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社会で実際に起こった、事例や改正された法律をふまえ、法律に関する情報をご紹介します。

頭をポンポンと触るのはセクハラなの?(弁護士 今井 慶貴)

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99のセクハラ行為で町長を辞職

最近のニュースで、岐阜県岐南町の町長(74歳・男性)が、第三者委員会から「少なくとも99のセクハラ行為」を指摘され、町長を辞職したというものがありました。

微妙にキリがよいのか、よくないのかという数字ですが、とにかくすごい数ですね。

報道されているセクハラの内容としては、

・会うたびに頭をポンポンと触られた。

・「赤ちゃんみたいな手してるね」などと手の甲を30秒くらいにわたりさすった。

・スカートをはいている女性職員に「その下は何かはいとるんか」と聞いた。

などがあったということです。

 

頭をポンポンと触るのはセクハラなの?

 

 

3番目のせりふは論外として、「頭ポンポン」というのはどうなのでしょうか?

 

これについて、町長は「今はセクハラだと思っている」としつつ、「私どもの時代は頑張った子、よくできた子は頭をなでてもらった。そういうつもりでやった」と述べていたそうです。

そもそも、町の職員は「子」なのか?というツッコミはさておいて、おそらく町長本人としては「性的な意図」は持っていなかったのではないかと思われます。

 

この点、町の第三者委員会は「親愛や感謝、仕事に対するねぎらいを示すために身体に接触する必要はなく、不必要な身体接触行為で、性的な行動であったと認められる」と指摘したとのことです。

 

実際に、頭を触られた女性は不快に感じ、町長を避ける行動をしていた人もいたそうなので、現在の価値基準においてはセクハラ認定されてもやむを得ないところでしょう。

いずれにせよ、職場での不用意な身体接触をすることで、相手に不快の念を与えないように注意が必要です。

 

この記事を執筆した弁護士
弁護士 今井 慶貴

今井 慶貴
(いまい やすたか)

一新総合法律事務所
副理事長/新潟事務所長/弁護士

出身地:新潟県新潟市
出身大学:早稲田大学法学部

新潟県弁護士会副会長(平成22年度)、新潟市包括外部監査人(令和2~4年度)を歴任。
主な取扱分野は、企業法務(労務、契約、会社法務、コンプライアンス、事業承継、M&A、債権回収など)、事業再生・倒産、自治体法務です。
現在、東京商工リサーチ新潟県版で「ズバッと法談」を連載中です。


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米球界はなぜ大谷翔平の高額報酬を支払えるのか?(弁護士 今井慶貴)

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大谷翔平選手の驚きの契約金額

大リーグの大谷翔平選手がドジャースに移籍しましたが、契約総額10年で7億ドル(約1015億円)という莫大な金額に驚いた人は多いと思います。

日本球界での2023年最高年俸は推定6億円台(ネット調べ)ということですので、ずいぶんと差がありますね。

その理由については、日本経済新聞の記事(12月15日のネット版)に興味深い分析がありました。

かいつまんでいうと、米球団が巨額の報酬を支払えるのは、放映権収入が日本の約10倍くらいあるため、球団の支払能力が高いということのようです。

なぜ放映権収入が違うかというと、放映権の売り方の違いがあり、米大リーグ機構が一括して販売するのに対し、日本では各球団がばら売りをしているから、といった要因があるそうです(それだけではないかもしれませんが)。

 

もともと、無料の地上波を中心に発展してきた日本と違い、米国では早くから有料放送が根付いていたという放送文化の違いがありました。

それに加えて、米国では2018年以降にスポーツベッティング(賭博)が合法化されたことから、試合中のプレーを予測して賭ける商品が広がり、さらに放映権料が高騰しているということです。

結局、お金を払ってでも見たいというファン層の厚さの違いが、日米野球界の市場規模の差となり、それが選手の年俸に反映しているのであって、ある意味では当たり前のことなのかもしれません。

 

とはいえ、スポーツベッティング(賭博)により、コンテンツの高額化が促進しているという指摘は、考えたことのない視点でした。

日本だと、サッカーくじはありますが、野球で賭け事をすると「野球賭博」という犯罪になってしまいますので、さわやかな大谷選手のイメージとは対極の話になってしまいます。

