【企業・団体】自己株式の取得
会社が自社の株式を取得することを「自己株式の取得」といいます。
株式の譲渡を制限している会社では,特定の株主から会社が株式を買い取りたい場合があります。ただ,単純に譲渡の意思が合致するだけで会社が買い取ってよいというわけではなく,会社法上規制が設けられています。
まず,手続的な面では,取得事由に応じて様々なため簡単に説明することは困難ですが,多くの場合では株主総会の決議といった手続が必要となります。
また,自己株式の取得は会社財産の払戻しという側面があるため,多くの場合では剰余金の分配と同様の財源規制にかかります。剰余金が存在しないのに配当できないのと同様です。
さらに,子会社による親会社株式の取得も原則として禁止されています。
規制に違反した場合の自己株式の取得は無効となり,会社に損害があれば取締役に損害賠償責任が生じます。よく確認してから実行する必要があります。
◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 今井 慶貴
(当事務所「企業・団体」チーム責任者)◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2013年4月15日号(vol.124)>