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社会で実際に起こった、事例や改正された法律をふまえ、法律に関する情報をご紹介します。

【相続】遺産分割協議の種類

 │ 新潟事務所, 遺言・相続, 弁護士橘里香

  相続人が複数いる場合,遺産分割協議し,誰がどの遺産を相続するのかということを決めなければなりません。

 

1 協議分割

  通常は,当事者間で話合い,遺産分割協議書を作成します。円満な遺産分割協議のため,弁護士が他の相続人と協議交渉することも可能です。

    また,遺産分割協議書は,全員の合意さえ得られれば,法定相続分と異なる割合での分割を定めることも可能です。

 相続人の範囲(各人の法定相続割合),相続財産の範囲,その評価額を前提に相続人全員で納得のいく分割を話合い決定しましょう。

 

2 調停分割

 当事者間で話合いがつかない場合には,家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て,調停委員を通じて相手方と話合いを行い分割内容の合意をする調停分割を行うことになります。

 この場合は,調停調書において遺産分割協議の内容が書面化されることから,別途遺産分割協議書を作成する必要はありません。

 

3 審判分割

  調停でも協議が整わない場合には,自動的に遺産分割審判という手続きに移行し,裁判官の判断で分割方法が定められる審判分割 が行われることになります。

 

  状況に応じて,適切な方法を選択しましょう。

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 橘 里香◆
(当事務所「家事」チーム)
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2013年9月17日号(vol.134)>

 

【相続】法定相続分

 │ 遺言・相続, 弁護士角家理佳

 相続人の相続分については,民法が次のとおり定めています。

  <配偶者と子が相続人の場合>

   配偶者 2分の1  子 2分の1

  <配偶者と直系尊属が相続人の場合>

   配偶者 3分の2 直系尊属 3分の1

  <配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合>

   配偶者 4分の3  兄弟姉妹 4分の1
 

 子,直系尊属,兄弟姉妹等,同順位の者が複数いる場合は,原則として均等に分割しますが,いくつか例外があります。
   

 例えば,子の中に嫡出でない子がいる場合は,現行法ではその子には嫡出子の2分の1の相続分しか認められていません。
 

 また,兄弟姉妹の中に,両親の一方を異にする者(半血のきょうだい)がいる場合は,両親とも同じくするきょうだいの2分の1の割合とされています。
 

 この法定相続分は,相続人間で協議がまとまらない場合の分け方の決まりであり,協議が調えば,どのような割合でも構いません。
 

 なお,上記の相続分は現行法のものであり,昭和55年以前に開始した相続では,時期により異なる定めがされていましたので,先代,先々代の遺産分割が未了の場合には注意が必要です。

 

 ★当事務所ホームページの遺言・相続に関するページはこちら★

   

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 角家 理佳
(当事務所「家事」チーム責任者)◆

<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2013年6月15日号(vol.128)>

【相続】相続人の範囲

 │ 遺言・相続, 弁護士角家理佳

 相続人の範囲は,民法で定められています。遺言を作成する際にも,遺産分割協議する際にも,この点を初めに確認することが大事です。
 

 亡くなった方に配偶者(夫・妻)がいる場合,配偶者は常に相続人になります。ただし,戸籍上の配偶者であることが必要で,いわゆる内縁の関係では相続することはできません。

 配偶者以外の人は次の順位(第1順位の人がいなければ第2順位,第2順位もいなければ第3順位)で,配偶者とともに相続することになります。

 

 ・第1順位 子(子が先に他界している場合には孫,ひ孫…と下の代が相続人になります。これを代襲相続と言います。)

 ・第2順位 直系尊属(両親・祖父母等)

 ・第3順位 兄弟姉妹(兄弟姉妹が先に他界している場合は,その子,すなわち甥姪。この場合の代襲は甥姪までです。)
 

 なお,相続放棄をした場合は,その人は初めから相続人ではなかったことになりますので,下の代が代襲相続することはありません。

 

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◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 角家 理佳
(当事務所「家事」チーム責任者)◆

<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2013年5月15日号(vol.126)>

 

【法務情報】保証債務の消滅時効

 │ 遺言・相続, 新発田事務所, 債務

1 消滅時効とは?

債務者が債権者からお金を借りてから全く弁済せずに(債権者から裁判を起こされたりや支払督促を申し立てられたりすることもなく)一定の期間が経過すると,債務者は消滅時効を援用することができ,債務は消滅します。これが消滅時効の制度です。
  

貸金債務の場合,消滅時効の期間は,銀行など会社からの借入の場合は5年,個人同士の借入の場合は10年とされています。

 

2 保証人がいる場合は?

