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ネット上の誹謗中傷 厳罰化へ(弁護士:角家 理佳)

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 角家 理佳

一新総合法律事務所
弁護士 角家 理佳

一新総合法律事務所理事/新潟事務所所属

「しんなら強い」-しなやかで決して折れることのない強さ。
私の好きな新潟弁です。柔軟な思考とそれを支える識見、穏やかでありながら心身共にタフ。
一日も早く、これらを兼ね備え、依頼者の信頼を得られる「しんなら強い」弁護士になるために、日々研鑽を積んでいきたいと思っています。

侮辱罪厳罰化の動き

今月8日、政府は「侮辱罪」の厳罰化を盛り込んだ刑法改正案を閣議決定しました。

 

現行の侮辱罪の法定刑は、拘留または科料ですが、今回の改正案が通ると、1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金となります。

また、公訴時効も1年から3年に長くなります。

政府は、今国会中の成立を目指しています。

 

改正の契機

この厳罰化の動きは、女性プロレスラーが、SNSでの誹謗中傷を苦に自死した出来事をきっかけに一気に加速しました。

 

特に悪質だった投稿者2人は侮辱罪で略式起訴され、科料9,000円が科されましたが、女性の自死という重く悲しい結果に対して、与えられる罰があまりに軽いという批判が続出したのでした。

 

現状にあった改正の必要

 

SNS等の広がりに伴い、ネット上では重大な人権侵害を引き起こす悪質な誹謗中傷が横行するようになりました。

総務省の「違法・有害情報相談センター」に寄せられるネット中傷などに関する相談件数は、平成27年以降、毎年5,000件以上に上り、平成22年の約4倍に達しています。

しかし、現行の侮辱罪は明治時代に制定されたもので、インターネット上の誹謗中傷などを想定していません。

現状に合った規制を求める声が出るのも当然といえば当然です。

 

また、インターネット上の書き込み等は匿名で行われることが多く、行為者を特定するには時間と手間がかかります。

これまでの1年という時効期間では、その間に行為者を特定して検挙することには、困難もありました。

 

そうした状況から、今回の改正案には、悪質な事案を抑止する効果や、立件の可能性を高める効果が期待されています。

(総務省:違法・有害情報相談センターhttps://ihaho.jp/)

 

拙速な改正を不安視する声も

しかし、一方で、犯罪の性質上、許容される範囲と犯罪になる境界はあいまいで、その基準を明確にすることも困難なことから、「表現の自由」を委縮させるとの指摘や恣意的な適用を不安視する声も強くありました。

 

また、改正案提出までに、法務省は2020年6月にプロジェクトチームを設置して議論をし、法制審議会を経ましたが、法制審議会の部会はわずか2回しか開かれませんでした。

刑法という重要な法律の改正であり、かつ表現の自由にも影響を与える法案にもかかわらず拙速である、慎重に議論すべきだとの意見も出ました。

 

さらに、国連は、名誉を傷つける行為について、刑事責任の追及はなるべく避けるべきだとし、刑罰を科す場合でも、身体の自由を奪う刑は適切でないとしていますし、欧米では侮辱罪の規定を持たない国もあります。

今回の改正案は、こうした世界の流れに逆行するとの指摘もあるところです。

 

誹謗中傷をなくすために

侮辱罪の厳罰化に対する賛否はともかく、ネット上での悪質な誹謗中傷による被害をなくしたいとの痛切な願いを否定する人は、そうはいないと思います。

ただ、厳罰化で全てが解決するわけではありませんし、被害を防ぐ方法は厳罰化だけではないでしょう。

 

インターネットは、誰でも自由に意見を発信できる点で優れていますが、そこには自ずと責任が伴います。

一度口にしてしまった言葉、書いてしまった言葉は、なかったことにはできません。

軽率な発言が、取り返しのつかない被害をもたらしてから後悔や反省をしても遅いのです。

自分の発した言葉が一瞬にして世界中を駆け巡り、大きな影響を及ぼしうるツールを利用している者には、自分の発した言葉が及ぼす影響を想像する力が求められます。

 

総務省は、「#NoHeartNoSNS(ハートがなけりゃSNSじゃない!)」をスローガンに、SNS等における誹謗中傷対策に取り組んでいます。

こうしたものも参考に、一人一人が自覚的に行動することが必要なのだと思います。

 


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