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社会で実際に起こった、事例や改正された法律をふまえ、法律に関する情報をご紹介します。

もう一つの建物賃貸借契約(定期借家契約)について

 │ 弁護士大橋良二, 新発田事務所, その他

Q.

ある人が,海外に2年間単身赴任することになったので,

自宅のマンションを2年間だけ,他人に貸すことになりました。

貸主は,借主との間で,契約書にしっかりと「賃貸期間は2年間とする」と記載し,

「2年経ったらちゃんと出て行って下さいね」と伝えて部屋を貸しました。

 

ところが,海外赴任が終わるころ,

貸主から,自宅マンションを明け渡してもらおうとし「もうすぐ期間満了だから出て行って下さいね」と伝えたところ,借主に「いやまだ使うので出て行きません」といわれました。

 

双方承諾の上で2年間という話で貸したのに,明渡しを求めることはできないのでしょうか。

 

 

A.

建物(あるいはその一室)を貸す,借りるという場合に,

「普通借家契約」の他に「定期借家契約」があることをご存知でしょうか。

 

従来型の通常の借家契約の場合には,一度,賃貸借契約を結ぶと,

法律上の「正当事由」がなければ契約を解除することはできません。

解除できないということは,賃貸借契約が更新され,

引き続き貸し続けなければならない義務が生じるということを意味します。

 

ですので,上記の事例では,

貸主は,明渡しを求める「正当な事由」がなければ明渡しを求めることはできません。

 

 

◆建物明渡しの際に必要とされる正当事由とは?

 

貸主が借主に建物の賃貸借契約の終了を主張して,明渡しを求める場合の正当事由とは,

以下のような事情を考慮して決められます。(借地借家法28条)

①建物の使用を必要とする事情

②建物の賃貸借に関する従前の経過

③建物の利用状況及び建物の現況

④建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付

 

上記①から④までのとおり,結構,具体的な事情を考慮して決められるので,

裁判をしなければ正当事由があるかどうか,はっきりしないこともあります。

また,場合によっては,明渡しが認められない場合や,

認められても,立ち退き料を支払わなくなる場合があるかもしれません。

 

◆事例の結論

ということで,前記の事例の場合には,

正当事由がなければ,明渡しを求めることはできない,ということになります。

不思議に思われるかもしれませんが,「2年の約束」で両者納得の上で賃貸したとしても,

2年経ったからといって出て行ってくれ,と単純には言えないのが普通の賃貸借契約なわけです。

 

◆貸主がすべきだったこと

では,このような場合には,貸主はどうしたらよかったのでしょうか。

このような場合に備えて,「2年契約」という約束を活かすための方法が定期借家契約」です。

 

定期借家契約とは,「公正証書等の書面による契約」で,

賃貸人は「更新がなく,期間の満了により終了する」ことを,契約書等とは別に予め書面を交付して説明することにより,「契約期間限りで更新なし」の賃貸借契約を結ぶことをいいます。

 

先ほどの貸主も,普通の賃貸借契約ではなく,定期借家契約を結んでいれば,法律上,

借主に対して「期間が満了するので,出て行ってください」という主張が認められることになります。

 

◆賃貸人にとっての活用法

この定期借家契約の活用法ですが,貸主としての活用法としては,

たとえば,さきほどのように単身赴任で一定期間だけ家を空けることが確実で,

その期間だけ貸したいというケースで利用することが考えられます。

 

また,将来,立替えや大規模修繕が予定されている場合にも,定期借家契約を利用することがあります。アパート全体の大規模修繕を行う予定がある場合に,その修繕を行うべき時期の手前で,アパート全体の賃借人の契約期間が終わるように,新たな賃借人と定期借家契約を結ぶといったケースです。

 

表

(クリックで拡大します)

※ 国土交通省HPより引用

 

