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【法務情報】結婚と義務

 │ 弁護士橘里香, 新潟事務所, 離婚

~結婚に伴う義務~

 婚姻は,愛情などを基礎として社会的経済的結合関係を生じさせることですが,法的にはこれにより様々な義務が生じます。

 自分が法的に如何なる義務を負っているのか,良く知らないまま婚姻生活を送っているという方も多いのではないでしょうか。

 この機会に,結婚に伴い,夫婦が負っている法的義務について考えてみたいと思います。

 

1 夫婦の貞操義務

 貞操義務とは,夫婦が互いに性的純潔を保つ義務のことです。明文の規定はありませんが,不貞行為を離婚原因としていること(民法770条1項1号)からも,法律上の義務と考えられています。

 したがって,浮気をした場合,貞操義務違反をした者には,夫婦のもう一方に対して不法行為による損害賠償責任が生ずる場合があるのです。

 

2 夫婦の同居,協力,扶助の義務

 夫婦は,同居し,互いに協力し扶助しなければならない義務があります(民法752条)。但し,同居義務については,強制履行が許されないと解されています。ですから,家出をした妻を本人の意思に反して無理矢理家に連れ戻して同居させることは,法的にもできないのです。

 また,同条の扶助義務とは,「生活保持義務」=自分の生活を保持するのと同程度の生活を保持させる義務と考えられています。

 

3 婚姻費用分担義務

 更に,上記生活保持義務の具体的義務の一つとして,婚姻費用分担義務(民法760条)があります。

 いわゆる生活費の支払い義務です。夫婦に子がいる場合は,その子の養育費も婚姻費用に含まれます。

 かかる婚姻費用分担義務は,夫婦であることに基づく義務ですので,別居していても分担義務が認められます。

 「自分は一体幾らの支払義務を負っているか」は誰しも気になるところだと思います。そこで,今回は,婚姻費用の算出方法について簡単に説明したいと思います。

 婚姻費用の算出に際しては,算定表が利用されることが多いといえます。算定表とは,東京及び大阪の裁判官の共同研究の結果作成された,簡易迅速な婚姻費用の算出表です。しかしながら,本稿で表を載せることは叶わないので,本稿では,給与所得者の婚姻費用算出の基本的計算式をご紹介したいと思います。      ★算定表はこちら★

 (自営業者は,別個の計算となりますので,ご注意下さい。)

 ご自分のご家庭に当てはめて計算してみるのも良いかもしれません。

  

 

 

 (1)ステップ1

 基礎収入を算出する。

 基礎収入とは,税込収入から「公租公課」「職業費」「特別経費」を控除した金額です。

 上記研究の結果,給与所得者の基礎収入は,総収入のおよそ40%程度とされています。

 夫の総収入×0.4=X

 妻の総収入×0.4=Y

 

 (2)ステップ2

 権利者世帯,義務者世帯の生活費指数から,権利者世帯に割り振られる婚姻費用を算出する。

 権利者とは,婚姻費用分担請求をする側,義務者とは請求される側を意味します。

 権利者世帯に割り振られる婚姻費用は,世帯の基礎収入合計額を世帯全員の生活指数合計における権利者世帯生活指数合計の割合で案分して算出します。

 生活指数は,親を100,15~19歳の子を90,0~14歳の子を55とします。

   

(X+Y)×権利者世帯の生活指数合計値÷家族全員の生活指数合計値=Z

 

 

 (3)ステップ3

 義務者から権利者に払うべき額を算出する。

 ステップ2で算出した金額Zから権利者の基礎収入Yを控除する。

 Z-Y=支払うべき婚姻費用

 

 (例)

 では,夫年収600万円,妻年収100万円,子5歳の場合で,妻が子を同居監護している場合の婚姻費用を算出してみましょう。

①ステップ1

 600万×0.4=240万(X)

 100万×0.4=40万(Y)

②ステップ2

 (240万+40万)×(100+55)÷(100+100+55)

 =170万1960(Z)

③ステップ3

 170万1960-40万

 =130万1960円

 

 設例の場合,夫は子を監護する妻に年額130万1960円,月額にすると月10万8496円の婚姻費用を支払わなければならないということになるのです。

 

4 結語

 いかがでしたでしょうか,皆さんは多いと感じたでしょうか,それとも少ないと感じたでしょうか。いずれにせよ,この金額はあくまでも一つの目安に過ぎません。夫婦たるもの,常に協力扶助の意識を忘れずに,夫婦円満を心がけたいものです。

 

◆弁護士法人新潟第一法律事務所 弁護士 橘 里香◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2013年2月28日号(vol.121)>

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