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法務情報

2026/01/19

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公益通報者保護法の改正(弁護士:佐藤 明)

コラム弁護士佐藤明長岡事務所

1 今回の改正の経緯

公益通報者保護法とは、勤務先等の不正行為・違法行為につき通報した場合にその通報者が不利益を受けないように保護することで、通報者保護だけでなく国民の利益、国民生活の安定、社会経済の安定を図ろうとするものです。

2022年(施行)に大きな改正が行われたばかりでしたが、兵庫県知事の問題等(※)もあり、同法の実効性、通報者の保護が十分でないとの観点から、2025年に改正(公布)され、本年2026年の12月1日に施行されることになりました。

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※兵庫県知事の公益通報を巡る問題とは…2024年、同県知事によるパワハラ疑惑に関する外部機関への告発をきっかけに、公益通報者保護法の解釈(特に外部通報の保護範囲)と、知事による告発者への対応(懲戒処分など)の適法性が焦点となりました。

2 改正の概要

以下に、どのような点が改正されたのか概要を説明します。

(1)事業者の体制整備の徹底と実効性確保

まず、従業者指定義務に違反する事業者(労働者数が300人超)に対し、現行法で消費者庁長官(総理大臣からの委任)の指導・助言、勧告権限が定められていますが、さらに勧告に従わない場合の命令権及び命令違反時の刑事罰(30万円以下の罰金、個人だけでなく法人も処罰(両罰))が規定されました。

併せて、上記の事業者に対する現行法の報告徴収権限に加え、立入検査権限を新設するとともに、報告懈怠(ほうこくけたい)・虚偽報告、検査拒否に対する刑事罰(30万円以下の罰金、両罰)が規定されました。

また現行法の事業者の体制整備義務について、労働者等に対する事業者の公益通報体制の周知その他の必要な措置をとるべき義務を示しています。

(2)公益通報者の範囲拡大

公益通報者について、事業者と業務委託関係にあるフリーランス及び業務委託関係が終了して1年以内のフリーランスを追加されました。

公益通報を理由とする業務委託契約の解除、取引の数量の削減、取引の停止、報酬の減額その他不利益な取扱いを禁止します。

このフリーランスは、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(いわゆるフリーランス法)第2条の定義と同様であり、同法のフリーランス保護の一環ともなります。

【関連記事】
◆2024年11月施行◆フリーランス法のポイント

(3)公益通報の阻害に対して

事業者が、労働者等に対し、正当な理由がなく、公益通報をしない旨の合意をすることを求めること等によって公益通報を妨げる行為をすることを禁止し、これに違反してされた合意等の法律行為等を無効とします。

また事業者が、正当な理由がなく、公益通報者を特定することを目的とする行為、いわゆる犯人捜しのような行為を禁止します。

(4)公益通報を理由とする不利益な取扱いの抑止・救済の強化

通報後1年以内の解雇又は懲戒は公益通報を理由としてされたものと推認されます(民事訴訟法上の立証責任転換)。これにより、通報者の負担が軽減されます。

事業者が外部通報があったことを知って解雇又は懲戒をした場合は、そのことを知った日から1年以内となります。

また、公益通報を理由として解雇又は懲戒をした者に対し、行政指導などを介さない刑罰(いわゆる直罰、6月以下の拘禁又は30万円以下の罰金、両罰)を規定します。

公益通報を理由とする一般職の国家公務員等に対する不利益な取扱いを禁止し、これに違反して分限免職又は懲戒処分をした者に対し、直罰(6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金)を規定します。

3 おわりに

以上のように公益通報制度を強化し実効性を確保しようとする改正ですが、これらが十分かどうかは改正後の状況をみて見直すこととなっています。

この記事を執筆した弁護士
弁護士 佐藤 明

佐藤 明
(さとう あきら)

一新総合法律事務所
副理事長/長岡事務所長/弁護士

出身地:新潟県長岡市
出身大学:新潟大学法学部(民法専攻)
新潟県弁護士会副会長(平成25年度)などを務める。
取扱い分野は、団体では企業法務、自治体法務、学校法務など。個人では相続や離婚などの家事事件、金銭問題など幅広い分野に対応しています。
社内研修向けにハラスメントセミナーや、相続・遺言、成年後見制度をテーマとしたセミナーで講師を務めた実績があります。

 

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