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法務情報

2026/07/21

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京都市が導入を決定した「空家税」とは(弁護士:薄田 真司)

コラム弁護士薄田真司新潟事務所

1. 京都市が導入を決定した「空家税」とは

京都市は、いわゆる「空家税」と呼ばれる新税として「非居住住宅利活用促進税」を独自に導入することを決定しました。


固定資産税・都市計画税とは別に課される点がポイントです。


本制度は、自治体が空家・未利用住宅の増加に対し、税制によって利活用を促す先行事例といえると思われます。

2. 課税対象となる「非居住住宅」とは

本税は、令和12年1月1日時点の利用状況を基準として開始される予定です。

課税対象となるのは、京都市の市街化区域内に所在する「非居住住宅」の所有者です。


非居住住宅とは、その住宅を生活の本拠として利用している人がいない住宅を指します。
典型的な空家だけでなく、別荘、セカンドハウス、相続したまま利用していない実家なども対象となり得ます。


一方で、住民票の有無だけで機械的に判断されるものではなく、実際に生活の本拠として利用されているかという居住実態が重要になります。

3. 税額の算定方法

税額は、大きく「家屋価値割」と「立地床面積割」により構成されます。


家屋価値割は、非居住住宅に係る家屋の固定資産評価額を基礎とし、税率は0.7%です。


立地床面積割は、敷地である土地の1㎡当たり固定資産評価額に、当該住宅の延べ床面積を乗じた額を基礎とし、家屋価値割の課税標準額に応じて0.15%、0.3%、0.6%の段階的な税率が適用されます。


京都市の公表資料によると、課税額は固定資産税額(土地・家屋)の半額程度になる場合が多い、とのことです。

4. 課税対象外・免除・猶予の仕組み

京都市の「空家税」は、すべての非居住住宅に直ちに課税されるわけではありません。

導入当初5年間は、家屋の固定資産評価額が100万円未満のものは課税対象外とされます。


また、事業の用に供しているもの、1年以内に事業の用に供する予定のもの、賃貸又は売却を予定しているものなどについては、所有者からの申告を前提に課税免除の対象となる場合があります。


さらに、災害、生活保護、転勤、入院、介護施設への入所、親族の介護、改修工事など一定の事情がある場合には、減免制度が設けられています。


相続や居住者の死亡により非居住住宅となった場合には、申告により3年間の徴収猶予が認められる仕組みもあります。

今後、このような減免・猶予制度の利用可能性も問題になると思われます。

5. 既存の空家対策税制(固定資産税・都市計画税)

なお、現時点でも空家対策の税制(固定資産税・都市計画税)は存在します。


いわゆる特定空家に指定された後に自治体から改善の「勧告」を受けると、「住宅用地の特例措置」の対象から除外され、固定資産税・都市計画税の優遇措置が適用されなくなります。


特定空家とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいいます(空家等対策の推進に関する特別措置法第2条第2項)。

住宅用地の特例措置の対象から除外された場合、固定資産税額が最大6倍、都市計画税額が最大3倍になることがあります。

6. まとめ

「私は京都市内に物件を持っていないから関係のないニュースだ。」とはいいきれません。

「利用していない不動産をどのように管理・処分するか」を検討する、「自治体施策の影響や予期せぬ税負担はないか」を確認する契機にしていただきたいと思います。


人口減少や空家の増加は全国共通の課題です。

総務省が実施した住宅・土地統計調査によると、令和5年10月1日現在で空家が900万戸にも上っています。


近時、大阪府寝屋川市も京都市に類似する「空家税」を実施する方針となったことが報道されました。

各自治体が将来的に空家対策を強化し、独自施策を進める可能性があります。


空家物件を所有している場合、所在地の自治体の空家対策に関するウェブサイトを一度確認するのもよいかもしれません。

弁護士としての経験上、不動産の売却、賃貸、改修、相続人間の合意形成には時間を要することが多いと感じています。



個人の方から、亡兄弟が住んでいた県外の不動産を相続したが対応に困っている、というお話をよく聞きます。


また、企業の視点からすると、県外支店の閉鎖後に残った社宅、遊休化した寮、代表者や親族名義の相続不動産、取引先から取得したものの活用予定が定まっていない住宅などが問題となり得ると思われます。


課税や行政指導が問題となってからではなく、早い段階での対応が必要です。

この記事を執筆した弁護士
弁護士 薄田 真司

薄田 真司
(うすだ まさし)

一新総合法律事務所 弁護士

出身地:新潟県胎内市
出身大学:神戸大学法科大学院修了
主な取扱分野は、企業法務(労務・労働事件、倒産対応、契約書関連、クレーム対応、債権回収など)。そのほか個人の方の債務整理、損害賠償請求、建物明け渡し請求など幅広い分野に対応しています。
事務所全体で300社以上の企業との顧問契約があり、数多くの企業でハラスメント研修の講師を務めた実績があります。​また、社会保険労務士を対象とした勉強会講師を担当し、労務問題判例解説には定評があります。​

 

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