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社会で実際に起こった、事例や改正された法律をふまえ、法律に関する情報をご紹介します。

業務で出演した会社のSNS投稿を退職時に消去してもらえるか?(弁護士 中澤 亮一)

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弁護士 中澤 亮一

中澤 亮一
(なかざわ りょういち)

一新総合法律事務所 
理事/上越事務所長/弁護士

出身地:新潟県南魚沼郡湯沢町 
出身大学:早稲田大学法科大学院修了

国立大学法人における研究倫理委員会委員、新潟県弁護士会学校へ行こう委員会副委員長などを務めている。主な取扱分野は、離婚、金銭問題、相続。また、企業法務(労務・労働事件(企業側)、契約書関連、クレーム対応、債権回収、問題社員対応など)などにも精通しています。
複数の企業でハラスメント研修、相続関連セミナーの外部講師を務めた実績があります。

1.SNSの普及と企業における活用

 

SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)は、スマートフォンの普及と相まって、今では私たちの生活にごく当たり前に存在するものになってきています。

個人だけでなく企業にとっても、SNSを様々な分野で活用することはもはや常識になっており、無視できないものといえるのではないでしょうか。

 

そんなSNSですが、最近よく目にするのは、その会社に所属する実際の社員が、自社の広告宣伝活動として顔や名前を出してSNS等に出演し、会社のアカウントなどから投稿するというものです。

SNSだけでなく、看板やホームページの記事などでも目にすることが多いように感じます。

 

この手法は、その会社の実際の従業員が出演して、たとえばショート動画などで会社の業務とは関係ない投稿をする(歌やダンス、ちょっとした芸など)ことで、その会社に親近感がわき、売上にも良い影響があるということなのでしょう。

その投稿が「バズる」ことがあれば、会社の知名度アップも狙えます。

 

2.退職時のSNS投稿削除トラブル

ただ、出演した社員が退職するとき、その社員としては「退職するのだから、あのとき出演した動画(その他広告)は削除してほしい」と考えることが多いと思います。

一方で会社としては、せっかくバズった動画を消したくないとも考えるでしょう

ここで双方の意見が食い違うと、退職時の大きなトラブルとなりえます。

最近、このようなテーマのニュース記事も目にするようになりましたし、SNS時代特有の問題といえると思います。

 

では、社員の側から、会社に対して、「退職するのだから投稿を削除してほしい」と請求することは可能なのでしょうか。

 

3.肖像権でSNS投稿を削除できる?

 

まず、退職する社員の側からは、自分の「肖像権」を根拠に、削除を請求することができると思われます。

肖像権とは、自らの容貌等を、みだりに(むやみに、勝手に)撮影されたり、公開されたりしない権利のことです。

芸能人やスポーツ選手だけに認められていると勘違いされている方も多いですが、そうではなく一般に広く認められた権利です。

問題となるSNSを投稿する際に、通常、会社はその社員の同意を得たうえで投稿していると思いますが、(とくに取り決めをしていない場合には)退職によってその同意がなくなると考え、肖像権の侵害として削除請求することが考えられるでしょう。

会社がこれに応じなければ、損害賠償の請求も考えられます。

 

会社側としては、社員がそのように希望している以上、基本的には削除に応じる必要があると思われますが、このような場合の対応も含めて、事前にその社員とよく意思確認を行い、「合意書」のような形で書面に残しておくべきと思います。

もし、退社後もSNS投稿を削除しない扱いにしたいということであれば、出演する社員とよく話し合い、必ず合意書にその旨記載しておくべきでしょう。

 

4.肖像権トラブルを防ぐための対策を

以上のように、SNSが普及した現代においてはこのような問題やトラブルも避けては通れない世の中になってきているといえそうですが、肖像権の問題はSNSに限らず、上に述べたように看板などの従来型広告でも問題になりえます。

軽視すると大きな問題になりかねませんので、気になる場合は弁護士に相談するとよいと思います。

 


