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弁護士の働き方(弁護士:和田 光弘)

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この記事を執筆した弁護士
弁護士 和田 光弘

和田 光弘
(わだ みつひろ)

一新総合法律事務所
理事長/弁護士

出身地:新潟県燕市
出身大学:早稲田大学法学部(国際公法専攻)

日本弁護士連合会副会長(平成29年度)​をはじめ、新潟県弁護士会会長などを歴任。

主な取扱い分野は、企業法務全般(労務・労働事件(企業側)、契約書関連、クレーム対応、債権回収、問題社員対応など)。そのほか、不動産問題、相続など幅広い分野に精通しています。
事務所全体で300社以上の企業との顧問契約があり、企業のリスク管理の一環として数多くの企業でハラスメント研修の講師を務めた実績があります。​

1 リモートワーク・テレワークの時代

最近は、コロナ感染症拡大のこともあって、「テレワーク」とか「リモートワーク」とか、情報通信手段を使って職場以外の場所で労働を行う時代が到来したと声高に言われるようになりました。

 

コロナ感染症の拡大は、その傾向を大胆に展開させたと言っても過言でないでしょう。

 

私自身、自宅にいても、事務所からのメール情報はもちろん、事務所共有のネット情報やZoom会議によって、事件記録の確認をしたり、相談者との打ち合わせや法律相談を進めたりと、実際、その気になれば、ほとんど事務所にいるのと変わらずに仕事ができる状態です。

 

2 しかし、望んでいた「働き方」なのか?

ただ、この「働き方」は、もともと弁護士が望んでいたことなのだろうかと、ハタと立ち止まって考えてみますと、私自身は、どうも少し違うのではないかとも思ってしまいます。

 

今から40年近く前に、私が弁護士になろうとしたころは、弁護士の働き方の良い点の第一は、「時間が自由になること」でした。

会社員と違って定時出社が求められているわけでもなく、学生のように宿題が出るわけでもなくなどと、実に優雅にノンビリと考えていたものです。

そのころ、事件のために東京高等裁判所に行くときなどは、出張してさらに宿泊もしてくるものと、先輩弁護士からは聞かされていたものでした。

宿泊先では一杯やって眠るなど、一人で勝手な妄想をしていたのです。

 

しかし、時代は物凄い速さで変化していきました。

 

手書きやタイプ印刷の準備書面などがワープロにとって代わられ、新幹線による交通手段が開発され、そのうちインターネットによる情報の提供や取得ができるという流れにまでなっていったところ、どこにいても情報を見ることができ、自分からの指示も送れるという便利さに、私もいつの間にか、どんどんハマっていきました。

 

ヨーロッパ旅行に出かけながら、メールで全ての情報を確認しつつ、様々に仕事の指示を出せたときには、「ああ、なんて便利だろう」と自分自身で思ったものです。

 

そのころの私は、ヨーロッパのホテルから、「和解は裁判所の提案で良い」「依頼者にはこのように伝えて」「その点は気にしなくて良いから」などなど、日本との8時間の時差も気にしないでメールをしていました。

そんな時には、朝の4時からメールをし始めていたので、旅行を楽しむ家人から大顰蹙を買いました。

 

考えてみると、そのころからリモートワークなのですが、これこそがバランスを欠いた仕事の始まりだったのかもしれません。

 

3 「働き方」のバランス

 

結局、仕事に追われて、私自身、いつのころからか自分で自分の首を絞めるように「仕事中毒」になっていきました。

 

さらに、これに輪をかけて、自宅にいながら、時にパソコンに向かい、時に買い物に出かけ、時に家事をこなすことになると、もはや「主夫(主婦)」と「弁護士業」の二足の草鞋を履いたまま、休む間もなく、目まぐるしく次の仕事、次の仕事と追いまくられることになりかねません。

 

これでは、「自由に時間が使える」どころか、「時間に追われる」生活になってしまいました。

 

たぶん、テレワークやリモートワークがもてはやされるとしても、休憩時間と労働時間の区切りをどこでつけるか、家事労働と業務上の労働との区別をどうするか、執務場所と家事空間とをどう区画するか、その執務空間(労働環境)の快適さをどのように保つかなどなど、考えてみれば、結構難しい問題を抱えています。

 

要するに働き方のバランスが取れない、取りにくいのです。

 

これでは、おそらく、コロナ感染症が収束してくると、テレワーク、リモートワークを続けていこうという企業や労働者が、果たして多数派になるかなあと疑問を感じています。

 

よく、ワーク・ライフ・バランスと言われますが、ずっと自宅というのはその区別、意識の持ち方が難しいのではないかと思うのです。

 

4 公務員としての弁護士、会社員としての弁護士

現在、会社員として働く弁護士や公務員として働く弁護士が増えています。

 

大雑把な数字ですが、両方合わせると2500名を超えているのではないでしょうか。

 

これって、私が弁護士になったときに、弁護士の働き方ではないと考えていた定時出社、定時退社の世界です。

会社で雇用される弁護士は「イン・ハウス・ロイヤー」とも呼ばれます。

 

むしろ、こうした働き方のほうが、場所も時間も区別がついて、弁護士としても、自らの労働時間や生活時間のバランスがとりやすいのだろうと思います。

現に、こうした働き方を選ぶ多くの弁護士たちが、定時出社や定時退社を基本的に歓迎している感想をよく目にします。

 

私も、今となると、ああそれも羨ましいなどと感じたりしますから、40年前と随分違う精神状態です。

 

仕事に追われ続ける働き方は、やっぱり、あんまりよくないのです。

 

5 弁護士のワーク・ライフ・バランス

これからは、弁護士は便利になった情報通信手段をフルに活用しながらも、「ワーク・ライフ・バランス」をとらないと、精神的に続けられなくなるのではないか、と本気で考えています。

 

私自身、コロナ感染症の蔓延によって、夕方6時過ぎには自宅に帰る日々が続きましたが、実は、それはそれで健康的な感じがしていました。

 

働きすぎを抑え、家族との時間をもち、社会的にも活動する、これがやはりバランスの取れた人生なのだと思います。

そのバランスを弁護士が主体的に決めることができるか、それが最も大事なのだろうと、今は痛感しています。

 


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