賃借人にとっての注意点

賃借人の側からは,契約時に定期借家契約かどうか,注意を払う必要があります。

契約更新はできない他にも,賃借人側からの中途解約も,法律上,制限されるなどの制約があり,

賃借人に不利な点があるからです。

その一方で,定期借家契約は,相場よりも比較的安価に賃貸されているという場合もあるようです。

ですので,賃貸借契約が,普通借家なのか,定期借家なのかは,必ずチェックする必要があります。

 

◆説明義務

ちなみに,法律上は,定期借家契約を結ぶ場合には,契約書とは別に,定期借家であることを説明する必要がありますし,不動産業者は,通常,宅建業法上の重要事項説明義務として,定期借家契約かどうかを説明する必要がありますので,説明を受けることになるはずです。

 

というわけで,建物を貸す側にとっても,借りる側にとっても,

大きく分けて定期借家制度と普通借家制度があるということは知っていて損はない知識と思われます。

 

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 大橋 良二◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2014年5月15号(vol.150)※一部加筆修正>

※掲載時の法令に基づいており,現在の法律やその後の裁判例などで解釈が異なる可能性があります。

マイナンバーに不安 会社に提出はしたくない!?

 │ 弁護士大橋良二

「マイナンバー」の運用が2016年1月から始まり、会社からマイナンバーを申告するように言われたが、提出しても個人情報は大丈夫なのだろうか。

絶対に大丈夫ということはないでしょう。
昨年は,多くの企業が,マイナンバー対策として,情報が漏洩しないように,安全管理措置を強化しました。ですが,これまでも情報漏洩対策を施してきた多くの企業や公的機関などでも情報漏洩事故は発生しています。なので,絶対に大丈夫ということはないでしょう。

提出は強制!?

提出は強制ではありません。
ただ,会社の就業規則などで会社のマイナンバーの収集に協力する義務などを課している場合があります。その場合には,提出に協力しなければなりません。

 

OLが夜のお仕事をしている場合、会社にばれないか。

 

ばれる可能性があります。副業をしていると本業を合わせた総収入が増えます。総収入が増えると,翌年の住民税の額が増えます。住民税は、通常本業の給与から自動的に差し引かれるので(特別徴収)、会社の人から「この人は,やたら住民税払っているなー・・・もしや!?」と気付かれるかも知れません。

 

もし副業がばれて、会社がクビに!?会社に残ることを希望の場合は、どうすればよいのか!?

 

副業を禁止している会社は少なくありません。禁止されている副業をすることはルール違反になり、懲戒処分の対象になりかねません。会社に残りたいのであれば、当然ですが「ばれてから」ではなく、事前に会社側に相談することが望ましいです。

 

【弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 大橋良二】

※Komachi Web (こまちウェブ・新潟県の総合エリアガイド)にも掲載されております。

【法務情報】生前に父が所有管理していたお墓は誰のもの?

 │ 遺言・相続, 弁護士大橋良二, 新発田事務所

 うちには先祖代々のお墓があり,これまでは父が所有管理してきました。ところが,その父が今年亡くなりました。このお墓は誰のものになるのでしょうか。 

 母は数年前に他界していて,子どもは,数年前に家出をした兄(長男),東京に住む弟(二男),夫と結婚して,父と一緒に暮らしてきた私(長女)がいます。

 二男は長男に代わって自分が承継したいと言い,私は,東京にいる弟(二男)より私が承継した方がよいと思っています。

 

1 遺産分割の問題?

 この事例を見ると,少し法律を勉強したことがある方なら「お父さんの財産だから遺産分割をしなければならない。相続人は,子どもたち3人なので,子どもたち3人とで,遺産分割の話合いをして決めることになる・・・」と思うかもしれません。

 ところが,法律上は,これは誤りです。民法では,お墓は,相続の対象ではなく,遺産分割の対象にはならないからです。

 

2 民法上の祭祀に関する定め

 民法には,こんな定めがあります。

 

(祭祀に関する権利の承継)

第八百九十七条  系譜,祭具及び墳墓の所有権は,前条の規定にかかわらず,慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし,被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは,その者が承継する。