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刃物の携帯についての法規制‐イギリスの「マスターソード」事件などを教訓に(弁護士 海津 諭)

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 海津 諭

海津 諭
(かいづ さとる)

一新総合法律事務所 
理事/燕三条事務所長/弁護士

出身地:新潟県燕市
出身大学:京都大学法科大学院修了
新潟県公害審査委員、新潟県景観審議会委員を務めています。主な取扱分野は、相続全般(遺言書作成、遺産分割、相続放棄、遺留分請求など)です。そのほか、離婚、金銭問題、その他トラブルなど幅広い分野に精通しています。
相続・生前対策セミナーの講師を多数務めた実績があります。
また、『月刊キャレル』(出版:新潟日報事業社)に掲載のコーナー「法律相談室」に不定期で寄稿しており、身近な法律の疑問についてわかりやすく解説しています。

 

1 イギリスの事件

 

令和6年6月、イギリスで、日本の「ゼルダの伝説」というコンピューターゲームに登場する剣(マスターソード)を模したおもちゃを持っていた人が、公共の場で刃物を携帯したという理由で逮捕されました。

その後の刑事裁判の結果、その人には禁固刑と罰金刑が言い渡されたそうです。

 

剣のおもちゃは、鞘に入っており、刃体の長さは約15センチメートルでした。

 

2 日本での規制‐銃刀法と軽犯罪法

イギリスだけでなく日本でも、刃物による危害を予防する目的で、刃物の携帯は法律で規制されています。

 

銃砲刀剣類所持等取締法、いわゆる「銃刀法」では、「業務その他正当な理由による場合」を除いて、刃体の長さが6センチメートルをこえる刃物を携帯してはならないとされています(ただし、刃体の長さが8センチメートル以下の、一定の種類又は形状のはさみ又は折りたたみ式ナイフ等は除外されています。銃刀法22条)。

これに違反する行為に対しては、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金という刑罰が定められています(同31条の18第2項2号)。

 

また、上記の銃刀法の規制は刃体が一定の長さの刃物だけを対象としていますが、「軽犯罪法」では、刃体の長さにかかわらず、「正当な理由」がなく刃物を隠して携帯していた者は拘留又は科料に処するとされています(軽犯罪法1条2号。

なお、「拘留」とは、1日以上30日未満の期間、刑事施設に入る刑罰です。「科料」とは、1000円以上1万円未満の納付を命じる刑罰です)。

 

3 「正当な理由」の判断基準、過去の事例

銃刀法及び軽犯罪法の定める「正当な理由」があるかどうかは、裁判例によれば、次のような要素をもとに判断するとされています。

 

・器具の用途や形状・性能
・携帯した者の職業や日常生活との関係
・携帯の日時・場所、態様及び周囲の状況等
・携帯の動機・目的・認識等

 

過去の事例では、ナイフを約7か月の間、「何かあったときに便利だから」という理由で自動車内に積んだままにしていたという案件について、正当な理由がないとして銃刀法違反となった裁判例があります(水戸地裁平成23年7月29日判決)。

 

また、十徳ナイフを鞄に入れて携帯していた鮮魚店主が、「災害時に限らず、普段の仕事や日常生活においても、何か道具が必要になったときに持っていたら便利だと思った」という目的であったものの、「かなりの期間、普段の仕事や日常生活でこれといった使用をしていなかった」という案件について、正当な理由がないとして軽犯罪法違反となった裁判例もあります(大阪高裁令和5年8月1日判決)。

 

他方、自動車内に新聞紙で刃体を覆った鎌とチャック付き透明ケースに入れたのこぎりを積んでいて、約2か月前にいとこの家の草刈りや庭の手入れで木の枝を切ったときから積んでいたものであり、いつかまた使う予定であったという案件について、正当な理由があるとして無罪となった裁判例があります(旭川地裁令和3年12月13日判決)。

 

4 犯罪の嫌疑をかけられないために

 