主たる債務者が債権者からお金を借り,保証人が主たる債務者の貸金債務を保証した場合,主たる債務について消滅時効が完成すれば,保証人も主たる債務の消滅時効を援用し,保証債務の支払いを免れることができます。
   

保証人が,保証債務だけではなく,主たる債務についても消滅時効を援用することができるのは,保証人は,主たる債務の消滅時効によって直接利益を受ける立場にあるので,主たる債務の時効援用の「当事者」にあたるからです。
  

そして,保証債務は,主たる債務に付随する性質を有しているため,主たる債務が時効によって消滅すれば,保証債務もこれに付随して消滅します。
  

これにより,保証人は保証債務の支払いを免れることができるのです。

 

3 保証人が弁済してしまった場合は?

では,消滅時効の完成前に,保証人が債権者の請求に応じて保証債務の一部を弁済していた場合,保証人は主たる債務の消滅時効を援用することができるのでしょうか。
 

まず,原則として,主たる債務者が消滅時効完成前に主たる債務の一部を弁済した場合,主たる債務者が債務を承認したことになり,消滅時効は中断します。

  

したがって,その弁済の時点から再び時効完成に必要な期間が経過しないと,消滅時効は完成しません。

 

よって,一部弁済の時から再度5年や10年など消滅時効に必要な期間が経過しない限り,主たる債務者はもちろん,保証人も支払を免れることはできません。

 

そうすると,保証人が消滅時効完成前に保証債務の一部を弁済した場合にも,消滅時効が中断しており,保証人が消滅時効を援用ですることはできないとも考えられます。

 

しかし,保証人は,主たる債務の債務者ではなく,主たる債務を承認する権利を有しているわけではないので,保証人が保証債務の一部を弁済したとしても,主たる債務の消滅時効は中断しません。

 

一方,先ほど述べたとおり,保証人は,主たる債務の時効援用に関しては「当事者」にあたるので,主たる債務の消滅時効を援用できます。

よって,保証人は,消滅時効完成前に保証債務の一部を弁済したことがあったとしても,主たる債務の消滅時効を援用することができ,主たる債務が消滅するとそれに付随して保証債務も消滅するため,結局,保証人は,保証債務の一部を弁済したことがあったとしても,保証債務の支払を免れることができるのです。

4 保証人が時効援用できない場合がある?!

ところが,最近出された最高裁の判例(最高裁平成25年9月15日第二小法廷判決)によって,保証人が主たる債務の消滅時効を援用することができない場合があることが明らかになりました。

それは,「保証人が主たる債務者の債務を相続した後に,主たる債務を相続したことを知りながら保証債務の一部を弁済した場合」です。

 

最高裁は,判決の中で,保証人が主たる債務者の債務を相続した後に,そのことを知りながら保証債務の弁済をした場合には,主たる債務者による債務の承認として,主たる債務の消滅時効を中断する効力を有するので,保証人は,主たる債務の消滅時効を援用して支払を免れることはできない,ということを述べています。

例えば,父親Aが主たる債務者として銀行Gからお金を借りており,息子Bが保証人として父親の債務を保証していた場合に,Aが死亡してBがAの主たる債務を相続(相続人はBのみと仮定します。)した後に,BがAの主たる債務を相続したことを知りながら,保証人として保証債務の一部を弁済した場合には,Bは主たる債務の消滅時効を援用することはできない,ということになります。

  

この場合,Aの債務を相続したBは,Aから相続した主債務者としての地位と,もともとあった保証人としての地位を合わせ持つことになるので,Bが保証人として保証債務の弁済をしたつもりであっても,その弁済には,Bが同時に負担しているAから相続した主たる債務を承認する意味も含むといえるからです。

 

このように,保証人が主たる債務者の地位を相続した場合には,保証人が消滅時効を援用することができないことがあることが明らかになりましたので,参考にして下さい。

 

 ◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 塩谷 陽子◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2013年10月15号(vol.136)>

【相続】公正証書遺言とは?

 │ 新潟事務所, 遺言・相続, 弁護士角家理佳

 前回,遺言書作成の効用をお話しましたが,中でも公正証書遺言がお勧めです。

 

 公正証書遺言は,公証人(多くは元裁判官や元検察官)が作成してくれます。公証人が遺言者の意思を確認してくれるので,後日,「兄さんが無理やり書かせた。」とか,「当時,母さんは認知症で遺言なんかできなかったはずだ。」などと揉める可能性はほとんどありません。また,公証役場で保管してくれますので,変造や紛失等の心配もありませんし,全国どこからでも検索が可能です。事情によっては,出張作成もしてくれます。

 

 自分で書いた遺言の場合には,遺言者の死後,相続人は家裁で検認という手続きを経なければなりませんが,公正証書ならそれも不要です。ちなみに「検認」とは,その時点での遺言書の状態と内容を確認する手続きで,遺言書の有効・無効を判断するものではありません。

 

 作成には,費用と2名の証人(弁護士や法律事務所の事務員でも可)が必要にはなりますが,メリットの方が大きいと言えるでしょう。

   

★当事務所ホームページの遺言・相続に関するページはこちら★

   

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 角家 理佳
(当事務所「家事」チーム責任者)◆

<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2013年4月15日号(vol.124)

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