2 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは,同項の権利を承継すべき者は,家庭裁判所が定める。

 

 「系譜」というのは,いわゆる家系図や過去帳などです。「祭具」というのは,仏壇や仏具などで,位牌も含むと解釈されています。「墳墓」とは,まさしく墳墓(お墓そのもの)と,その敷地の墓地も含むと解釈されています。

 こういった祭祀財産については,土地建物や現預金,保険や株式などと違った取扱いで,以下のとおりの順番で承継されるものと定められています。

 ① 被相続人(亡くなった方のこと)が指定している場合には,指定された人(1項ただし書)

 ② 指定した人がいない場合には,慣習に従う(1項本文)

 ③ 慣習が明らかでないときは,家庭裁判所が定める(2項)

という順番で決めることになっています。

 

3 遺言→慣習→家庭裁判所

 ①の“亡くなった人が指定する”というのは,要するに,遺言で指定するということです。亡くなった方が遺言などで,祭祀に関する権利を承継する人を決めていると,その人が承継することになります。

 たとえば,最初に書いた事例の中でも,お父さんが亡くなる前に遺言を書いていて,遺言の中で「祭祀は二男に承継させる」と記載していれば,二男が承継することになります。

 やはり遺言の威力は絶大です。これから遺言を書く際には,この祭祀の承継者を遺言の中で指定できるということは知っていて損はありません。

 

 次に,亡くなった方が遺言を残していない場合には,「②慣習」で決めることになります。

 ・・・といっても,この「慣習」というのは,なんともはっきりしないものですので,あまり基準になりません。

 慣習も不明な場合には,最終的には③「家庭裁判所が決める」ことになります。では,裁判所はどのようにして決めるのでしょうか。

 

4 参考となる裁判例

 一つの裁判例(東京高判平成18年4月19日)によると,以下のように述べられています。

 

 「承継候補者と被相続人との間の身分関係や事実上の生活関係,承継候補者と祭具等の場所的関係,祭具等の取得の目的や管理の経緯,承継候補者の祭祀主宰の意思や能力,その他一切の事情を総合的に考慮して判断すべき」・・・

 

 つまりは,いままで亡くなった方とどのように暮らしてきたのか(生活関係),お墓と場所的に近いのかどうか(場所的関係),これまでどう管理してきたのか(管理の経緯),その他の家族の意見はどうか(その他一切の事情)などを考慮して決めるということです。

 

 さらにこの裁判例は続けて

 

 「祖先の祭祀は今日はもはや義務ではなく,死者に対する慕情,愛情,感謝の気持ちと言った心情により行われるものであるから,・・・(中略)・・・被相続人からみれば,同人が生存していたのであれば,おそらく指定したであろう者を承継者と定めるのが相当である」

 

として,被相続人の意思を推定して決めるとしています。

  要するに,事例でいうなら,亡くなったお父さんが,仮に生存している場合を想像して,お父さんならおそらくこの人に指定したという人を,裁判所が承継者として定めるのがよい,といっているのです。

 亡くなっているお父さんが,生きていたら,誰にお墓を守って貰いたいと考えたか,それを裁判所が決めていくことになります。

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 大橋 良二◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2013年8月12号(vol.132)>

【法務情報】不動産業者が土地を売買してはいけない場合

 │ ビジネス, 弁護士大橋良二, 新発田事務所

1 福岡高裁平成24年3月13日判決

今回は,平成24年3月13日の福岡高等裁判所での判決について紹介します。

 

2 事案の概要

事案は,簡略化すると以下のとおりです。 

  
不動産業者Yが,買主AさんにB土地の購入を勧め,AさんがB土地を2100万円で購入すると承諾しました。

 

その後に,不動産業者Yが所有者Xから1500万円でB土地を買取り,同じ日に,その不動産業者Yが,B土地をAさんへ,2100万円で売却したというものです。

 