3に挙げたとおり、刃物の携帯については無罪となったケースもあります。

 

しかし、最終的に無罪を勝ち取れたとしても、その前の段階で逮捕や勾留を受けて自由を奪われてしまうことや、刑事裁判への対応を強いられることは、非常に大きな負担となってしまいます。

 

そこで、銃刀法違反や軽犯罪法違反の嫌疑をかけられてしまうことがないように、次の事柄に注意すべきと考えられます。

 

・包丁、ナイフ、のこぎり、鉈、斧、鎌など、生活に必要な刃物を店で購入したときは、帰宅したら必ず、刃物を自宅内に移して保管する。自動車に積んだままにしない。

・具体的な必要がない限りは、刃物を自動車に積んで運転することや、刃物をカバンなどに入れたまま持ち歩くことをしない。

・キャンプや登山、釣りなどに使うために刃物を携帯するときは、使用中以外は、刃体をむき出しにせず、周囲の人に不要な脅威を与えない態様で管理する。そして、帰宅後は刃物を自宅内に戻し、自動車に積んだままにしない。

 

皆様におかれましては、上記の事柄にご注意いただき、銃刀法違反や軽犯罪法違反のおそれを生じさせないようお過ごしいただければ幸いです。

 

また、万が一、正当な理由で刃物を携帯していたにもかかわらず銃刀法違反や軽犯罪法違反の嫌疑をかけられてしまった場合は、速やかに弁護士にご相談ください。

 


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嫡出推定制度等の変更(弁護士 橘 里香)

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弁護士 橘 里香

橘 里香
(たちばな りか)

一新総合法律事務所 
理事/弁護士

出身地:沖縄県那覇市
出身大学:青山学院大学法科大学院修了

主な取扱分野は、離婚(親権、養育費、面会交流等)、男女問題。
そのほか相続、金銭問題など幅広い分野に精通しています。メンタルケア心理士の資格を活かし、法的なサポートだけでなく、依頼者の気持ちに寄り添いながら未来の生活を見据えた解決方法を一緒に考えていきます。

 

2022年に成立した「民法の嫡出推定制度の見直し等を内容とする民法等の一部を改正する法律」ですが、本年4月1日から施行され、従前の法制度から新たな制度に変更がなされています。

施行から少し時間が経ってしまってはいますが、3組に1組が離婚すると言われている現在、再婚禁止期間の廃止など、知っておくべき改正も含まれていることから、この機会に確認をしておきましょう。

 

 

1 再婚禁止期間の廃止

2024年4月~、再婚禁止期間は廃止されました。

現在は、男女共に、離婚翌日に再婚することも可能になっています。

 

再婚禁止期間とは、女性にのみ離婚後一定期間再婚を禁じていた規定です。

元々、女性は離婚後6カ月間を経過しないと再婚ができない旨規定されていました。

平成27年12月16日、最高裁で100日超過部分は違憲との判断を示す判決が出たことから、その後法改正があり、再婚禁止期間は100日間に短縮されていました。

しかし、再度の改正で、再婚禁止期間自体が廃止されたのです。

 

そもそも、なぜ女性はすぐに再婚できなかったのでしょうか?

 

それは、扶養義務や相続などを明確にするためにも、生まれてきた子の親子関係を明確にする必要があったためです。

 

改正前の民法では、“離婚から300日以内に生まれた子は前夫の子”“婚姻から200日経過後に生まれた子は現夫の子”と推定されていました。

このような子どもの父親を推定する規定のことを嫡出推定規定と呼びます。以前の嫡出推定規定では、推定が重複する期間に子が生まれると、父が誰なのかがはっきりしなくなってしまうことから、再婚が禁止されていたのです。

 

しかし、DNA鑑定などで科学的に親子関係を確認することも可能であることから、嫡出推定規定の改正と併せて、再婚禁止期間が廃止されることになったのです。

 

2 嫡出推定規定の改正

 

