります。

会社員の残業は、原則、月45時間、年360時間という法律の制限の範囲内で認められます。

会社では残業時間と残業手当は厳格に管理されていると思います。

 

教職員の場合は、一定の時間が認められているのではなく、校外実習、修学旅行、職員会議、非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合など臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限られています。

そのため、教職員の残業は臨時的なものになります。

勤務時間外の残業、持ち帰りの仕事、勤務時間外の部活動の指導は、「正規の勤務時間」でも「超過勤務命令などによる勤務時間」でもない本来あるはずのない業務になります。

 

どうして教職員の残業は増えるのか?

 

会社員には残業に対して、割増(最低で25%)された残業手当が残業時間に応じて支払われます。

教職員には、「教職調整額」として、正規の勤務時間以外に働いた時間にかかわりなく、毎月の給料に4パーセントが上乗せされます。

仮に、月間の所定の勤務時間が21日✕8時間=168時間であるとすると4%は月間6.72時間分に当たります。

たとえ、昼休みを生徒の指導に使っても、採点や授業の準備などの業務が多くて正規の勤務時間中に終わらず、学校に残って作業を行っても、やむなく家に持ち帰って作業をしても、教職調整額以外の手当はもらえないということになります。

 

そして、部活動の指導についても、特別な手当は支払われません。

部活動の指導は、先生方は仕事とは関係のない趣味として行っているのではなく、学校の仕事として行っています。

また、保護者も学校の部活動としてみていると思います。

 

このようなことから、会社員では法律で明確にされている残業の制限やそれに対する手当が教職員では不明確で、教職員に対する社会の期待に応じて無制限に教職員の仕事が増えているように見えます。

教職員は次の社会の担い手を育てる尊い職業です。

このままでは、教職員の成り手も減ってしましますし、せっかく教職員になっても、体調を崩したり、家庭と両立できずに教職員を続けられない方も増えてくると思います。

 

実情にあわせた法整備を…

現在働き方改革が叫ばれています。

学校の教職員の働き方も、一般の会社員と同様に、実情に合わせて残業の制限と残業手当について法整備をする必要があると思います。

また、保護者も教職員がこのような実情にあることを理解したうえで教職員に接する必要があると思います。

【交通事故】従業員が社有車を私用で運転中に事故

 │ ビジネス, 燕三条事務所, 弁護士古島実, 交通事故

 従業員が社有車を私用で運転していた時に事故を起こし,被害者に怪我をさせた場合,運転していた従業員は被害者に対して損害賠償責任を負いますが,会社も被害者に対して損害賠償責任を負う場合があります。
 
 法第715条は使用者責任を定め,被用者が使用者の「事業の執行に際して」第三者に損害賠償責任を負う場合は,使用者も被害者に対して損害賠償責任を負うとしています。
 

 「事業の執行に際して」は,運転者の行為が外形的にその職務の範疇にあるかで判断します。会社名の入った業務用の自動車であれば該当する可能性が高いと思います。
 

 また,自賠法3条は運行供用者責任を定め,人身事故を起こした自動車の運行を支配し運行の利益を有する者は人身事故について責任を負うとします。運転をしていた従業員と雇用関係があることや従業員に使用を許可していたことを根拠に使用者の運行供用者責任が認められる場合があります。たとえ,無断使用であっても,これらの議論があてはまります。
   

 従業員による社有車の業務外使用には十分に気を付ける必要があります。

 

★当事務所ホームページ内の交通事故に関するページはこちらです★
  

 ◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 古島 実
(当事務所「事故賠償」チーム責任者)◆

<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2013年8月12日号(vol.132)>

【労災事故】労働災害への備えは労災保険だけで大丈夫?

 │ 燕三条事務所, 弁護士古島実, 労災事故

 職場で労災事故が発生し,労働者が怪我をして,入通院治療をしたり,後遺症が残ったりした場合,公的な労災保険から労働者に対して給付金が支給されます。それだけで,使用者は責任を免れるでしょうか?

