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2026/04/21

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道路交通法改正「自転車の青切符制度の導入について」(弁護士:後藤晋太郎)

コラム交通事故弁護士 後藤晋太郎新潟事務所

1 はじめに

「自転車の取り締まりが厳しくなる」というニュースを聞いて、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

令和8年4月1日、道路交通法の一部を改正する法律が施行されたことで、自転車の交通反則通告制度(青切符)が導入されました。自転車に関する法改正のポイントを解説します。

2 自転車の交通反則通告制度とは

交通反則通告制度とは、交通違反をした場合の手続を簡略化するための仕組みです。

一定期間内に反則金を納めることで、刑事手続を受けることなく、事件が処理されます。

このときに交付される交通反則通告書が、いわゆる「青切符」です。


これまで自転車の違反については、いわゆる「赤切符」による刑事手続がとられるか、指導警告にとどまるかの二択となっていました。

今回の制度は、その中間に位置するイメージです。

3 自転車への青切符の導入の背景

自転車事故の件数自体は大きく増えているわけではありませんが、交通事故全体に占める自転車事故の割合は高まり、特に歩行者との事故は増加傾向にあるようです。

これに対して、軽い違反でも確実に取り締まり、事故を未然に防ぐ仕組みとして、青切符制度が導入されました。


今回導入される青切符は、16歳以上の自転車運転者が対象となります。

16歳未満の違反については、指導警告が中心となります。

都道府県警察によっては、「自転車安全指導カード」などが交付されることもあります。

4 自転車の違反行為について

自転車の違反行為は、その内容や危険性、さらには行為の状況に応じて、処理の方法が異なります。

⑴ 違反自体が悪質・危険な場合

違反自体の悪質性・危険性が高い場合には、行為そのものが重大な違反として扱われます。

特に悪質性・危険性が著しいものについては刑事手続によって処理されます。

例えば、酒酔い運転や酒気帯び運転、妨害運転、さらには携帯電話の使用によって実際に交通の危険を生じさせた場合などがこれにあたります。

これらは単なるルール違反にとどまらず、重大な事故につながる危険性が高い行為として扱われます。


また、同じく違反自体の悪質性・危険性が高いもののうち、刑事手続までは至らない場合には、青切符による処理が行われます。

例えば、遮断踏切への立ち入りや、ブレーキなどの制動装置が不良のまま自転車を運転する場合、あるいはスマートフォンを手に持って通話したり画面を注視しながら運転するいわゆる「ながら運転」などがこれにあたります。

これらは、重大事故に直結するおそれが高い行為として位置づけられています。

⑵ 違反の結果や態様が悪質・危険な場合

次に、違反の結果や態様が悪質・危険と評価される場合にも、検挙の対象となります。

この場合も、実際の状況に応じて刑事手続または青切符で処理されます。

例えば、違反の結果として実際に交通事故を起こしてしまった場合には、刑事手続で処理されます。

ハンドルから手を離して運転していた結果、歩行者と衝突してしまったようなケースがこれにあたります。

これに対して、事故には至らなかったものの、実際に危険な状況が生じた場合には青切符で処理されます。

例えば、違反行為によって歩行者が驚いて立ち止まったり、他の車両が急ブレーキや進路変更を余儀なくされたような場合です。


また、複数の違反が重なり、結果として事故の危険性が高まっているような場合も同様に扱われます。

さらに、違反の態様そのものが悪質と評価される場合もあります。

例えば、警察官から指導や警告を受けているにもかかわらず、それを無視して違反行為を続けた場合や、警察官の存在を認識しながらあえて違反を行った場合などです。

このようなケースでは、単なる不注意ではなく、より悪質な行為として評価されることになります。

5 青切符を受け取った後の手続き

実際に青切符を受け取った場合、違反者は、取締りを受けた翌日から原則7日以内に反則金を仮納付することになります。 

反則金を仮納付した場合には、その時点で刑事手続に移行せず、前科がつくこともありません。

これに対し、仮納付しない場合には、通告手続を経た上で、最終的に刑事手続に移行する可能性があります。

その場合、最終的には罰金刑などが科されることもあり得ます。


なお、自転車の違反は、原則として運転免許の点数制度とは連動していません。

ただし、自転車によるひき逃げや死亡事故、飲酒運転などの悪質・危険な違反があった場合には、各都道府県公安委員会の判断により、運転免許の停止処分が行われることがあります。

6 おわりに

自転車は手軽で便利な移動手段ですが、法律上は車両の一種であり、交通ルールを守る責任があります。

今回の制度改正をきっかけに、あらためて自転車との付き合い方を考えてみてはいかがでしょうか。


[参考]
『自転車を安全・安心に利用するために ー自転車への交通反則通告制度(青切符)の導入ー 【自転車ルールブック】(令和7年9月 警察庁交通局)』

この記事を執筆した弁護士
弁護士 後藤 晋太郎

後藤 晋太郎
(ごとう しんたろう)

一新総合法律事務所  弁護士

出身地:新潟県新発田市
出身大学:明治大学法科大学院修了
主な取り扱い分野は、企業法務(労務・労働事件、契約書関連、クレーム対応、業法対応、債権回収など)、事業再生・倒産分野、行政関連分野です。企業法務をはじめ、交通事故、債務整理、家事事件など幅広い分野に対応しています。
地方公務員勤務を経て、弁護士資格を取得。前職でも行政書士を対象としたセミナー講師を務めた実績があります。

 

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