改正前の規定では、“離婚から300日以内に生まれた子は前夫の子”、“婚姻から200日経過後に生まれた子は現夫の子”と推定していたことから、離婚前に夫以外の男性との間の子を妊娠した場合、離婚後300日以内に出産となれば、実際は前夫の子ではないのに、戸籍上は前夫の子と推定されることになっていました。

 

これを避けるため、出生届を出さない無戸籍者が多数存在していることが分かり、社会問題となっていました。

 

そこで、改正民法では、離婚後300日以内に子が生まれた場合でも、女性が再婚後に生まれた場合には、再婚後の夫の子と推定する形に改正されたのです。

そして、同改正に伴い、再婚禁止期間自体が廃止されたのです。

 

3 嫡出否認の訴えに関する改正

無戸籍問題の解決のために嫡出推定規定自体が上述のとおり改正されましたが、離婚後300日以内に、女性が再婚せずに子どもを産めば、従前同様、前夫の子と推定される形となります。

 

そのような場合には、嫡出否認の訴えという手続きで、推定を覆すことが必要となります。

この手続きについても、従前は、訴えを提起できるのは推定される父(前夫)のみ、かつ、子が生まれたことを知ってから1年以内と制限されていました。

手続きに元夫の協力が必要であったことが、無戸籍者を生む一因にもなっていました。

そこで、新たに手続きを申立てられる人について、母や子にも拡大、その期限も子が生まれたことを知ったときから3年以内に拡大されました。

また、一定の要件を満たす場合には、子本人は21歳に達するまで手続きを取ることが可能となりました。

 

この改正により、無戸籍で不利益を受ける子どもが一人でも減ることが期待されます。

 

4 問題解消のための1年間の特別期間

今回の法改正は、施行日である令和6年4月1日以降に生まれた子が対象です。

 

ただ、既に生じている問題を解決するために、法律施行前に生まれた子についても、令和6年4月1日から令和7年3月31日までの1年間のみ、母や子から嫡出否認の訴えを提起することが認められています。

1年間のみ特別に認められた救済手続期間なので、嫡出推定の問題を抱えていた方については、この機会を逃さず、是非手続きを進めていただきたいと思います。

 

◆離婚・親権・養育費等についてもっと知りたい方は【離婚サイト】をご覧ください。


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こんな「ハラスメント」もあるらしい…(弁護士 今井 慶貴)

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弁護士 今井 慶貴

今井 慶貴
(いまい やすたか)

一新総合法律事務所
副理事長/新潟事務所長/弁護士

出身地:新潟県新潟市
出身大学:早稲田大学法学部

新潟県弁護士会副会長(平成22年度)、新潟市包括外部監査人(令和2~4年度)を歴任。
主な取扱分野は、企業法務(労務、契約、会社法務、コンプライアンス、事業承継、M&A、債権回収など)、事業再生・倒産、自治体法務です。
現在、東京商工リサーチ新潟県版で「ズバッと法談」を連載中です。

 

職場におけるハラスメントといえば、セクハラに始まり、パワハラ、マタハラ、カスハラ…とすっかり日常用語になりました。

 

上に挙げたものは、メジャーなものであり、厚生労働省のサイト「職場におけるハラスメントの防止のために」をご覧いただければ、正確な理解を得ることができます。

最近では、これにとどまらず、様々なハラスメントが生まれているようです。

 

・就活ハラスメント

就活中のセクハラ・パワハラです。

自社に入ってほしいがゆえにプレッシャーをかける「オワハラ」(就活終われハラスメント)というのもこの一種です。

逆に、やめて欲しい人に嫌がらせをするのは「リストラハラスメント」というそうです。

 

・モラルハラスメント

人格や尊厳を否定するような言動であり、パワハラ6類型の中の「精神的な攻撃」や「個の侵害」に重なりますが、優越的な関係がなくても該当します。

「ロジカルハラスメント」は、むやみに論破する、「不機嫌ハラスメント」は、口調や態度で不機嫌さを醸し出すサイレント・モラハラだそうです。

「溜息ハラスメント」というのもあるそうで、ここら辺の無意識系は気をつけたいですね。

 

