法務情報

HOME > 法務情報 > 那須サファリパーク飼育員の負傷事故、補償や会社の法的責任は?(弁護士:今井 慶貴)

法務情報

那須サファリパーク飼育員の負傷事故、補償や会社の法的責任は?(弁護士:今井 慶貴)

 │ 弁護士今井慶貴, 労働, 企業・団体, コラム

この記事を執筆した弁護士
弁護士 今井 慶貴

今井 慶貴
(いまい やすたか)

一新総合法律事務所
副理事長/新潟事務所長/弁護士

出身地:新潟県新潟市
出身大学:早稲田大学法学部

新潟県弁護士会副会長(平成22年度)、新潟市包括外部監査人(令和2~4年度)を歴任。
主な取扱分野は、企業法務(労務、契約、会社法務、コンプライアンス、事業承継、M&A、債権回収など)、事業再生・倒産、自治体法務です。
現在、東京商工リサーチ新潟県版で「ズバッと法談」を連載中です。

 

1 はじめに

 

1月5日朝に、​栃木県那須町の「那須サファリパーク」で、飼育員の男女3人がトラにかまれて負傷した事故が発生しました。

栃木県警は1月7日、業務上過失傷害の容疑で施設内の捜索を行ったと報道されています。

このような業務上の事故があった場合、従業員への補償や会社の法的責任はどうなるのでしょうか?

 

2  労災保険による補償

まず、飼育員の方は業務に起因する事故で負傷されたわけですので、​会社の過失の有無にかかわらず、労災保険による補償が受けられます。

​療養(補償)給付と休業(補償)給付のほか、後遺障害が残ってしまった場合の障害(補償)給付などが考えられます。

3 企業の損害賠償責任は?

加えて、会社は飼育員に対して、安全配慮義務違反や他の従業員に対する使用者責任に基づく損害賠償責任(民事責任)を負う可能性もあります。

​報道によると、前日に担当した別の飼育員2人は、トラが獣舎に入ったかどうかや、施錠の状況を「はっきり覚えていない」などと話しているということであり、飼育状況や管理体制に不備があった可能性が指摘されています。

仮に、​会社に責任が認められる場合には、慰謝料や将来の逸失利益についての支払責任が生じ、後遺症の程度にもよりますが、賠償額は相当高額になることもありえます。​

さらに、既に施設内の捜索が行われていますが、捜査の結果次第では、会社や管理責任者において、業務上過失傷害等の刑事責任を負う可能性もあります。

​また、1月5日付で栃木県の動物愛護指導センターが再発防止を求める行政指導をしたということです。

同じ施設で過去にも2度、飼育員が負傷する事故が起きていたということですので、過去の事故を踏まえた会社側の対応がどうであったかが問われるでしょう。

 

​4 おわりに

今回、サファリパークでの事故に即した形で説明しましたが、労災が発生した場合、使用者である会社の責任は広範に及ぶことがわかります。​

なんといっても日頃の予防が第一ですが、万一労災事故が発生してしまった場合には、使用者としては、必要に応じて弁護士とも相談しながら、真摯かつ誠実に対応することが大切です。

 

弁護士:今井慶貴

 

◆弁護士コラム一覧はこちら

◆相談のご予約・お問い合わせはこちら

 

 

【ご注意】

◆記事の内容については、執筆当時の法令及び情報に基づく一般論であり、個別具体的な事情によっては、異なる結論になる可能性もございます。ご相談や法律的な判断については、個別に相談ください。

◆当事務所は、本サイト上で提供している情報に関していかなる保証もするものではありません。本サイトの利用によって何らかの損害が発生した場合でも、当事務所は一切の責任を負いません。

◆本サイト上に記載されている情報やURLは予告なしに変更、削除することがあります。情報の変更および削除によって何らかの損害が発生したとしても、当事務所は一切責任を負いません。

 

悩むよりも、まずご相談ください

お客様のトラブルや不安を一日でも早く取り除くためのサポートをいたします。

ご相談予約専用フリーダイヤル

0120-15-4640 メールからのご予約はこちら
予約受付時間
9:00~18:00 受付時間 受付時間 受付時間 受付時間 受付時間 受付時間

土曜日のご相談予約受付時間は、9:00~17:00(1時間短縮)となります。

販売書籍のご案内 メディア掲載情報一覧 介護事業所向けの案内 保険代理店向けの案内 法務情報 スタッフブログ 弁護士採用情報 事務局採用情報 さむらいプラス
お急ぎの方はこちら
PAGE TOP