要するに,B土地は,X→Y→Aへと同じ日に転売され,XからYへ売却されるときには,すでにYからAへの転売が決まっていたというものです。(実際には,所有者と訴えを起こした者が親子関係にあり,相続を含むなど,もう少し複雑ですが,便宜上,事案を簡略化しています。)

 

3 利益を得たYと損をしたX

不動産業者Yとしては,転売差額の600万円を手に入れることができました。

 

これに対し,Xからすれば,もともと2100万円でAに売却できるのであれば,直接,Yに2100万円で売却したのに,Xに1500万円でしか売却できなかったことになるので,当然,不満が残ります。

 

もともと転売先があるなら不動産業者には売らなかったので,差額分の600万円の損失が生じたから賠償しろ,というのがXの言い分です。

 

そこで,売主Xが,不動産業者Yに対し,誠実義務違反や善管注意義務違反があるとして,Yに対し,差額の600万円を支払えと主張して裁判を起こしたのが本件訴訟です。

 

4 裁判所の判断

 

結論からいうと,第一審の裁判所では,原告Xの請求が棄却されて,不動産業者Yの完全勝訴でした。ところが,第二審では逆転して原告Xの完全勝利の判決が言い渡されました。

 

理由としては,宅建業法で46条では,宅建業者による代理または媒介における報酬について規制しているところ,これを超える契約部分は無効であり,不動産業者は,宅建業法31条1項により信義誠実義務を負うことからすれば,宅建業者がその顧客との媒介契約によらずに売買契約により不動産取引を行うには,媒介契約ではなく,売買契約によるべき合理的根拠を備える必要があり,それがない場合には,宅建業者は,売買契約による取引ではなく,媒介契約による取引に止めるべき義務がある,と述べました。

 

判決文なので一文が長いですが,要するに,仲介ではなく売買にするなら,合理的根拠が必要であり,なければ違法というものです。

 

5 不動産業者の主張

 

ちなみに,不動産業者側は,仲介ではなく売買にする利点があると主張して,以下の3つの根拠を主張していました。

 

1つ目は,スピード(契約成立から決済までの期間が短縮できる。),2つめは,確実性(即金一括払いで各種停止条件,解約等のリスクが低い),3つめは,安心感(商品化するまでのコスト,労力等がなく,瑕疵担保責任等の売却後の紛争発生のリスクが低い。)と主張しました。

 

6 不動産業者の主張を排斥

 

ところが,本件で裁判所は,これを退けました。1つ目のスピードという点では,売主が売却したい意向を示してから,実際に本件の売買が行われるまでに約9か月程度が経過しており,媒介ではなく売買で行うことについてスピードの利点はないと判断しました。

 

また,2つ目の確実性についても,本件では,売買と転売が同時に行われているので,転売までは,不動産業者が契約しないとする余地があったために,この利点はないと判断しました。

 

残る3つ目の安心感についても,現状有姿のままで取引され商品コスト等が不要であることや,瑕疵担保責任の点についても,瑕疵担保責任が発生する可能性のある事項については,媒介の場合でも,重要事項説明書や特約に記載することで対応できるため,利点はないと判断しました。

 

このような理由で,裁判所は,不動産業者側の主張を排斥して,600万円の請求をほぼ認めた上で,本来,媒介をしていたら所有者Xが支払う必要のあった媒介手数料72万4500円を差し引いて,527万5500円の請求を認めたものです。

 

7 まとめ

 

一般論としては,売買の3つの利点があることが普通でしょうから,売買に合理的理由があると認定されることが多いように思われます。(そうでないと,不動産業者は,買取りができなくなってしまいます。)ただ,不動産業者が,単に転売利益という名目で,宅建業法46条よりも多く報酬をもらうためだけに,売買としたような場合には,合理的理由がないということで,許されないということでしょう。

 

ちなみに,不動産業者側は,最高裁へ上告(及び上告受理申立て)していますので,最終的な最高裁の判断はまだ下されていません。

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 大橋 良二◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2013年2月15日号(vol.120)>

【法律相談】相続放棄について

 │ 遺言・相続, 弁護士大橋良二, 新発田事務所

Q:相続放棄をしたのに親の借金を請求されました。支払わなければならないのでしょうか?

