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社会で実際に起こった、事例や改正された法律をふまえ、法律に関する情報をご紹介します。

【法務情報】新国立競技場「白紙に」違約金など請求される可能性は!?

 │ 弁護士今井慶貴

Q.新国立競技場「白紙に」違約金など請求される可能性は!?
2020年東京五輪・パラリンピックのメイン競技場となる新国立競技場の巨額の建設費に非難が集中している。
7/18に計画は「白紙に」と首相が正式表明した。政府は秋口までにまとめる新たな整備計画で、整備費の上限や新競技場に求める条件などを提示するという。
当初の総工費は1300億円がデザイン通りに建設すると…試算3000億円、安価な材料に変更しても、2,500億円にも膨らむという。
スカイツリーが4本分という高額な金額。
実際工事を変更した場合、建築会社から違約金など請求される可能性は!?

A.
一般的に、工事を見直す場合には、契約が締結済みかどうか、締結済みの場合にはどのような取り決めにしているかによって、違約金や損害賠償についての結論が異なってきます。

新国立競技場建設の事業主体のJSC(日本スポーツ振興センター)によれば、これまでの契約に関する費用は60億円近くに上り、大半は戻ってこない見通しであるということです。

その内訳は、設計会社の設計業務が36億円余り、ハディド氏のデザイン監修が約15億円、施工を予定し設計にも携わった建設会社2社の技術協力が約8億円ということです。

発注者による一方的な変更であり、履行済みの部分が返金されないのは、法律的にはやむを得ないでしょう。

また、JSCによれば、ハディド氏との契約では違約金は発生しないものの、今後、「オリンピックスタジアムのデザインを手がけた実績を失うことなどに対する損害賠償を求められる可能性がある」ということです。

しかし、工事見直しにはやむを得ない理由があるうえ、もともとハディド氏は「アンビルトの女王」との異名もあるそうですので、実績を失ったということで、発注者が損害賠償を支払う義務を負ういわれはないように私は思います。

他方、JSCは、建設会社のうち1社と契約したスタンド部分の工事費約33億円については、「資材の発注がまだであれば、費用はほとんどかからない」という見通しを示しているようです。

とはいえ、契約済みの工事ですので、契約が履行された場合に得られたであろう建設会社の利益などについて損害賠償請求ができる余地もあるのではないでしょうか。

※Komachi Web (こまちウェブ・新潟県の総合エリアガイド)にも掲載されております。

【弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 今井慶貴】

【企業・団体】会社の解散と清算

 │ 新潟事務所, 弁護士今井慶貴, ビジネス, 企業・団体

 会社の「解散」と「清算」の区別はご存じでしょうか。「解散」とは法人格の消滅をもたらす原因となる事実(例えば,株主総会の特別決議)のことです。これに引き続く会社の後始末(例えば,契約関係や残った財産の後始末)が「清算」になります。
 

 清算株式会社は,清算の目的の範囲内で法人格を持ち,清算手続きが終わると,清算結了の登記をして会社の法人格は消滅することになります。
 

 株式会社の「清算」には,「通常清算」と「特別清算」があります。
 

 「通常清算」は,裁判所の監督に服さずに,清算人が清算手続きを進めます。具体的には,①現務の結了(事務,取引等の終了),②資産の換価・回収(財産の売却や債権回収),債務の弁済(官報公告をして2か月以上の一定期間内に債権の申出をするよう催告し,申し出た債権者と知れている債権者全員に弁済),③残余財産の分配(残った財産があれば株主の持ち株数に比例して配分)になります。
 

 このように,債権者には全額弁済しなければなりませんので,債務超過(その疑いがある場合も含む)の場合には,通常清算で清算することはできず,裁判所の監督下でおこなわれる「特別清算」によらなければなりません(破産の申立てをして清算することも考えられます。)。
 

