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業務中の熱中症は労災になる?企業が取るべき対策とは

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熱中症は労災認定される?

熱中症に気を付けましょう

猛暑が続き、連日、熱中症警戒アラートが発表されています。

時候の挨拶にも、熱中症に気を付けましょうと、社会全体で熱中症を予防しようとしています。

 

ところで、労働基準法施行規則第35条別表1の2に、労災が対象とする疾病が定められています。

そして、その中に熱中症も規定されています。

厚生労働省の通達によれば、「体温調節機能が阻害されるような温度の高い場所」での業務中に熱中症を発症すると労災認定されることになります。

 

職場における熱中症の発生状況

厚労省の資料によると職場における熱中症による死傷者数は2018年1178人をピークに2021年に561人に低下しましたが、2022年には827人に増加しました。

 

業種別で見ると2022年は建設業179人21%、製造業145人19%、運送業129人14%、警備業91人10%、商業82人10%とされています。

 

月別で見ると2022年は5月16人、6月184人、7月291人、8月280人、9月46人と暑さの本番が始まらない、未だ体が暑さに慣れていない6月からすでに増加し、夏本番でないからといって油断することができないことがわかります。

 

熱中症の症状と重症度は厚労省の「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」*1 では次のように分類されています。

Ⅰ度は119番と応急手当、Ⅱ度は医療機関での診療、Ⅲ度は入院治療が必要と記載されています。

しかし、専門家でないと、重症度などの判断ができないので、様子がおかしいと思ったら救急車を呼び、救急車が来るまで急速冷却が必要とされています。

熱中症は手遅れになりやすい命にかかわる病気であるとの認識が必要です。

 

熱中症の応急手当(表)

厚生労働省HP:「働く人の今すぐ使える熱中症ガイドブック」掲載の「応急手当カード」

*1 参考URL:厚生労働省「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」https://neccyusho.mhlw.go.jp/download/

 

熱中症防止のために企業がとるべき対策は?

職場の熱中症防止は企業の安全配慮義務の一つとされ、国による活発な啓発活動がなされています。

前述した、厚労省の「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」が非常に役に立ちます。

ガイドでは、熱中症予防により命を守ることが強調され、熱中症についての基礎知識、危ない状況と対策、予防法、取り組み例、講習用スライドなどが記載されています。

ぜひ、一度、内容をご確認ください。

 

熱中症事故の企業の賠償責任は?

熱中症が労災認定されるかの争点

炎天下の下で作業していた従業員が死亡して裁判になるケースでは、死亡の原因が熱中症なのか否かが争点となることがあります。

 

死亡の原因が熱中症と認定され、企業の安全配慮義務違反が認定されてしまうと、企業は、賠償責任を負うことになります。

熱中症が労災認定された事例

平成28年1月21日に出された大阪高等裁判所の判決によれば、造園業者に勤務する34歳、年収約210万円の男性が、真夏の炎天下(午後4時30分で39℃)で剪定作業していたところ、熱中症により死亡した事案につき、慰謝料2500万円、逸失利益1680万円等を認定し、労働者側の持病や、労災給付の控除などを考慮した結果、会社には、約3600万円の賠償責任があるとしています。

 

この記事を執筆した弁護士
弁護士 古島 実

古島 実
(こじま みのる)

一新総合法律事務所
監事/弁護士

出身地:新潟県燕市
出身大学:一橋大学法学部卒業(憲法専攻)

新潟県弁護士会副会長(平成19年度)などを務める。主な取扱分野は交通事故、相続、企業法務問題(労務・労働事件(企業側)、契約書関連、クレーム対応、債権回収、問題社員対応など)。
保険代理店向け交通事故対応セミナーや、三条商工会議所主催の弁護士セミナー等で講師を務めた実績があります。


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