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「食べログ」裁判から感じること

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1 はじめに

まだまだ新型コロナウイルスには注意が必要な状況ですが、当初と比べて感染予防に対する考えも変わってきています。

 

最近では、家族や友人、恋人と一緒に飲食店で食事をしたり、会社によっては、小規模な飲み会を開催しているところもあるかと思います。

飲食店を探す際に役に立つのがグルメサイトで、多くの方が利用されているかと思います。

 

今回は、大手グルメサイト「食べログ」の評点変更問題をめぐる裁判を紹介したいと思います。

 

2 「食べログ」評点変更問題とは?

 

「食べログ」評点変更問題とは、2019年5月、「食べログ」の評点を決めるアルゴリズム(計算手順)の変更が、独占禁止法に違反するとして、焼き肉チェーン店が損害賠償を求めた裁判になります。

昨年6月、第1審(東京地方裁判所)は、焼き肉チェーン店側の主張を一部認めて、およそ3800万円の賠償を命じました。

 

「食べログ」の運営会社側は、第1審の判断を不服として控訴し、さらに第1審の判決の内容について閲覧制限を申し立てました。

そして、本年1月、裁判所が閲覧制限とする範囲を決定し、判決の内容が明らかになりました。

 

第1審判決によりますと、問題となったアルゴリズムの変更とは、チェーン店の「認知度の調整」をするという内容でした。

しかし、対象となるチェーン店として、フランチャイズ店は対象になるのに対して、ファミレスやファストフード店は調整の対象にはなっていませんでした。

そのような調整の結果、対象となった焼き肉チェーン店の評点が低下し、その影響で来店者も減少した、と第1審は認定したわけです。

 

グルメサイトの評点と聞くと、「飲食店の利用客が、主観的な感覚で評価した点数が蓄積したもの」というイメージがあるかと思います。このような調整が介入することで、チェーン店のみ評点が低下するという影響を受けるという結果は、チェーン店にとっても、消費者にとっても意外に感じるのではないでしょうか。

 

3 判決のポイントは何か

先に説明したとおり、「食べログ」のアルゴリズム変更は、独占禁止法に違反すると判断されました。

 

独占禁止法と聞くと、カルテルとか談合をイメージするかもしれないですが、本件で問題となったのは、「不公正な取引方法」という禁止類型のうち「優越的地位の濫用」と呼ばれるものです。

 

飲食店にとってグルメサイトに登録することは、いまや営業上必須であり、「食べログ」が大手であることからすれば、飲食店からみれば「食べログ」の運営会社の立場は「優越的地位」に当たること自体に問題はないと考えられます。

 

そこで問題となるのは、「食べログ」の運営会社が、その優越的地位を「濫用」したと言えるかが問題となるわけです。

独占禁止法は、「濫用」の一つのパターンとして、「不当に差別的に取り扱うこと」を挙げています。

 

結局のところ、「不当」なのかどうか、「差別的」と言えるのかに争点は集約されるのだろうと思います。

 

この議論は本当に難しい問題です。

それは、男女差別の問題、障がい者差別の問題をはじめ、世の中には、区別が「不当」なのかどうか、「差別的」と言えるのか、様々な議論がなされていることからも分かるかと思います。

 

この議論で重要なポイントは、「目的達成のために合理的な手段と言えるのか」を考えることです。

そもそも、何の目的もなく区別すれば、「不当な区別で差別的」だと言えるでしょう。

また目的はあっても、それを達成するのに合理的な手段でないとすれば、やはり「不当な区別で差別的」と言わざるを得ないと思います。

 

では、「食べログ」のアルゴリズム変更は、何が目的だったのでしょうか。

 

とても気になるところですが、この点については、第1審判決内容の閲覧制限の対象となったため、明らかにはなりませんでした。

 

しかし、結論としては、第1審は、アルゴリズムの変更は、目的達成のため不合理な手段であったと判断したことになります。

 

4 「食べログ」裁判を通じて感じること

本裁判については、不服申立ての手続きが取られたことで控訴審の判断に委ねられることになりました。

大手グルメサイトをめぐる裁判でもあり、世間からも注目が集まるでしょうし、飲食業界に与える影響力も大きいと思います。

 

司法判断はともかく、消費者の一人として感じることは、ネットで現れる数値に踊らされているのではないか、ということです。

考えてみれば、同じ飲食店であるのに、最低評点1をつける人もいれば、最高評点5をつける人もいます。

そのようにして決められた評点を気にしすぎる消費者にも問題があるように感じます。

 

もちろん、美味しい店で食事をしたいという気持ちは当然ですが、それは実際に自分で食べてみなければ分からないことだと思います。

仮に、「イマイチだった」という感想であっても、それもまた良い思い出と考えるくらいの寛大な気持ちも大切なのかもしれません。

 


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