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法務情報

2025/04/21

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【コラム】精神的疲労を回復するために溜めないために運動効果は侮れない(弁護士 和田 光弘)

コラムその他弁護士和田光弘新潟事務所

〜70歳にして思う〜

私も昨年古希を迎えてから、何回も、自分自身で自分に対し、本当に自分はもう70歳なのかと、問いただしている。

半分は、まだまだ70歳というには早すぎるくらいじゃないのかという気持ちと、半分は70歳なのだから程々にしときなさいという気持ちと両方からの問いかけでもある。


古希を祝ってくれた事務所の同僚らの前で、「今は人生100年時代とも言われて、平均寿命も伸びている。

年齢に対する感覚も、実年齢から2割くらい引くのが実感に合っていると思える。

だから、私はまだ50代の感覚でしばらく仕事を続けます。」と話した。

〜運動に浸るきっかけ〜

実は6年ほど前に、末娘から誕生祝いにスマートウォッチなるものをもらってから、ほぼそれを身につけて日々過ごしている。

そのスマートウォッチも2代目になって数年経つから、かれこれ7、8年は経つはずだ。


この時計はスマートフォンと連動して、3重の輪になっている運動記録をつけるアプリが入っている。

毎日のムーヴカロリーの目標(私は1日580キロカロリー)とエクササイズ時間(1日60分)、スタンド時間(1日11時間)という、3つの記録が自動的に行われる仕組みで、他にも1日の歩数とか、取り組んだエクササイズの種類とか、そのエクササイズで使ったカロリーとかが記録される。

他に、心拍数とか、運動量とかも自動的に記録されているらしい(細かいことはよくわからない)。

〜1250回達成バッジ〜

それで、このアプリには「バッジ」なるものがあって、ここに達成した記録に応じてバッジが自動的に獲得できる仕組みになっている。


ここからが、自慢話めいてくる。

実際、自慢話だが。


全てのリング(上記に書いた「3重の輪」)を1週間とか1ヶ月とかに達成すると、「完璧な週」とか「完璧な月」とか、このバッジがもらえる。


この中に、「すべてのリングの達成1250回」というバッジが出てくる。

「えぇっ、1250回って、何年分?」

そう、ほぼ4年分に近いのだ。

さらに、もうすぐこの「すべてのリング達成1500回」のバッジまで、私はあと233回に迫っているのだ。

〜運動は苦痛を消してしまう〜

さて、ここからが私からこれを読む人に対する一種のプレゼントのつもりなのだが、私は、この10年以上、仕事が苦痛で苦痛でたまらず、放り出したいと思うことがなくなったということだ。


これは、ほぼ運動を始めるようになった時期と重なる。


以前は、難しい事件を抱えてしまい、裁判所での結果も期待できなかったり、実際に負けが続いたりすると、どちらかというと憂さ晴らしのために、酒に浸ったり、仲間を誘って大声で喋りまくったりして、なんとかこうとか精神的疲労を回復(?)というか、誤魔化してきた、というような生活パターンを繰り返していた。

その酔いが覚めた後に、酒酔いの残りが頭や胃を苦しめていた。


しかし、この10年間は、朝に早歩きをしたり、ゆっくり走ったり(ロング・スロー・ディスタンス=時速5〜6キロペースで走る)で汗をかいて、お風呂に入ると、爽快な気分で、あまりクヨクヨしなくなった。


汗をかいた後に考えてみれば、事件は自分が起こしたものでもなく、依頼された事件のためにあれこれ工夫して、調査して、精一杯の仕事をしているではないか、と自然に思えてくる。

そう、自分をそれなりに肯定しているのだ。

朝の一汗がそのように思わせてくれる。

まあ、結果はその時々で良い悪いはあるにせよ、「人生塞翁が馬」という言葉もあるではないか。

何が良くて、何が悪いかは、長い目で見れば、色々と評価は違ってくる。

そう思うというか、自然にそう思えてくる。


精神的疲労を重ねてしまう自分の反省、つまり、ああ、あのとき自分がもっとこうしていれば違ったのか、それとも、この点を突き詰めなかったからか、いやもう少し依頼者に丁寧に接していれば違ったのか、などなどということは、考えてみるといくらでもある。