野球界に限らず、市場構造の違いという観点で物事を眺めると、色々と面白い発見がありそうですね。

 

この記事を執筆した弁護士
弁護士 今井 慶貴

今井 慶貴
(いまい やすたか)

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監査法人で無資格者を「公認会計士」と記載(弁護士:今井 慶貴)

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 今井 慶貴

今井 慶貴
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無資格者を「公認会計士」と記載してしまった背景

昨年末に、日本公認会計士協会(以下「会計士協会」)から「公認会計士」の名称記載に関する上場会社を担当するすべての監査事務所を対象とした自己点検結果が公表され、計18事務所で無資格者を「公認会計士」と記載していた事実が発覚したというニュースがありました。

事の発端は、昨年夏頃に複数の大手監査法人の作成した書類に、資格を取得していないにもかかわらず「公認会計士」と記載した事案が公表されたことを受けて、自主規制団体である会計士協会が一斉調査を行ったというものです。

同じ国家資格に基づいて仕事をする身からすると、無資格者を資格者として表示することは「あり得ない」ことであり、しかも、コンプライアンスに厳しいはずの監査法人でそのようなことがあったのは、二重の驚きです。

会計士協会の発表した資料をみると、発生原因として、以下のようなことが挙げられていました。

・公認会計士の名称を使用することの重要性の意識の欠如

・公認会計士登録者と非登録者が混在している職位があり、誤認を生じやすい状況の存在

・資格情報を確認する必要があることの周知不足、確認漏れ

・本人の確認不足

「そんな緩い話なの?」という感じがしますが、どうやら公認会計士の資格取得までの制度に一因があるようです。

 

試験に合格しただけでは公認会計士になれない

公認会計士になるためには、公認会計士試験(短答式試験、論文式試験)に合格しただけでは駄目で、その後、2年以上の業務補助等の期間を経て、一般財団法人会計教育研修機構が実施する実務補習を受けて会計士協会による修了考査に合格して内閣総理大臣の確認を受けて初めて公認会計士となる資格が得られます。

そのうえで、公認会計士名簿に登録し会計士協会に入会する必要があります。

ところが、修了考査に合格しているにもかかわらず、⾧期にわたり公認会計士登録していない人がいるようであり、そのことが今回の問題発生の一因となっていたということです。つまり、「無資格者」といはいっても、「ほとんど資格者」という人が公認会計士を名乗っていたということなのですね。

いずれにせよ、この問題によって監査の有効性に影響はないものの、有価証券報告書で会計士の人数などの訂正が数十件に及んでいるということです。顧客企業の立場からすれば「どうなってんですか?」という感じでしょうか?

今後は、会計士協会の執行部と独立した機関が処分内容を検討するとのことで、成り行きに注目したいところです。

 


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那須サファリパーク飼育員の負傷事故、補償や会社の法的責任は?(弁護士:今井 慶貴)

 │ 弁護士今井慶貴, 労働, 企業・団体, コラム

この記事を執筆した弁護士
弁護士 今井 慶貴

今井 慶貴
(いまい やすたか)

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1 はじめに

 

1月5日朝に、​栃木県那須町の「那須サファリパーク」で、飼育員の男女3人がトラにかまれて負傷した事故が発生しました。

栃木県警は1月7日、業務上過失傷害の容疑で施設内の捜索を行ったと報道されています。

このような業務上の事故があった場合、従業員への補償や会社の法的責任はどうなるのでしょうか?

 

2  労災保険による補償

まず、飼育員の方は業務に起因する事故で負傷されたわけですので、​会社の過失の有無にかかわらず、労災保険による補償が受けられます。

​療養(補償)給付と休業(補償)給付のほか、後遺障害が残ってしまった場合の障害(補償)給付などが考えられます。

3 企業の損害賠償責任は?

