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【法律相談】消費者との契約におけるキャンセル料

 │ 長岡事務所, 消費者, 弁護士佐藤明

Q.お客様との契約が解除された場合に備えて、キャンセル料や違約金等を契約で定めておくことがあります。そのような賠償額等には制限がないのでしょうか。

 

1 消費者への配慮は
  取引・契約関係で、相手方の都合で契約を解除されることがあります。
 そのような場合には、解除で被った損害を賠償してもらうでしょうし、事前に、損害賠償額の予定や違約金等を契約(互いの合意)で定めることも当然あるところです。
  ところが、事業者同士でなく一方が消費者である場合、契約があればどのような内容でも定められるでしょうか。
  この点、民法の一般原則に従えば、消費者も契約通りのキャンセル料等を払わなければならないでしょうが、消費者は交渉力が事業者に比べて劣り不利な条項を受け入れてしまい、結果的に消費者が不利益を被ることがあることから問題となります。

 
2 賠償額の予定等の制限
  前述のとおり、業者と消費者との間では、対等な立場で契約がされるとは限らないことから、弱い立場の消費者を保護するために消費者契約法が定められています。
 そして、同法9条1号で、損害賠償額の予定や違約金を規定している条項のうち、消費者契約の解除に伴いその事業者に生ずべき「平均的な損害の額」を超えた部分は無効としています。
 即ち、消費者の都合で契約が解除されても、契約に定められている損害賠償金や違約金の額が、その消費者契約と同種の契約が解除された場合に生じる平均的な損害の額の限度でしか、契約条項の効力を認めず、それを超える部分については契約条項の効力を否定しています。

 
3 具体的なケース
  平均的な損害とは、同一業者が締結する多数の同種契約事案について類型的に考察した場合に算定される平均的な損害額です。その損害額を超えるかどうかの判断は事案毎に個別の検討をせざるを得ませんが、参考に裁判例をいくつか挙げます。

 
(1)新古車販売の解除
  新古車の注文につき、注文から2日後に消費者がキャンセルしたケースで、車両価格の15パーセント相当の損害賠償金等を請求できるとの契約条項が、事業者には損害が生じているとは認められないとして無効とされたものがあります。

 
(2)パーティー予約の解除
 パーティー予約の解除につき、営業保証料として1人あたり約5300円を徴収するとの規約があったケース(事案では合計21万円)で、そのような規約は平均的損害を超えているとして裁判所が認定した同額を超える部分の違約金を定めるものが無効とされたものがあります。

 

 ◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 佐藤 明◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2011年7月31日号(vol.83)>

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