・アルコールハラスメント

飲み会などでお酒を無理強いするものです。

「カラオケハラスメント」も無理強い系ですが、今風でないことは確かです。

 

・エイジハラスメント

だからといって、「昭和世代」や「Z世代」だからなどと決めつけると「エイジハラスメント」になるかもしれません。

「ジェンダー(性別)ハラスメント」「ブラッド(血液型)ハラスメント」なども偏見系ファミリーと言えるでしょう。

ただ、相手に対してすぐ「ハラスメントだ!」と決めつけると、今度は「ハラスメント・ハラスメント」になるんだとか…面白いですね。

 

・スメルハラスメント

臭いによって相手に不快感を与えるものですが、自覚がない場合が多く、注意もしにくいものです。

同じ臭い系でも、「スモーク(喫煙)ハラスメント」は注意しやすいですね。

 

・リモートハラスメント

リモートワーク中にプライベート空間や私生活について干渉するようなハラスメントであり、「テレワークハラスメント」「オンラインハラスメント」の別名があるそうです。

ITが苦手な人に対する嫌がらせは「テクノロジーハラスメント」で、SNSに職場の人間関係を持ち込んでストレスを与えると「ソーシャルハラスメント」と言われてしまいます。

 

・時短ハラスメント

働き方改革の推進により、仕事が残っているのに残業をさせないようにすることを「時短ハラスメント」というようです。

無理に残業させるよりはよっぽど良いように思うのですが、どうなんでしょうか?

 

・セカンドハラスメント

これだけハラスメントがあると(?)、皆さんもハラスメント相談を受けることもあるかもしれません。

その対応を誤ると、相談してくれた人をさらに傷つけたり、追い詰めてしまいかねません。

逆に、ハラスメント加害者とされた人が、本当にそうなのかも慎重な検証が必要です。

ハラスメント対応の失敗が「セカンドハラスメント」となります。

 

そんなことにならないよう、当事務所ではハラスメント対策の社内研修を承っておりますので、是非ご活用ください。

 

【ハラスメント研修についてはこちら】※企業法務サイトにに移動します。

 


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民事調停の活用法(弁護士 細野 希)

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1 民事調停とは

調停は、当事者が裁判所に来て話し合いをし、調停委員会を介して紛争を解決する方法です。

調停委員会は、裁判官1人と事件ごとに裁判所が指定した民事調停委員2人以上で組織されています。

民事調停委員は、弁護士や専門家などが指定されています。

 

訴訟の場合、最終的には裁判官が判決により結論を出しますが、調停は、紛争当事者が合意をして紛争を解決することを基本としています。

 

2 民事調停の種類

民事調停には、民事一般調停、宅地建物調停、農事調停、商事調停、鉱害調停、交通事故調停、公害等調停、特定調停があります。

 

民事調停は、家賃の未払い、貸金問題、近隣紛争、売買トラブルなど民事に関する紛争を広く対象事件として扱っています。

ただし、離婚や相続など家族の問題に関することは、家庭裁判所が管轄となる家事調停の対象になります。

 

3 管轄裁判所

民事一般調停と商事調停は、相手方の住所を管轄する簡易裁判所に申し立てをするのが原則です。

調停は、相手方との話し合いでの合意を目指すので、相手方が参加しやすいように相手方の近くの裁判所に呼び出す必要があるのです。

 

それ以外の宅地建物調停、農事調停などは、管轄についての特別な定めがあります。

例えば、宅地建物調停事件の管轄裁判所は、紛争の目的である宅地又は建物の所在地を管轄する簡易裁判所になります。

 

また、当事者同時の合意があれば、その合意で定める地方裁判所や簡易裁判所を管轄裁判所とすることもできます。

 