加えて、会社は飼育員に対して、安全配慮義務違反や他の従業員に対する使用者責任に基づく損害賠償責任(民事責任)を負う可能性もあります。

​報道によると、前日に担当した別の飼育員2人は、トラが獣舎に入ったかどうかや、施錠の状況を「はっきり覚えていない」などと話しているということであり、飼育状況や管理体制に不備があった可能性が指摘されています。

仮に、​会社に責任が認められる場合には、慰謝料や将来の逸失利益についての支払責任が生じ、後遺症の程度にもよりますが、賠償額は相当高額になることもありえます。​

さらに、既に施設内の捜索が行われていますが、捜査の結果次第では、会社や管理責任者において、業務上過失傷害等の刑事責任を負う可能性もあります。

​また、1月5日付で栃木県の動物愛護指導センターが再発防止を求める行政指導をしたということです。

同じ施設で過去にも2度、飼育員が負傷する事故が起きていたということですので、過去の事故を踏まえた会社側の対応がどうであったかが問われるでしょう。

 

​4 おわりに

今回、サファリパークでの事故に即した形で説明しましたが、労災が発生した場合、使用者である会社の責任は広範に及ぶことがわかります。​

なんといっても日頃の予防が第一ですが、万一労災事故が発生してしまった場合には、使用者としては、必要に応じて弁護士とも相談しながら、真摯かつ誠実に対応することが大切です。

 

弁護士:今井慶貴

 

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弁護士コラム「相撲協会「コロナが怖くて休場は無理」でよかったのか?」弁護士:今井慶貴

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新型コロナウィルス第三波による首都圏の緊急事態宣言の中、大相撲初場所が始まりましたが、初日前日に序二段の力士(22歳)がTwitterで引退報告をしたことが話題となっています。

 

元力士によれば、「このコロナの中、 両国まで行き相撲を取るのはさすがに怖いので 休場したい」と親方を通じて相撲協会に打診したものの、協会から「コロナが怖いで休場は無理だと言われたらしく 出るか辞めるかの選択肢しか無く 自分の体が大事なので」引退したとのこと。

 

取材に対して、相撲協会の芝田山広報部長は、「会社にもコロナが怖いから出社したくないって言う人もいるだろう。それをみんなが言っていたら仕事にならない」「それに対応ができないなら、本人が出処進退を考えるしかない」と答えたと報じられています。

 

このニュースに対するネット上の意見は賛否両論ですが、どちらかというと相撲協会に対する批判が強いような印象を受けます。

 

そもそも、場所直前の協会員878人を対象としたPCR検査の結果、4部屋65人の力士が陽性者・濃厚接触者として休場する事態となっていることからして、初場所を観客を入れて開催すること自体、やや無理筋なのかもしれません。

 

さて、私もyoutubeの「貴闘力チャンネル」に元力士が出演しているのを視ましたが、ご本人は心臓の持病により手術をしたこともあるということであり、コロナ感染を怖がる気持ちもわからなくありません。

法律的にみれば、力士と協会との関係は、雇用契約そのものではないとしても、それに類似した契約関係はあるので、協会として力士の健康・安全に配慮すべき注意義務があることは否定できないでしょう。

 

力士についていうと、肥満・持病持ちが多いこと、直接の身体接触を伴う競技であること、部屋による共同生活であることなど感染のリスクは高く、実際、これまでいくつかの部屋でクラスターが発生し、昨年2月には糖尿病の持病のある20代の力士が亡くなられています。

 

もちろん、「それをみんなが言っていたら仕事にならない」というのもよくわかるのですが、どこで折り合いをつけるかと考えた場合に、協会側の対応はこれでよかったのでしょうか。
持病のある力士が、番付が落ちてでも自主的に休場したいというのに、そこまで固い対応はしなくてもよかった気がします。

 

とはいえ、なかなか難しい問題であることは確かです。
皆さんの職場に置き換えてみて、色々と考えてみることも有意義かもしれません。

 

この記事を執筆した弁護士
弁護士 今井 慶貴

今井 慶貴
(いまい やすたか)

一新総合法律事務所
副理事長/新潟事務所長/弁護士

出身地:新潟県新潟市
出身大学:早稲田大学法学部

新潟県弁護士会副会長(平成22年度)、新潟市包括外部監査人(令和2~4年度)を歴任。
主な取扱分野は、企業法務(労務、契約、会社法務、コンプライアンス、事業承継、M&A、債権回収など)、事業再生・倒産、自治体法務です。
現在、東京商工リサーチ新潟県版で「ズバッと法談」を連載中です。

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