2026/09/08
法務情報
身近になった「チケット転売」の法律

1 はじめに
夏の風物詩の一つ、長岡まつり大花火大会。
毎年多くの観覧客が訪れる人気の花火大会ですが、チケットをめぐっては「転売対策」が進められています。
2026年の長岡花火でも、前年に高額転売による逮捕者が出たことを受け、全席抽選や電子チケットの導入など、転売対策がさらに強化されました。
チケットは記名式とされ、一般販売は抽選方式になりました。購入後に行けなくなった場合には、公式リセールを利用するよう案内されています。
2 わざわざ「転売禁止」にするのか
人気の高いイベントでは、発売直後にチケットを大量に購入し、高額で転売する行為が問題となってきました。
その結果、本当にイベントに行きたい人が、正規の価格でチケットを購入できなくなるおそれがあります。
「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」(以下「チケット不正転売禁止法」といいます。)は、こうした問題を背景として2019年(令和元年)に施行されました。
つまり、単に「高く売るのが悪い」というだけではありません。
本来の価格でイベントを楽しみたい人が参加できる機会を守り、チケットが適正に流通することを目的とした法律です。
3 法律が禁止する「不正転売」とは
チケット不正転売禁止法が規制しているのは、法律の対象となる「特定興行入場券」について、興行主の事前の同意を得ず、反復継続の意思をもって、販売価格を超える価格で転売する行為です(法2条4項)。
また、不正転売そのものだけでなく、不正転売を目的として特定興行入場券を譲り受ける行為も禁止されています(法3条、4条)。
したがって、単に行けなくなったチケットを他人に譲ったというだけで、直ちに法律違反となるわけではありません。
4 実際に長岡花火で逮捕者も
2025年11月、長岡花火のチケットを不正転売したとして、長岡市の男性が逮捕されたと報じられました。
報道によると、男性は2025年7月下旬、長岡花火のベンチ席のチケット4枚を、正規価格1万4000円に対して7万2000円で転売した疑いが持たれています。
正規価格の約5倍での転売で、5万8000円の利益を得たとされています。
また、長岡花火では2025年からチケットに購入者の名前を記載する対策を導入しており、報道では、この記名式が逮捕の決め手の一つになったとされています。
5 刑事的責任
チケット不正転売禁止法に違反し、不正転売を行った場合には、1年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、又はこれを併科するということが定められています。
また、チケット転売に関連して、別の犯罪が成立する場合もあります。
例えば、実際には持っていないチケットを持っているように装って代金を受け取ったり、1枚しか持っていないチケットを複数の人に販売して代金をだまし取ったりした場合には、詐欺罪が成立する可能性があります。
さらに、本人確認書類を偽造するなどすれば、文書偽造に関する犯罪が問題となる可能性もあります。
6 まとめ
多くの人が楽しみにしている人気イベントでは、チケットをめぐるルールも重要になります。
行けなくなってしまった場合は、非公式の転売サイトや個人間のやり取りに頼るのではなく、まずは主催者が用意する公式リセールサービスを利用するのが安心です。
非公式サイトを介した購入は、当日会場に入れなかったり、詐欺被害に遭ったりするリスクもあります。
また、友人や家族に一度だけチケットを譲る程度であれば直ちに法律違反となるわけではありませんが、繰り返し行えば「業として」の要件に当たり得る点には注意が必要です。
チケットを購入する人も、譲る人も、こうしたルールを理解した上で、気持ちよくイベントを楽しめる環境づくりに協力していきたいものです。
【ご注意】
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