4 民事調停のメリット

民事調停は、非公開で、手数料が安く、訴訟より短期間で事件解決することがメリットです。

調停申立手数料は、訴訟よりも少額であり、例えば、10万円の支払いを求める場合には、申立手数料は500円になります。

 

弁護士に依頼し民事調停の申立てをする方が、争点をまとめて、スムーズに調停が進むと思いますが、例えば、相手方への請求金額が少なく、弁護士費用が高くなるような場合には、当事者本人のみで調停の申立てをすることも当然可能です。

 

裁判所のHPには、申立書の書式がダウンロード(※)できるようになっています。

 

また、調停は、話し合いと言っても、当事者が同席をして協議するわけではなく、民事調停委員を介して話を聞いてもらうので、待合室が別々であり、本人同士が顔を合わせずに調停を進めることもできます。

さらに、金銭の支払いの合意ができて調停調書が作られた場合、調停調書は、判決と同様の効果を持ちますので、債務者が滞納した場合、強制執行の申立てをすることもできます。

____________

※裁判所HP|民事調停で使う書式(申立書)

https://www.courts.go.jp/saiban/syosiki/syosiki_minzityoutei/index.html

 

5 民事調停のデメリット

民事調停の申立てをしても、相手方が裁判所に来ないと調停で話し合えないので、調停の申立てが無駄に終わることもあります。

民事調停法第34条には、「裁判所又は調停委員会の呼出しを受けた事件の関係人が正当な事由がなく出頭しないときは、裁判所は、5万円以下の過料に処する。」という規定がありますが、実務上は、あまり適用はされていません。

相手方を強制的に裁判所に呼び出しても、結局、当事者間で合意ができず、調停が不成立になり、意味がないともいえるからです。

 

ただし、民事調停法第17条には、裁判所は、調停委員会の調停が成立する見込みがない場合において相当であると認めるときは、職権で、当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、事件の解決のために必要な決定をすることができるという規定があります。

 

例えば、当事者間で調停案に概ね合意ができているのに、遠方で、調停に参加できない場合や、当事者が、調停委員会に裁判所に出頭はできないが、調停案に合意すると書面を提出した場合などに、裁判所は、相手方が欠席しても調停に代わる決定をすることがあります。

ただし、裁判所が調停に代わる決定をするためには、民事調停委員の意見を聴き、当事者双方のために衡平に考慮することが求められています。

 

6 おわりに

民事調停は、訴訟と異なり、裁判官が最終的に判決を出してくれるわけではないので、双方の主張の対立が大きい場合には、合意に至らず、調停が不成立になることもあります。

 

しかし、紛争当事者以外の調停委員会が、双方の話を聞いて、紛争を仲介してくれるので、当初、成立しないと思った調停でも、実際にやってみると合意に至る場合もあります。

また、当事者の感情的な対立から本人同士では話し合えない場合でも、第三者を介して話し合うことによって争点整理ができて問題が柔軟に解決することもあります。

調停は非公開なので、プライバシーに係わる事件や社会的に評判を落としたくない事件などにも利用できます。

 

また、相手方との合意できれば、調停調書に謝罪条項を入れたり、再発防止処置条項を入れたりすることもあります。

 

当事者間の示談交渉が決裂した場合、次のステップとして、訴訟又は調停のどちらを選択した方がいいのかは、事件の内容から検討すべきですが、訴訟より比較的簡易な民事調停という手続きもあるので、ご検討いただければと思います。

 

この記事を執筆した弁護士
弁護士 細野 希

細野 希
(ほその のぞみ)

一新総合法律事務所 理事/ 弁護士

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出身大学:新潟大学法科大学院修了

新潟県都市計画審議会委員(2021年~)、日本弁護士連合会国選弁護本部委員(2022年~)を務めています。主な取扱分野は、交通事故と離婚。そのほか、金銭問題、相続等の家事事件や企業法務など幅広い分野に対応しています。
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