実際、それがないと進歩もない。


それでも、それはそれで、ことここに至ったからには「仕方のないことだ」と思えるから、運動効果はすごいのだ。

〜運動効果を確信〜

やはり、私の肯定的気分は、運動効果だと自分ではほぼ確信している。


昔、入りたての若手弁護士が、多少厄介な相続放棄の取消し案件に取り組んでいるうちに、そのうち不安に駆られたらしく、「自分が仕事していてはいつか事務所に迷惑をおかけするような気がして」と仕事を休みたい、下手をすれば「事務所を辞めたほうがいいいかもしれない」と打ち明けてきた。


私は彼に、「朝でも、昼でも、休んでいる時に、散歩した方が良い。」とだけ言って、しばらく立て込んだ仕事は引き上げることにした。


そのうち、彼はさっぱりした顔つきになり、事務所に戻り、仕事に戻り、さらには、新潟から離れた地域事務所に赴任してくれた。


今では、相当に図太くなって、頼もしい弁護士になっている。


また、「心配で夜眠れないくらい不安感が強い」という相談者がいると、「睡眠薬はよしといた方がいいですよ。」と注意して、その代わり「体が疲れるくらい散歩でも運動でも、体を動かした方がいい。」とアドバイスする。

「夜眠れなかったら、昼寝ればいいだけです。」とも真顔で言ったりもする。


こうした相談者の悩み事はどうにもならないことも多い。

例えば、昔、ある悪いこと(男女関係や財産関係での裏切りや卑怯な振る舞い)をしたことが気になって、最近誰かに見つけられて追いかけられているとか、誰かに監視されているとか、カメラのシャッター音が耳のそばで聞こえてしまう、とか、色々である。


でも、精神科の出す睡眠剤よりも、運動のほうが長い目で見て、副作用もなく身体にはほぼ確実に効果的である。

〜誰でも何か一つの運動を〜

私には(妻にえらく大変な思いをさせてきたものの)、4人の子どもたちがいる。


いずれの子どもにも、高校時代には、何か一つの運動部か運動を勧めてきた。

バスケットボールだったり、水泳だったり、ブラスバンドだったり、ボートだったり、それぞれ好きなことを勧めた。


たぶん当時は、私自身があまり運動効果を確信していたわけではなかったが、単純にその方が体に良いと言う程度で勧めたのかもしれない。

自分自身も、中学・高校とテニス部だったから、と言う理由だったかもしれない。


しかし、それぞれの子どもたちは、なんとか30歳前後で自立した。

まあ、それほど好きな仕事かどうかはよくわからないところもあるが、専門職もあれば、公益的活動だったり、金融界だったりと、それぞれだ。


子ども自身も、苦しんだ時期もあったり、精神的にも辛い時期を抱えたこともあった。

親として何ができるわけではないが、支えるために、一緒に歩くしかない(これは、比喩的に「一緒に歩く」と言う精神的な意味もあるが、本当に「体を使って歩く」と言う意味もある)。

実際に、親の勧めもあってか、それぞれの苦しい時期に、早朝に走ったり、夕方歩いたりしていた。

そうすることで、それぞれの視界がひらけたようだった。


息子2人は、今では体重が増え過ぎていて、運動もあまりしていないようにも思えるが、それでも、散歩したり、運動したりは覚えているだろう。

娘2人は体を動かすことを心がけている。


私も、妻が引っ張っていく「フィットネスジム」に週2回通い、時間があれば山登りもし、旅行先でも早朝散歩を繰り返し、体を動かしている。


現実を簡単に変えることはできないけれど、今、自分の身体を動かすことはできる。

30分の歩行でも、15分のヨガでも、10分のストレッチでも構わない。

スマートウォッチのワークアウトボタンを押して、さあ、始めましょう。

運動は精神的疲労を回復し精神的疲労を溜めない。

この記事を執筆した弁護士
弁護士 和田 光弘

和田 光弘
(わだ みつひろ)

一新総合法律事務所
顧問/弁護士

出身地:新潟県燕市
出身大学:早稲田大学法学部(国際公法専攻)

日本弁護士連合会副会長(平成29年度)​をはじめ、新潟県弁護士会会長などを歴任。

主な取扱い分野は、企業法務全般(労務・労働事件(企業側)、契約書関連、クレーム対応、債権回収、問題社員対応など)。そのほか、不動産問題、相続など幅広い分野に精通しています。
事務所全体で300社以上の企業との顧問契約があり、企業のリスク管理の一環として数多くの企業でハラスメント研修の講師を務めた実績があります。​

 

 

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