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【法務情報】公的助成金の活用

 │ 労働, 弁護士中川正一, 燕三条事務所

 昨今の不景気により事業活動を縮小せざるを得ない企業でも直ちに解雇等の人員整理を行うことは,労使の信頼関係が崩れて企業活力が低下したり,景気回復後の人材確保が困難になったりする恐れがあります。

 
 これに対して,雇用を維持した場合には,労使の協調的・信頼関係が増し,景気回復後の生産効率が高まることも期待できます。事業活動縮小期に雇用を維持する方法として,助成金制度を利用することが考えられます。

 
 そこで,助成金制度を近時の改正なども踏まえて整理してみようと思います。

 
 
 『雇用調整助成金制度』は,景気の変動等の経済上の理由により事情活動の縮小を余儀なくされ,休業等または出向を行った事業主に対して,休業手当,賃金または出向労働者に係る賃金負担額の一部が支給される制度です。

 
 また『中小企業緊急雇用安定助成金(以下「中小企業助成金」という。)』は,中小企業事業主向けに助成内容を拡充した制度です。

 
 支給を受けることができる額は,休業の場合,休業手当又は賃金相当額の2/3(中小企業助成金は4/5),出向の場合,出向元事業主が負担した賃金相当額の2/3(中小企業助成金は4/5)です。

 
 さらに,一定期間解雇等を行わない事業主については助成率が上乗せされ,それぞれ3/4(中小企業助成金は9/10)になります。ただし,雇用保険基本手当日額の最高額(7,685円)が限度額になります。

 
 また雇用する障害者が休業等又は出向を実施した場合も同様に助成率が上乗せされます。支給対象は,対象期間に実施した休業等,また対象期間内に開始した出向(3ヵ月以上1年以内の出向に限る。)になります。

 
 なお,支給限度日数は,休業等を実施する場合3年間で300日です。この300日は休業等実施日数の累積数そのものではなく,一定の計算式で算出される支給日数ですからご注意下さい。

 

 また出向を実施する場合は,出向を行う旨を届け出た際に,当該事業主が指定した対象期間の初日から起算して1年間です。これらの支給を受けるためには,事前に労働局又はハローワークへ届け出る必要がありますので,その際に詳細な要件について確認して下さい。
 

 さらに,平成21年3月に創設された『残業削減雇用維持奨励金』もあります。これは売上高又は生産量等の指標の最近3ヵ月の月平均値が,その直前の3ヵ月または前年同期に比べ5%以上減少している事業所(中小企業の場合は直近の決算等の経常損益が赤字であれば5%未満でも可)の事業主に対し,残業時間が一定以上削減されている,雇止めや解雇をしていない等の要件を充たした場合に支給される助成金です。

 
 その他,助成金には「高齢者の活用」(独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構),「再就職支援」「新規雇入れ」「創業支援」「能力開発」(独立行政法人雇用・能力開発機構),「育児・介護労働者の雇用管理改善」((財)21世紀職業財団),「雇用環境整備」「建設労働者の雇用改善」「障害者雇用促進・継続」を目的として,それぞれの社会的課題に企業が対応しやすくするための助成金が存在します。明記した以外は,労働局やハローワークが問い合わせ先になっていますので,有効活用してみてはいかがでしょうか。

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 中川 正一◆
<初出:顧問先向け会報紙「こもんず通心」2010年3月31日号(vol.51)>

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