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【法務情報】メンタルヘルス対策は、企業の責務?

 │ 労働, 弁護士五十嵐亮, 長岡事務所

◆はじめに◆
 最近、過労やうつ病による労働者の自殺に関する損害賠償請求訴訟において、事業者に対し、多額の損害賠償請求を認めたという事例をよく目にします。

 
 これらの事例は、ストレスが悪化して、精神疾患を発症し、最悪の場合自ら死を選択してしまう、というものです。

 
 これらの事例をみていると、精神的なストレスを単純に労働者の自己責任ということだけではすまされないと感じます。メンタルヘルス対策も事業者のリスク管理として求められると言えるでしょう。

 
◆ケース紹介◆
 ① 大手自動車メーカーの元社員だった男性が自殺したのは、同社が過労に対する配慮を怠ったためとして両親が同社に損害賠償を求めた訴訟で、神戸地裁姫路支部は、同社に対し、計約6400万円の支払いを命じました。

 
 ② うつ病になったのは会社が安全配慮を怠ったためとして熊本県の印刷会社の元従業員の男性が同社を相手取り、損害賠償(慰謝料・逸失利益)を求めていた訴訟(熊本地裁)で、同社が2500万円を支払うことで和解しました。

 
 労働者が、死に至っていないケースで、多額の和解金が認められた点が画期的です。

 
◆法的解説◆
 なぜ、これらの会社は、損害賠償責任を負うのでしょうか?キーワードは、「安全配慮義務」です。

 
 これは、読んで字のごとく、事業者が、労働者の生命・身体等の「安全」を「配慮」する義務です。

 
 この概念は、当初は判例によって認められたものにすぎなかったのですが、次第に、その重要性が認識されるようになりました。平成19年、労働契約法上、明記されるにいたっています。

 
 また、当初は、危険な場所での作業や危険な道具・機械を使用する際に必要な安全対策措置を講じなければならないといった物理的・身体的側面に重点が置かれていました。 

  
 ところが、近年、精神的側面の配慮の重要性も認識されるようになり、平成17年の法改正によって、事業者は、一定時間を超える時間外労働等を行った労働者について、医師による面接指導等を行うことが法律上、義務づけられています(労働安全衛生法)。

 
 もっとも、未だ、うつ病等の精神疾患についての健診まで求める規定は存在しません。

 
◆国の取り組み・動き◆
  平成22年に入り、厚生労働省では、定期健診の際に医師が労働者のストレス症状を確認し、必要であれば面接指導を行うという趣旨の規定を労働安全衛生法に盛り込む、という法改正が検討されているようです。

 
 報道等によると、平成23年の法改正を目指しているとのことですので、今後は、よりいっそう事業者には、労働者のメンタルヘルス対策が求められることになりそうです。

 
◆むすびにかえて◆
 話はややそれますが、当事務所では、先日、和田弁護士の呼びかけで、「反省会」と称する飲み会が開催されました。

 
 参加メンバーは、若手弁護士が中心で、日ごろの反省を語り合ったり、今後に活かそうということが主な趣旨でした。そのなかでは「最近は○○先生が忙しそうだ。まだ事務所にいるらしい。」ということで、某弁護士が酔っぱらいながら、携帯に電話をかけ、なぐさめるというシーンもありました。

 
 一歩間違うと、セクハラですが、このようなちょっとしたことでも、うつ病防止・ストレス軽減に効果があるのだと思います。

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 五十嵐 亮◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2011年3月15日号(vol.74)>

 

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