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 今井 慶貴
(当事務所「企業・団体」チーム責任者)◆

<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2013年10月15日号(vol.136)>

【企業・団体】取締役の第三者責任

 │ 新潟事務所, 弁護士今井慶貴, ビジネス, 企業・団体

 実務上,会社に対する債権者が会社から債権回収するのが難しい場合(倒産した場合やそれに近い場合),「取締役に対して責任を追及できないか」とか「取締役である自分に責任追及が及ばないか」といったご相談を受けることがあります。

 

 原則的には,取締役は会社の債権者に対して責任を負いません。実際問題として,単に経営不振で倒産した場合に役員の個人責任を問うことは難しいでしょう。

 

 しかし,「役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは,当該役員等は,これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。」(会社法429条1項)とされています。単なる過失以上の「故意」又は「重過失」という高めのハードルがあります。

 

 典型的には,全く返済見込みがないのに金銭を借り入れたり,手形を発行したりした場合や,放漫経営で倒産に至らせたような場合が考えられます。

 

 近時の裁判例では,飲食業の上場企業で従業員が過労死したケースや,従業員の違法な投資勧誘で顧客が被害を受けたケースについて,取締役に責任を認めた裁判例なども出ており,注目を集めているところです。

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 今井 慶貴
(当事務所「企業・団体」チーム責任者)◆

<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2013年10月1日号(vol.135)>

【企業・団体】会社の支配権

 │ 新潟事務所, 弁護士今井慶貴, ビジネス, 企業・団体

 株式会社の内紛のご相談を受けた際に,まず確認すべき一番のポイントは,その会社の株主構成です。議決権の過半数を支配していれば,原則として取締役の選任・解任権があるので,最終的には優勢に持ち込めます。国会でいえば,「過半数の議席」を占めるというイメージです。

  

 次のポイントは,代表取締役のポジションがあるかと,取締役の過半数があるかです。「与党」であるかどうかということです。取締役の過半数があれば,代表取締役の選任・解任権があるので,場合によっては代表取締役を解任してクーデターを起こすことが可能です。

  

 仮に,株式の議決権では少数派でも,取締役会で多数派であれば,株主総会で取締役を解任されるまでは「少数与党」として一時的とはいえ会社を事実上支配することができます。

 

 ですので,会社支配権をしっかり維持するためには,過半数の議決権を有する株式を持つこと(できれば3分の2以上を確保)に加えて,取締役会でも多数を占めることが必要です。

 

 最近は,取締役会を置かない会社もありますが,やはり取締役の過半数は自派で占めるようにしたいものです。

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 今井 慶貴
(当事務所「企業・団体」チーム責任者)◆

<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2013年8月31日号(vol.133)>

【企業・団体】特別利害関係

 │ 新潟事務所, 弁護士今井慶貴, ビジネス, 企業・団体

 取締役会の決議については,決議について「特別の利害関係を有する」取締役は議決に加わることができないとされています(会社法369条2項)。

  

 その例として,譲渡制限株式の譲渡承認,競業取引・利益相反取引の承認,会社に対する責任の一部免除等があります。

  

 代表取締役の「選任」については,候補者自身が議決権を行使することは業務執行の決定への参加であり,特別利害関係にはあたらないと解されています。

  

 逆に,代表取締役の「解任」については特別利害関係にあたるという判例があります。当該代表取締役が私心を去って会社に対し忠実に議決権を行使することは困難だからという理由です。

  

 すると,ABCDの4名の取締役(代表取締役A)がいて,ABとCDの2派に分かれる場合,BCの賛成でAを解任できる(Aは定足数にも入らず,2/3の過半数で可決)が,後任の代表取締役は選任できない(2/4で過半数に達しない)ことになります。代表取締役が欠けましたので,裁判所に一時代表取締役の職務を行う者を選任してもらうことが考えられます(351条2項)

  

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 今井 慶貴
(当事務所「企業・団体」チーム責任者)◆

<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2013年8月12日号(vol.32)>

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