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【法務情報】通知の効力が発生するのはいつ

 │ ビジネス, 長岡事務所, 弁護士佐藤明

1 はじめに 

 取引などに関連して,相手方に通知をする必要が生じることがあります。とくに契約の解除や取消などの通知で意図した効力が生じるのがいつの段階なのかについて,問題が生じることも少なくありません。やや細かい話とも思えますが,法律の条文だけではわからない点もありますので以下に検討したいと思います。

 

2 法律上は

 この点,民法では,解除・取消し・相殺の意思表示(催告もこれに準じます)など多くの単独行為や,契約の申込みを前提に,相手方に到達した時から効力が生じるとしています(97条1項,到達主義の原則)。

 ただし例外的に,契約の承諾(民法526条)および特殊な行為(クーリングオフの通知など)については,通知を発信した時に効力を生じる発信主義を採用しています。

 これらは通知する側と受け取る側の利益のバランスを考慮しているものと考えられます。

 

3 到達について

(1)ここで到達とは,一般取引上の通念により相手方の了知しうるようにその勢力(支配圏内)に入ることであり,相手方が現実的に了知することまでは必要でないと解されています。

 具体的には,郵便物が郵便受に投函されたり,本人の住所地で同居の親族などが受領した場合にも到達があったとされます。たとえば,会社の事務室でたまたま遊びに来ていた会社の代表取締役の娘に,賃貸人の使者が会社に対する延滞賃料の催告書を交付した場合に到達があったとした判例があります(最判昭和36.4.20)。

 

(2)相手方が受け取らなかった場合は

 この点につき,書留内容証明郵便が受取人不在のために一定期間郵便局に留置された後に差出人に戻されたケースで,不在者配達通知書から差出人がわかり,それまでの経緯から郵便物の内容を十分推知できるときは,相手方としても,郵便物の受取方法を指定することによってさしたる努力・困難を要せずに受領でき,社会通念上,相手方の予知可能な状態に置かれ,遅くとも留置期間が満了した時点で相手方に到達したものと認めるのが相当であるとした判例があります(最判平成10.6.11,遺留分減殺請求権行使に関するもの)。

  この判例では相手方の支配圏内に入らなくても,到達を認められる場合があることを示しており,通知を出した人が不利益とならないように考慮されていますが,郵便物の内容が推測できるときに限って認めているとも読めますので,端的に受領拒否には相手方を保護するまでもなく到達を認めるべきだとの学説もあります。このケースでは書留であったことからこのような扱いとなっていますが,普通郵便であれば前述のように投函されることで到達が認められるのではないかと思えます。ただ,そうすると今度は郵便の証明の問題が残りそうです。

 

4 公示による方法

 以上は,相手方が住所地にいることを前提にしていますが,相手方がどこにいるかわからず通知を出せない場合はどうすればよいでしょう。

 この点については,民法では相手方あるいはその所在を知ることができないときは,公示の方法によることができるとされています(法98条)。簡易裁判所を利用して通知による到達と同様の効果を得られるようにするものです。

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 佐藤 明◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2013年12月26日号(vol.141&142)>

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