 
 

1 借金を払わなくてよいかどうかの相談 
 ときどき次のような相談があります。

 親父が亡くなってしばらく経つが,最近になって,貸金業者から親父の借金を自分が相続したので支払ってほしいとの通知が来た。でも,うちでは,実家はすべて兄が相続していて,私は何ももらっていない。相続を放棄したのだから,借金を払わなくてもよいのではないか?

 

2 本当に「相続放棄」をしているか
 この相談者の話しているとおり,本当に法律上の「相続放棄」をしているのであれば,この相談者の方は,父親の借金を支払う必要はありません。相続放棄をした場合には,プラスの財産(自宅や預貯金)も,マイナスの財産(借金)もどちらも相続しないからです。

 

 ただ,相談を受けた弁護士としては,「本当に放棄したのか?」ということが気にかかります。なぜなら,「相続放棄した」と話している人のなかには,法律上の「相続放棄」をしていないのに,亡くなった方の遺産を受け取らなかったというだけで「相続放棄をした」と誤解している方がいるからです。

 

   そこで,今回は,この「相続放棄」について説明したいと思います。

 

3 法律上の「相続放棄」とは
 それでは,亡くなった方の借金を負わなくてもよくなる法律上の「相続放棄」というのは,どういったものでしょうか。正式な「相続放棄」は, 

 

   ・家庭裁判所に対して申述する

   ・自己のために相続があったときから原則3か月以内に行う

   ・手続きを終えると,プラスの財産(自宅や預貯金)も,マイナスの財産(借金)も相続しないことになる。

 

 というものです。裁判所に対して手続きを行うことと,期間制限があるというのがポイントです。この相続放棄の手続きをとると,亡くなった方の借金を相続することはありませんので,支払う必要はありません。

 

4 「事実上の放棄」とは
 これに対して,世間では「放棄」と呼ばれていても,法律上の「相続放棄」ではないものあります。

 たとえば,司法書士さんへお願いして遺産分割の協議書を作り,自分は「何も相続しない」という内容の協議書に署名と実印を押した場合などです。これは家庭裁判所を利用した「相続放棄」ではありません。また,実家の登記を移転するためなどで,「相続分がないことの証明書」を作成する場合です。これも,家庭裁判所を利用した「相続放棄」ではありません。

 このようなものは「事実上の放棄」などと呼んだりもしますが,法律上の「相続放棄」とは違って,単に自分は亡くなった方の資産を受け取らないということの確認だけで,亡くなった方の借金を免れることはできません。

 

 ここまで読んで下さった方々の中には,「相続しないという書面に署名押印したのだから,借金を負わなくて済むのでは?」「借金も含めて相続しないという書類にしたらよいのでは?」と思うかもしれませんが,そうではありません。相続人間で話し合って遺産分割協議書という私文書を作成しただけ,あるいは,「自分は相続しません」「自分は借金を相続しません」という意思表示をしただけでは,貸金業者などの債権者に対して,意味を持たないのです。

 

5 おわりに
 というわけで単に自分は遺産を受け取らないという書類に署名押印しただけでは「相続放棄」の手続きをとったものとはいえず,しっかりと家庭裁判所で手続きをとったかどうかがポイントになります。

 

 自分が相続人となった場合,相続で全く財産を受け取るつもりがなく,なおかつ,亡くなった方に負債がある可能性があるときには,しっかりと期間内に家庭裁判所へ「相続放棄」の手続きをとっておいた方が安心です。

 

 

◆弁護士法人一新総合法律事務所 弁護士 大橋 良二◆
<初出:顧問先向け情報紙「こもんず通心」2012年8月31日号(vol.109)>

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