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【法律相談】転勤命令と退職について

 │ 弁護士今井誠, 新潟事務所, 労働

「転勤に応じないと解雇される?」
Q  私は人材派遣を主な業務とする会社で部長をしています。会社では山形支店を開設するため、私を支店長候補として転勤させたいらしく、年内の転勤を内示してきました。私としては、知らない土地であり、妻や子供も反対なので、転勤に応じたくないのですが、拒否しても解雇されませんか?

 
A  転勤を拒否して解雇された事例は多くあります。裁判所の判断は分かれていますが、解雇が有効とされるケースも少なくないので、慎重に対応する必要があります。

 
「未消化の有給休暇の取得は?」
Q  妻は、転勤に応じて別居生活になるくらいなら、「会社をやめたらどうか」と言っています。私としても、有給休暇の残りを全部使ってから退職できるなら、それも選択肢の一つと考えていますが、有給休暇をそのように使うことは可能でしょうか。

 
A  退職の時期とも関係するので、一概に可能とは言えません。1月1日から新たな休暇が付与される会社も多いので、退職時期を1月末として時期を選択するようなやり方には会社が応じないと思われます。
 
 もしあなたが転勤に応じないことがはっきりすれば、会社は年内にも解雇などの処分をすることも予想されます。もし転勤に応ずるのではなく、退職の道を選択するのであれば、年内(転勤の時期内)にその時期を設定し、それまでの間に有給休暇を申し出るしかないと思います。

 
Q  会社が退職時の有給休暇の消化を認めないときに、有給休暇の買い取りを要求できますか?私の未消化日数は30日あります。
 

A  有給休暇の買い上げは、有給休暇制度の趣旨を損なうおそれがあるため、原則的に認められていません。しかし、いかなる場合にも絶対的に認められないというほどのものではないと考えられるので、会社と合意できれば、そのような措置も例外的に認められるものではないかと思われます。

 
「退職の意思表示は文書で?」
Q  退職する際には、「退職願」を出す必要がありますか?

A  「退職願」・「退職届」は、退職の際に提出するのが通常ですが、必要不可欠という訳ではありません。ただ退職には、自主退職、合意退職、解雇、懲戒解雇など、種々のものがあり、口頭で「やめる」「やめろ」などとすると、区別が曖昧になるだけでなく、「言った」「言わない」と後日の紛争になることも多いので、大事な意思表示は文書にするのが賢明です。

 
「残業手当の請求はできるのか?」
Q  私は管理職ということで、これまで残業手当等をもらっていなかったのですが、これについて退職後でも請求は可能でしょうか。

 
A  あなたが労働基準法第41条2号に定める監督、管理の地位にあるのであれば、時間外手当などが支給されないことになりますが、「部長」と名の付く人が全部これに該当するかは、にわかに判断できません。会社の役員(取締役)に準ずるような部長であれば、給与や管理職手当もそれ相当に高額で、業務上(職務上)の権限なども相当程度付与されているはずですので、ここでいう監理・監督者に該当すると判断されます。管理職手当といっても、額が僅かで、職務上の権限もほとんど付与されていないのであれば、残業代を請求すれば、法的には認められることになります。労基署がどう判断するかということも参考になると思います。

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 今井 誠◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2009年11月号(vol.44)>

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