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弁護士コラム「インターネット(Web)における信頼関係」弁護士:和田光弘

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インターネットの検索エンジンを使って、当事務所の名前を入力したりすると、検索エンジン中の「口コミ」評価というのが、瞬時にして出てくる。

 

必ずしも、いい評判ばかりではない。
誰かわからない人に「正確な説明ではなかった」とか「親身になってくれなかった」などと突然書き込まれる。
当事務所もそれなりにwebサイトを構築して、集客を企画したりしているので、こうした悪評価については、担当部署の所員や弁護士が気にして、削除の要請を出したり、事実無根だと根拠を示して、その情報を掲示している業者に申し入れたりもする。

 

仮にこちらの要望が受け入れられて削除がされたとしても、私は代表を務めている身なので、やはり気になるし、誤解を受ける言動や態度は改めようと、所員や弁護士たちに言いたくなる。

 

相手の顔もはっきりとわからないし、どこで相手が感じたようなことが起きたのかもわからない。
見知らぬ人々〜ストレインジャーたち〜からの評価は、それなりに効果がある。
結局は、私たち自身が、自らの信用を維持するために、評価を落とした原因は何かを考え、そのようなことが起きないよう気をつけざるを得なくなる。

 

 

実は、このことは「インターネット(Web)における信頼関係」と言う新しい「信頼」の扇の要とも言うべき、肝になるようだ。
学者によっては、この「口コミ」すなわち「評価・評判」をある種の「資産」と表現する人もいる。
つまり、世間からどのような評価を受けているかが、その人の重要な資産であり、価値そのものなので、そのような「評価・評判」自体が、その人を高く流通させる(または逆に流通されず、買い手がつかなくする)ことに繋がると言うのだ。

 

現実に、それは始まっている。

 

例えば、世界中に広がった「Airbnb」(エアービアンドビー)とホテルの違いである。

 

宿泊客はホテルを使った後には、タオルを畳んだり、スリッパを元通りに揃えたりはしない。
しかし、Airbnbの宿泊者は、次に利用するためには、自らの利用態度について点数がつけられるので、必ず整理整頓をして帰る。
自らが信用できる、信頼できる「良き顧客」と言う評価資産を得たいからだ。
それによって、世界中の各地の素晴らしい都市の宿泊所の提供を受けやすくなるからだ。

 

逆も言える。

 

ホテルは、ランクで値段が変わるが、Airbnbの宿泊所も、評価点数で利用率が決まってくる。
台所がきれいだ、家全体が清潔感に溢れている、窓からの夜景がすごい、食事の場所にとても便利などなど、評価され、それによって利用率が上がっていくし、利用料も上がる。

 

我が事務所も、Airbnbの宿泊所のような仕事の仕方で続いてきた。

 

ストレインジャーたち、つまり、私たち資格商売の弁護士風に言えば「一見(イチゲン)の客」は、上から目線の時代(日本の弁護士で言えば弁護士増員時代前の今から20年前まで)においては、老舗の法律事務所からは相手にしてもらえなかった。

 

一方、我が事務所はもともと何もないところから始まった事務所なので、それこそ「一見の客」の集客に努め続けてきた。
土日でも法律相談をしたり、電話の相談をしたりと。
とにかく評判を高めたいと一種焦るような気持ちも強く、粘って、粘って、紛争処理にそれなりに身を挺してきた。

 

少し、自慢めいてきたので話を元に戻そう。

 

今、インターネットの世界で広がっていることは、ストレインジャーたちを「信頼」で繋ぐ仕組みである。

 

この分野の研究者は次のように指摘する。

インターネットを使ったアイデア(UberEatsによる食事配送など)と、それを提供するインターネット上のプラットフォーム(スマホのUberEatsのWebサイト)、そして、そのフィードバック(配達者の星印の個数と意見)の3点セットがストレンジャーたちによる信頼の循環を作り上げていく。

 

その「信頼」という形の行き着く究極のものは、(ある日本人が開発したとされる)ビットコインのような「暗号資産」になるのだという。
もはや通貨という国家の「信用」を超えて、世界に流通し始めている。

 

「通貨」と言う究極の信用形態が、「インターネット上の暗号技術」に置き換えられようとしている現代と言うのは、利用価値評価のデータ次第で、国家のお墨付きや、資格試験のような制限も乗り越えていくのかもしれない。

 

少し角度は異なるが、例えば、日本の医師国家試験という資格試験でさえ、もともと大学で女性の合格者を除外してきた不祥事や差別からすると、果たしてどこまで信頼できるのか、正直、考えてもみたくなるし、根本の信頼を揺るがせかねない問題となっていると思う。

 

さらに飛躍することは承知の上で言うのだけれど、私たち弁護士も、今、司法試験合格を前提に、金科玉条としている弁護士法72条と言う制度も、すなわち「弁護士の法律独占」と言う日本の冠たる弁護士の守護神のような制度も、果たしていつまで続いてくれるのか、案外と読めない時代になった気もしている。

この記事を執筆した弁護士
弁護士 和田 光弘

和田 光弘
(わだ みつひろ)

一新総合法律事務所
理事長/弁護士

出身地:新潟県燕市
出身大学:早稲田大学法学部(国際公法専攻)

日本弁護士連合会副会長(平成29年度)​をはじめ、新潟県弁護士会会長などを歴任。

主な取扱い分野は、企業法務全般(労務・労働事件(企業側)、契約書関連、クレーム対応、債権回収、問題社員対応など)。そのほか、不動産問題、相続など幅広い分野に精通しています。
事務所全体で300社以上の企業との顧問契約があり、企業のリスク管理の一環として数多くの企業でハラスメント研修の講師を務めた実績があります。​

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