  

 労働契約法第5条は「使用者は労働契約に伴い,労働者がその生命,身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をするものとする」と規定し,使用者に安全配慮義務を課しています。使用者は,職場に存在する生命や身体等に対する危険を予見して,危険の現実化を防止するために人的物的な処置を講ずる義務を負います。

  

 そして,使用者が同義務に違反して,労災事故が起きた場合は,使用者は,労働者に対して,治療費,入通院や後遺症に対する慰謝料,後遺症のために十分に働けなくなったことに対する損害賠償責任を負い,その額が,労災保険の給付金を超える場合は,その差額について,支払わなければなりません。死亡や重い後遺障害が残った時は,経営を揺るがす金額にもなりかねません。また,使用者が支払えないと,労災事故に遭った従業員やその家族も生活に困窮してしまいます。そこで,災害防止が一番大切ですが,万一に備えて事前に労災保険ばかりでなく労災事故に備えた損害賠償保険に加入する必要があると思います。また,それが,従業員やその家族の生活の立て直しにつながります。

 

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 古島 実
(当事務所「事故賠償」チーム責任者)◆

<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2013年8月1日号(vol.131)>

 

【交通事故】事故に遭った時に加害者に請求できる項目

 │ 燕三条事務所, 弁護士古島実, 交通事故

 交通事故に限らず,事故に遭って被害を受けた時は,被害者は加害者に対して損害の賠償請求ができます。そして,被害者が加害者に対して請求できる項目を大きく分けると,物的損害(物損)と人的損害(人損)があります。

  

 物的損害は事故によって物が壊れた場合に請求できる項目です。交通事故であれば,自動車の修理代,自動車が店に突っ込んだ場合の改修費,営業損害などです。

 

 人的損害は事故によって人身が傷害された場合に請求できる項目です。人的損害は大きく分けると三つに分かれます。治療中に関するものと,治療しても治らなかった障害すなわち後遺障害に関するもの,死亡に関するものです。

 

 治療に関するものとして,治療費,治療のために仕事を休んだことによる休業損害,入通院の精神的苦痛に対する慰謝料などがあります。
 

 後遺障害に関するものとして,後遺障害の精神的苦痛に対する後遺障害慰謝料,事故前よりも十分に働けなくなったことによる逸失利益に対する賠償などがあります。

 

 死亡に関するものとしては,精神的苦痛に対する償いである死亡慰謝料,死亡したことによって失った収入に対する賠償である死亡逸失利益などがあります。

 
 ★当事務所ホームページの交通事故に関するページはこちら★

 

 


◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 古島 実
(当事務所「事故賠償」チーム責任者)◆

<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2013年5月15日号(vol.126)>

【労災事故】労災事故で多額な賠償金を支払わなければならない場合

 │ 新潟事務所, 弁護士古島実, 労災事故

  当社の建設現場において,パワーショベルのバケットで松杭を地中に打設する作業の準備のために,パワーショベルのバケットにワイヤーをかけて松杭にワイヤーをからげ,トラックから打設場所まで運ばせたところ,旋回速度が速く,ワイヤーから松杭が外れ松杭の打設場所に待っていた作業員に激突しました。作業員は6か月間入院し,6か月間通院治療しましたが,打ち所が悪く下半身不随の後遺障害が残ってしまいました。もちろん労災保険に入っています。労災保険に入っているので大丈夫でしょうか。

 

1 使用者の安全配慮義務

 使用者は従業員に対して公的な労災保険制度に基づく責任のほかに労働契約に基づく安全配慮義務を負います。労働契約法第5条(労働者の安全への配慮)は「使用者は,労働契約に伴い,労働者がその生命,身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう,必要な配慮をするものとする。」としています。そして,労働安全衛生法は労働災害の防止のための危害防止基準を設け,労働安全衛生規則に細かな具体的な規定を置いています。

 労働安全衛生規則は建設機械の使用についても細かに規定し,164条にパワーショベルの使用条件を細かく定めています。これに違反した作業を行わせ,作業中に従業員にけがをさせてしまった場合は,安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任が認められる可能性が大きいです。

 

2 パワーショベルについての規定

 労働安全衛生規則第164条のパワーショベルについての規定を見てみましょう。

   ——————————————————————————————————————————————————————–

  1項 事業者は,車両系建設機械を,パワー・ショベルによる荷のつり上げ・・・・等当該車両系建設機械の主たる用途以外の用途に使用してはならない。

  2項 前項の規定は,次のいずれかに該当する場合には適用しない。

  1号  荷のつり上げの作業を行う場合であって,次のいずれにも該当するとき。

   イ 作業の性質上やむを得ないとき又は安全な作業の遂行上必要なとき。

   ロ アーム,バケット等の作業装置に次のいずれにも該当するフック,シャックル等の金具その他のつり上げ用の器具を取り付けて使用するとき。

  (1) 負荷させる荷重に応じた十分な強度を有するものであること。

  (2) 外れ止め装置が使用されていること等により当該器具からつり上げた荷が落下するおそれのないものであること。

  (3) 作業装置から外れるおそれのないものであること。

  2号 荷のつり上げの作業以外の作業を行う場合であって,労働者に危険を及ぼすおそれのないとき。

———————————————————————————————————————————————————————–                  

3 今回の事故についてのあてはめ

   パワーショベルで荷のつり上げは原則として禁止されています。また,パワーショベルのバケットでの松杭の打設も主たる用途以外の用途に使用したといえますので,原則として労働安全衛生規則164条1項違反となります。

 荷のつり上げについては,2項1号の定める条件を満たせば違反にはなりませんが,本件では,トラックから作業員のいる場所への松杭の移動であり,イに該当しないでしょうし,単にワイヤーを松杭にからげ吊るしただけではロにも該当しないでしょう。

 その結果,あなたの会社は安全配慮義務違反を理由として,作業員に生じた損害を賠償しなければならない可能性があります。

 

4 人身事故は多額の賠償金

 人身事故は被害者の一生に障害を与えることから結果が重い場合は極めて多額の賠償金になります。 下半身不随の場合は「両下肢の用を廃したもの」として後遺障害等級1級相当の後遺障害です。仮に,作業員が50歳で年収が500万円であったとすると,損害賠償金額を,概算で,裁判所の基準で計算すると次のようになります。 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

   (1)治療費 たとえば200万円(実費)

   (2)休業損害 500万円(1年間休業)

   (3)入通院慰謝料 282万円(入院6か月通院6か月)

   (4)後遺障害慰謝料 2800万円(後遺障害1級)

   (5)後遺障害逸失利益 

    500万円×100%(労働能力喪失率)×11.2741(67歳まで17年間の将来分の現価への引き直し)=5637万円

    合計9419万円となり,そのほか,付添費,雑費,介護必要な場合は介護費用が請求され一括払いが求められます。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

5 事故防止のほか,事業継続と被害者のための保険の必要

 労災保険で支払われるのは治療費と休業損害の一部です。障害年金も支給されますが,既払い金のみが損害賠償金から控除されます。そのため,あなたの会社が損害賠償金のほとんどを支払う必要が出てきます。もし,労災保険以外の保険に加入していなければ,会社の資金繰りに重大な影響を与えますし,十分に支払うことができなければ後遺障害を負った従業員やその家族も生活の再建ができません。

 事業者としては労働安全衛生法や安全衛生規則を守って,労災事故を起こさないこと,万一の発生に備えて労災保険に加入するばかりでなく,上乗せの保険に加入する必要があります。これは,交通法規に従って自動車を運転して事故を起こさないこと,万一事故が起きることに備えて,自賠責保険のほかに,任意保険に加入して,被害者の生活の再建を図ることと同じことです。

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 古島 実◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2013年8月31号(vol.133)>

 

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